SAP ECC

記事数:(2)

SAP

企業活動の心臓部、SAP R/3とは?

1992年から2014年にかけて、ドイツのSAP社が販売していたERPパッケージ製品「R/3」は、かつて企業システムの代名詞とも言える存在でした。世界中の企業に導入され、特に大企業向けのERPパッケージ製品としては圧倒的なシェアを誇りました。日本でも、多くの企業がR/3を導入し、その名を轟かせました。 R/3の最大の強みは、顧客管理、会計、人事、在庫管理など、企業のあらゆる活動を包括的に管理できる点にあります。 それぞれの業務システムが密接に連携し、情報を一元的に管理することで、業務の効率化、コスト削減、迅速な意思決定などを実現できる点が、多くの企業から支持を集めました。 例えば、ある製品の受注情報を入力すると、自動的に在庫が確認され、不足している場合は発注処理が行われます。同時に、顧客情報や販売履歴に基づいて最適な配送ルートが選択され、出荷指示が出されます。このように、R/3は、企業内の様々な業務プロセスを自動化し、効率的に業務を遂行することを可能にしました。 しかし、近年では、クラウドコンピューティングの普及や、より柔軟性や拡張性に優れたERPパッケージ製品の登場により、R/3はかつてほどの勢いはありません。 それでも、R/3は、企業システムの歴史に名を刻む、革新的な製品であったことは間違いありません。そして、R/3で培われた技術やノウハウは、SAP社のその後の製品開発にも活かされています。
SAP

ERPの中核を担うECCとは

ビジネスの世界を支える基幹システムを提供するSAP社。その中核製品として、長年にわたり多くの企業で活用されてきたのがSAP R/3です。しかし、技術の進歩は目覚ましく、企業の活動も複雑化していく中で、従来のR/3では対応が難しい状況も出てきました。 そこで、2004年にSAP社は、これまでのR/3を進化させた新たな基幹システムを発表しました。それが「mySAP ERP」であり、この登場によって従来のR/3は「SAP ERP Central Component (ECC)」という名前に生まれ変わったのです。 ECCは、従来のR/3の機能をすべて引き継ぎながら、インターネット技術を駆使した最新の技術や機能が追加されました。これにより、企業はより効率的な業務処理や、リアルタイムな情報分析が可能となり、変化の激しいビジネス環境にも柔軟に対応できるようになりました。 ECCへの移行は、単なる名称変更やシステムのバージョンアップではありません。企業にとって、業務プロセスを見直し、最新の技術を活用した、より効率的で競争力のある経営体制を築くための大きな転換点と言えるでしょう。