分散システム

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プロトコル

RPC:遠隔操作を可能にする技術

- RPCとはRPC(Remote Procedure Call)は、日本語で「遠隔手続き呼び出し」と訳されます。これは、ネットワークに接続された異なる場所にあるコンピュータのプログラムを、あたかも自分のコンピュータ内にあるプログラムのように実行できるようにする技術です。例えば、インターネット上で買い物をするときを想像してみてください。ウェブサイト上で購入ボタンをクリックすると、その情報はウェブサイトを運営する会社のコンピュータに送られ、注文処理が行われます。このとき、あなたのコンピュータは、まるで自分のコンピュータ内にあるプログラムのように、会社のコンピュータのプログラムを呼び出して実行しているのです。これがRPCの仕組みです。RPCは、プログラムを構成する小さな処理単位である「手続き」を、ネットワーク越しに呼び出すことで動作します。利用者は、ネットワークの詳細や相手のコンピュータの内部構造を意識することなく、必要な手続きを呼び出すだけで目的の処理を実行できます。インターネット時代において、RPCは様々なシステムで活躍しています。私たちが普段何気なく利用しているウェブサイトやオンラインサービスの多くは、裏側でRPCが使われていると言っても過言ではありません。 RPCは、現代のネットワーク社会を支える重要な技術の一つと言えるでしょう。
IT

繋がる力で未来を拓く:アグリゲートコンピューティング

複数の力を一つに集める技術、それがアグリゲートコンピューティングです。まるで、小さな力を持ち寄って大きな成果を生み出す、人の協力体制を思わせる技術と言えるでしょう。複数のコンピューターやデバイスをネットワークで接続し、あたかも一つの巨大なコンピューターのように機能させることで、従来のシステムの限界を突破します。 特に、複数のリソースを統合して活用する場面、例えば、広範囲に分散されたシステムや、数多くのセンサーから情報を集めるセンサーネットワークなどにおいて、その真価を発揮します。個々のリソースは、処理能力や記憶容量など、限られた能力しか持たないかもしれません。しかし、アグリゲートコンピューティングによって連携することで、それらの弱点を克服し、大規模な計算処理や複雑な分析処理にも対応できる、パワフルなシステムへと生まれ変わるのです。 アグリゲートコンピューティングは、システム全体の処理能力や信頼性を向上させるだけでなく、柔軟性や拡張性も高めます。新たなコンピューターやデバイスを容易に追加できるため、変化するニーズに合わせてシステムを柔軟に進化させることができます。
ITシステム

OTM:分散システムの心臓部

- OTMとは OTMは、ObjectTransactionalMiddlewareまたはObjectTransactionMonitorの略称で、複数のシステムやアプリケーションが連携して動作する、いわゆる分散アプリケーション環境において欠かせないソフトウェアです。 従来のORB (Object Request Broker) は、異なるシステム間でのオブジェクトのやり取りを仲介する役割を担っていましたが、トランザクション処理については考慮されていませんでした。OTMは、このORBにトランザクション制御機能を統合することで、より信頼性と拡張性の高い分散アプリケーション環境を実現しました。 OTMの大きな特徴は、複数のシステムやアプリケーションが関わる処理の一貫性を確保できる点です。例えば、銀行の口座振替システムを考えてみましょう。Aさんの口座からBさんの口座へお金を振り込む場合、Aさんの口座からの引き落としと、Bさんの口座への入金の両方が正常に完了しなければなりません。もし、どちらか一方だけが完了した場合、データの不整合が発生し、顧客に損害を与える可能性があります。 このような問題を防ぐために、OTMはトランザクションの概念を用います。トランザクションとは、一連の処理をまとめて一つの作業単位として扱う仕組みです。口座振替の例では、Aさんの口座からの引き落としとBさんの口座への入金を一つのトランザクションとして扱い、両方が正常に完了した場合のみ、処理を確定します。もし、どちらか一方に失敗した場合、処理全体を取り消し、データの整合性を保ちます。 このように、OTMは、分散アプリケーション環境において、データの整合性と処理の一貫性を保証する重要な役割を担っています。
ITシステム

システム連携の要!ORBとは?

複数のコンピュータをネットワークでつなぎ、あたかも一台のコンピュータのように連携させて処理を行う技術は、分散コンピューティングと呼ばれ、近年注目を集めています。分散コンピューティングを実現する技術の一つに、分散オブジェクト技術があります。 分散オブジェクト技術では、ネットワーク上の別のコンピュータにあるプログラムを、まるで自分のコンピュータ内にあるかのように呼び出して利用することができます。この技術の中核となるのが、ORB(Object Request Brokerオブジェクトリクエストブローカー)です。 ORBは、異なるコンピュータ上で動作するプログラム間で、データのやり取りを仲介する役割を担います。例えば、あるプログラムが別のコンピュータにあるプログラムの機能を利用したい場合、ORBに対してリクエストを送信します。ORBは、リクエストを受け取ると、適切なプログラムに処理を依頼し、その結果を受け取って、元のプログラムに返します。 このように、ORBは、異なる環境で動作するプログラム間の橋渡しをすることで、分散オブジェクト技術を実現しています。ORBを利用することで、開発者は、プログラムがどこで動作しているかを意識することなく、必要な機能を簡単に利用できるようになります。これは、大規模で複雑なシステムを構築する際に特に有効です。
ITシステム

ビジネスを拡大するマルチサイトとは

複数の事業所を持つ企業にとって、それぞれの拠点をどのように繋いでいくかは、業務効率やコストに大きく影響する重要な課題です。遠隔地に点在する拠点を持つ場合、各拠点がそれぞれ独立したシステムで運用していると、情報共有の遅延や重複入力による非効率性が発生しやすくなります。また、システムの維持管理や更新作業も拠点ごとに発生するため、大きな負担となります。 このような課題を解決するのが、複数の拠点をネットワークで繋ぎ、システムやデータを一元管理する「マルチサイト化」です。 マルチサイト化には、拠点間のコミュニケーションを円滑にする、情報共有のスピードと精度を高める、システムの一元管理によるコスト削減、災害時などのリスク分散など、多くのメリットがあります。 例えば、顧客情報や在庫状況をリアルタイムで共有することで、顧客対応の質向上や、受発注業務の効率化に繋がります。また、システムの運用管理を一元化することで、管理コストの削減だけでなく、セキュリティレベルの向上も期待できます。 マルチサイト化は、企業の規模や業種に関わらず、多くの企業にとって、業務効率化や競争力強化に繋がる有効な手段と言えるでしょう。