システム設計

記事数:(15)

ITシステム

SOA:システム連携の鍵

- SOAとは SOAとは、サービス指向アーキテクチャ(Service Oriented Architecture)の略称で、システム開発における設計手法の一つです。従来のシステム開発では、それぞれの機能が密接に関係し合った状態で構築されることが一般的でした。しかし、SOAでは、システムを構成する様々な機能を、独立した部品(サービス)として開発します。それぞれのサービスは、特定の機能のみを提供することに特化しており、他のサービスとのやり取りを通じて、より大きなシステム全体の動作を実現します。 SOAの概念を理解するために、ECサイトを例に考えてみましょう。ECサイトは、商品検索、カート機能、決済処理、配送情報管理など、多くの機能で成り立っています。SOAを用いた開発の場合、これらの機能はそれぞれ独立したサービスとして開発されます。例えば、「商品検索サービス」は、膨大な商品データベースから、顧客の入力したキーワードに合致する商品を検索し、その結果を返すことだけに特化します。同様に、「カートサービス」は、顧客が選択した商品を一時的に保管する機能だけを提供します。 このように、SOAでは、それぞれのサービスが特定の機能に特化して開発されるため、いくつかの利点が生じます。まず、それぞれのサービスは独立して開発・テスト・改修が可能になるため、開発効率が向上します。また、一度開発したサービスは、他のシステムやアプリケーションでも容易に再利用することが可能になります。さらに、システム全体を変更することなく、個別のサービスだけを更新したり、追加したりすることができるため、システムの柔軟性と拡張性が向上します。
ITシステム

システム開発におけるSFCとは?

- SFCの概要SFCとは、システムが持つべき機能を分かりやすくまとめた図であり、システム開発の現場で広く使われています。正式名称はシステム・ファンクション・チャート(System Function Chart)といい、略してSFCと呼ばれています。 システム機能一覧と呼ばれることもあります。SFCは、システム全体の機能を階層構造で表します。 最上位にはシステム全体の目的や役割が置かれ、その下に、それを実現するための大きな機能が並びます。 さらに、それぞれの機能を達成するために必要な、より細かい機能へと、段階的にブレークダウンしていきます。 このように、機能を階層的に表現することで、複雑なシステムであっても、その構造を理解しやすくなるというメリットがあります。SFCは、システム開発の初期段階である要件定義の際に作成されることが一般的です。 顧客と開発者の間で、システムが実現するべき機能について共通の認識を持つために作成されます。 SFCを用いることで、顧客はシステムの全体像を把握しやすくなるだけでなく、開発者に対して、自身の要望を具体的に伝えることが可能になります。 また、開発者にとっても、顧客の要望を正確に理解し、システム設計に反映させる上で役立ちます。 SFCは、システム開発におけるコミュニケーションツールとして非常に重要な役割を担っています。 SFCを有効活用することで、顧客と開発者の間の認識のずれを減らし、スムーズなシステム開発を進めることが期待できます。
ITシステム

システム開発における「非機能要件」とは?

- 非機能要件の概要システム開発を行う上で、顧客が本当に必要としているものを理解し、実現することは非常に重要です。システムにどのような機能を搭載するべきかを決める「機能要件」と並んで、システムの品質や性能を左右する「非機能要件」にも注意を払う必要があります。機能要件は、ユーザーがシステムを使って「何ができるか」「どのような機能が実現するか」を具体的に示すものです。例えば、ECサイトであれば「商品を検索する」「カートに入れる」「購入手続きを行う」といった機能が挙げられます。一方、非機能要件は、システムが「どのように動作するか」「機能がどれくらい快適に使えるか」といった、機能以外の側面に関する要件を指します。具体的には、処理速度、セキュリティの強さ、システムの安定性、操作性の良さなどが挙げられます。非機能要件が満たされていない場合、たとえ機能要件を満たしていたとしても、ユーザーはシステムに対して不満を抱く可能性があります。例えば、ECサイトで商品を購入しようとした際に、処理が遅くてなかなか手続きが進まなかったり、セキュリティに不安を感じたりすると、ユーザーはサイトの利用を諦めてしまうかもしれません。非機能要件を明確化し、開発の初期段階からしっかりと組み込むことで、システムの安定性、使いやすさ、安全性を向上させることができます。その結果、ユーザーの満足度を高め、システムの価値を高めることに繋がります。非機能要件は、システム開発における重要な要素と言えるでしょう。
ITシステム

グローバル展開の鍵!Rolloutのススメ

- 水平展開とは何か? 「Rollout(ロールアウト)」とは、新しいシステムやサービス、製品などを、段階的に広範囲へ展開していくことを指します。日本語では「水平展開」と表現されます。 情報技術の分野では、あるシステムを開発した後、試験運用を経て問題がないことを確認し、対象範囲を徐々に広げていく際に「ロールアウト」という言葉がよく使われます。 例えば、本社内で開発・運用していた新しい業務システムを、全国の支社にも導入する場合などが「ロールアウト」に当たります。 段階的に展開していくことで、一度にシステム全体を移行するよりも、リスクを抑制し、問題が発生した場合の影響範囲を小さく抑えることができます。また、各段階で利用者の意見を反映させることで、システムの完成度を高めることも期待できます。
ITシステム

止まらないシステムへ:高可用性の重要性

今日の社会において、情報システムは企業活動にとって必要不可欠なものとなっています。企業は顧客情報や販売記録、在庫状況など、様々なデータを情報システム上で管理しており、もはや情報システムなしでは事業の運営が難しい状況です。もし情報システムが停止してしまうと、業務が完全にストップし、顧客へのサービス提供や商品の発送、取引先との連絡など、あらゆる業務が滞ってしまいます。その結果、顧客に多大な迷惑をかけるだけでなく、企業の信頼を失墜させ、経済的な損失を招く可能性もあります。 例えば、オンラインショップにおいてシステムが停止した場合、顧客は商品を購入することができず、機会損失に繋がります。また、金融機関のシステムが停止した場合、顧客は預金の引き出しや振込などの取引ができなくなり、社会全体に大きな混乱が生じます。 さらに、情報システムの停止は、企業の社会的評価にも悪影響を及ぼします。近年、個人情報の流出やサイバー攻撃など、情報セキュリティに関する事件が後を絶ちません。企業は、情報システムの安定稼働だけでなく、セキュリティ対策にも万全を期す必要があります。情報システムの停止は、企業にとって大きな損失とリスクをもたらすため、システムの安定稼働は、企業にとって最も重要な課題の一つと言えるでしょう。
ITシステム

システムの守護神!フェイルオーバーとは?

現代社会において、様々なシステムが私たちの生活を支えています。企業活動はもちろんのこと、日常生活においてもシステムの安定稼働は欠かせません。もしもシステムが停止してしまうと、業務が滞り、経済的な損失が生じるだけでなく、私たちの生活にも大きな混乱を招きかねません。 そこで重要となるのが、システムに障害が発生した場合でも、サービスを継続できる仕組みです。このような仕組みを「フェイルオーバー」と呼びます。フェイルオーバーは、メインシステムに障害が発生した際に、予備のシステムに自動的に切り替えることで、サービスの停止時間を最小限に抑え、システム全体を安定稼働させることを目指します。 フェイルオーバーを実現するためには、予備システムの構築だけでなく、メインシステムと予備システム間のデータ同期や、障害発生時の切り替え動作をスムーズに行うための技術など、様々な要素が必要となります。このような技術は、近年ますます進化しており、システムの安定稼働を実現するための重要な要素技術として注目されています。
開発

システム開発における疎結合のススメ

- 疎結合とは近年のシステム開発において、注目を集めている設計思想の一つに「疎結合」があります。従来の一枚岩のようなシステムとは異なり、疎結合ではシステム全体を機能ごとに分割し、独立性の高い小さな部品(コンポーネント)を組み合わせることでシステムを構築します。それぞれの部品は互いに依存しすぎることなく、まるでレゴブロックのように自由に組み合わせることが可能です。この柔軟性こそが疎結合の大きなメリットです。個々の部品は独立しているため、一部を変更する場合でも他の部品に影響を与える可能性が低く、改修や機能追加をスムーズに行えます。また、特定の部品に障害が発生した場合でも、その部分だけを修正したり、交換したりすることでシステム全体の停止を回避できるため、可用性の向上にも繋がります。さらに、開発期間の短縮やコスト削減にも効果を発揮します。部品ごとに開発チームを組むことで、並行作業による開発期間の短縮が可能になるだけでなく、既存の部品を再利用することで開発コストの削減も見込めます。このように、疎結合は柔軟性、保守性、開発効率、可用性など、システム開発における様々なメリットをもたらすことから、近年多くの企業が注目し、導入を進めている設計思想です。
ITシステム

システム開発における「実体」:エンティティとは?

システム開発を進める上で、私たちは実に様々なデータを扱います。顧客情報、商品情報、売上データなど、その種類は多岐に渡ります。これらのデータを効率的に扱い、システムを構築していくためには、データを整理し、分かりやすく管理することが欠かせません。そこで重要になるのが「エンティティ」という考え方です。 エンティティとは、一言で表すと「データの型」を指します。例えば、ECサイトを構築する場面を考えてみましょう。 「顧客」というエンティティを定義するとします。 顧客一人一人に共通する情報として、名前、住所、電話番号などが考えられます。これらの情報をまとめて「顧客」という型で定義することで、システム開発者は個々の顧客情報を個別に管理するのではなく、「顧客」という型に沿って効率的にデータを扱うことができるようになります。 エンティティは、システム開発の設計段階において非常に重要な役割を担います。データベース設計では、エンティティを基にしてテーブルが作成されます。それぞれのエンティティが持つ情報は、テーブルのカラムとして定義されます。このように、エンティティを適切に定義することで、データの構造を明確化し、効率的かつ整合性の取れたデータベースを構築することが可能になります。
ITシステム

止まらないシステム構築:ハイアベイラビリティのススメ

現代社会において、情報通信技術(ICT)は、電気やガスと同じように、私たちの生活や経済活動を支える重要な役割を担っています。企業活動においても、日々の業務から顧客とのコミュニケーション、商品の販売に至るまで、あらゆる場面でICTシステムが活用されています。 もしも、このICTシステムが停止してしまったらどうなるでしょうか? 企業は業務が続けられなくなり、顧客からの問い合わせにも対応できなくなります。商品の注文や配送にも影響が出ます。さらに、顧客情報の流出など、セキュリティ面でのリスクも高まります。 このようなシステム停止は、企業にとって大きな損失をもたらします。業務の遅延や機会損失といった経済的な損失だけでなく、企業の信頼を失墜させ、顧客離れを招く可能性も否定できません。 そこで、システム停止のリスクを最小限に抑え、安定した稼働を実現することが重要になります。「ハイアベイラビリティ」と呼ばれる考え方は、まさにこの点に着目したものです。高い可用性を実現することで、企業は安心して事業を継続し、顧客に安定したサービスを提供することが可能になります。
ITシステム

システムの守護神!冗長化とは?

- はじめにと現代社会において、情報通信技術(ICT)は、電気や水道のように、私たちの生活や経済活動を支える、なくてはならないものとなっています。企業活動においても、日常生活においても、ICTシステムが安定して稼働することは非常に重要です。もし、システムに障害が発生し、サービスが停止してしまうと、業務が滞り、顧客に迷惑をかけることになります。その結果、企業は信用を失い、大きな損失を被る可能性もあります。このような事態を防ぐために重要なのが「冗長化」という考え方です。冗長化とは、システムの一部に障害が発生しても、他の部分がその機能を代替し、システム全体としては稼働を継続できるようにすることを指します。例えば、一つのシステムを動かすために必要なサーバーを複数台用意しておき、一台が故障しても、他のサーバーが処理を引き継ぐことで、システム全体としては停止しないようにすることができます。 冗長化には、コストや運用管理の負担が増大するという側面もあります。しかし、システムの停止による損失が、冗長化のコストを上回る場合は、積極的に冗長化を検討する必要があります。
開発

システム開発の設計図!ドメインモデル図とは?

- ドメインモデル図の基礎 情報システムの開発において、構築するシステムが抱える問題領域を「ドメイン」と呼びます。そして、このドメインの構造を視覚的に表現したものを「ドメインモデル図」と言います。ドメインモデル図は、システム開発に関わるメンバー全員が共通の認識を持つためのツールとして、要件定義や設計の段階で作成されます。 ドメインモデル図は、システムが扱うデータとその関係性を、エンティティとリレーションシップを用いて表現します。エンティティとは、システムが扱う情報の中で、それ自体で独立して識別できる概念や対象のことです。例えば、顧客管理システムであれば、「顧客」や「商品」、「注文」などがエンティティとして挙げられます。 リレーションシップは、エンティティ間の関連性を表すもので、「1対1」や「1対多」、「多対多」といった関係性があります。例えば、「顧客」と「注文」は「1対多」の関係性になり、これは1人の顧客が複数の注文を行うことができるということを示しています。 ドメインモデル図を作成することで、システム開発に関わるメンバーは、システムが扱うデータ構造やビジネスルールの理解を深めることができます。また、要件の抜け漏れや矛盾を発見したり、設計の質向上に役立てることも可能です。 このように、ドメインモデル図はシステム開発の初期段階において非常に重要な役割を担っており、システム開発を成功させるための基盤となります。
開発

システム開発の要!DFD入門

- データの流れを可視化するDFD DFDとは、データフローダイアグラム(Data Flow Diagram)の略称で、システム開発において重要な役割を果たします。システム開発は、顧客の要望を形にする作業ですが、その過程は複雑で、顧客と開発者の間で認識のずれが生じやすいという課題があります。DFDは、このような課題を解決するために用いられます。 DFDは、システム内におけるデータの流れを図解で表現したものです。具体的には、データの発生源、データの流れ、処理内容、データの出力先などを、図形と矢印を用いて分かりやすく示します。これにより、顧客は開発者が自分の要望をどのようにシステムに落とし込んでいるのかを視覚的に理解することができます。また、開発者にとっても、DFDを作成することで、システム全体の構造やデータの流れを整理し、より精度の高い設計を行うことが可能になります。 DFDは、システム開発の上流工程である要件定義の段階で作成されることが多く、顧客と開発者のコミュニケーションツールとしても有効です。DFDを用いることで、双方がシステムに対する共通認識を持つことができ、認識のずれによる手戻りやトラブルを未然に防ぐことができます。
ITシステム

スケーラビリティ:変化に対応するシステムの力

- スケーラビリティとは スケーラビリティとは、システムやネットワークが、利用状況の変化に応じて柔軟に対応できる能力を指します。具体的には、アクセスが集中した際やデータ量が爆発的に増えた場合でも、処理速度が遅くなったりシステムが停止することなく、安定して動作し続けることを意味します。 例えば、多くの人が同時にアクセスする人気のあるウェブサイトを考えてみましょう。アクセスが集中しても、ウェブサイトがスムーズに表示され、利用者がストレスなく閲覧できるためには、高いスケーラビリティが求められます。もし、スケーラビリティが低い場合、アクセスが集中するとウェブサイトの表示速度が遅くなったり、最悪の場合はアクセスできなくなってしまうこともあります。 スケーラビリティは、システムの拡張性と表現されることもあります。これは、将来的な利用状況の変化を見据えて、システムの処理能力を柔軟に追加したり、強化したりできることを意味します。スケーラビリティを考慮した設計は、システムの長期的な安定稼働と、変化への対応力を確保するために非常に重要です。
ITシステム

システムを構成する要素~サブシステムとは?~

- サブシステムとは 複雑なシステムを開発・運用するには、システム全体を機能ごとに分割して、小さな単位で管理することがよくあります。この小さな単位の一つ一つを「サブシステム」と呼びます。 サブシステムは、全体を構成する一部分でありながら、それぞれが特定の役割を担い、独立して動作することができます。 例として、会社の業務全体を管理する大規模なシステムを考えてみましょう。このシステムは、「会計システム」「人事システム」「生産管理システム」といった複数のサブシステムで構成されているとします。 「会計システム」は、日々の取引や財務状況を記録・処理する役割を担います。 「人事システム」は、従業員の入退社や給与、勤怠といった情報を管理します。 「生産管理システム」は、製品の製造計画から出荷まで、生産活動全般を管理します。 このように、それぞれのサブシステムは独立して動作していますが、互いに連携し、情報を共有することで、会社全体の業務が円滑に進むように連携して動いています。 例えば、従業員の給与計算を行う際には、「人事システム」から従業員情報が、「会計システム」に連携され、給与計算が行われます。 サブシステムを導入することで、大規模で複雑なシステムを、小さな単位で管理・開発することが可能になります。そのため、システム開発の効率化、柔軟性の向上、問題発生時の影響範囲の縮小といったメリットがあります。
ITシステム

スケーラビリティ:柔軟に対応できるシステムとは

- スケーラビリティとはシステムが変化に柔軟に対応できる能力を指す言葉です。具体的には、利用者の増加やデータ量の増大といった変化に対して、システムの構成を大きく変更することなく、円滑に処理能力を調整できる度合いを指します。例えば、多くの人が一斉にサービスを利用し始めたとします。このような状況でも、システムの構成を大きく変更することなく、安定してサービスを提供できるシステムは、スケーラビリティが高いと言えるでしょう。逆に、利用者の増加に対応するために、システム全体を停止して大規模な改修が必要な場合は、スケーラビリティが低いと言えます。スケーラビリティが高いシステムは、変化への対応が容易なため、運用コストを抑制できるというメリットがあります。また、急激なアクセス増加にも対応できるため、ビジネスの成長を阻害する可能性を低減できます。近年、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、システムに求められるスケーラビリティはますます高まっています。膨大な量のデータがやり取りされるようになり、アクセスが集中することも珍しくありません。そのため、システムを設計する際には、スケーラビリティを考慮することが非常に重要になっています。