サイバー攻撃

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SQLインジェクション:データベースを脅かす危険な攻撃

- SQLインジェクションとはインターネット上のサービスの多くは、情報の管理にデータベースを用いています。データベースは、顧客情報や商品情報など、ウェブサイトの運営に必要な様々なデータを蓄積・管理する役割を担っています。こうしたデータベースを操作する際に使われる言語の一つにSQLというものがあります。SQLを使うことで、データベースに対してデータの検索、追加、更新、削除といった操作を行うことができます。SQLインジェクションとは、このSQLの仕組みを悪用した攻撃手法です。ウェブサイトやアプリケーションには、ユーザーが情報を入力するためのフォームが設置されていることがよくあります。例えば、会員登録画面のユーザー名やパスワード入力欄、商品検索のキーワード入力欄などが挙げられます。攻撃者は、これらの入力欄にSQL文の一部を紛れ込ませることで、データベースに対して本来とは異なる操作を強制的に実行させてしまいます。例えば、ユーザー名入力欄に「' OR '1'='1」という文字列を入力したとします。これはSQL文の一部であり、「'」で囲まれた部分は文字列として扱われます。この場合、データベースは「ユーザー名が空であるか、'1'='1'を満たすユーザーを探す」という命令として解釈してしまいます。'1'='1'は常に真となるため、データベースはユーザー名に関わらず全てのユーザー情報を取得してしまう可能性があります。SQLインジェクションの被害を防ぐためには、ウェブサイトやアプリケーションの開発者が適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。具体的には、ユーザーからの入力内容を適切にチェックする、SQL文を動的に生成するのではなく、あらかじめ安全な形に整形しておくといった対策が有効です。
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セキュリティ対策の基礎:ポートスキャンとは?

コンピューターネットワークの世界では、サーバーは情報を発信する役割を担っています。そのサーバーには、データの出入り口となる「ポート」と呼ばれるものが存在します。このポートは、家のドアのように、それぞれに番号が割り振られており、その番号によってウェブサイトの閲覧、メールの送受信など、異なる役割を担っています。例えば、ウェブサイトの閲覧には「80」番のポート、メールの送受信には「25」番のポートが使用されます。 「ポートスキャン」とは、サーバーが持つこれらのポートの状態を調べる技術です。イメージとしては、家のドアをノックして、その家に誰が住んでいるのか、あるいは留守なのかを調べることに似ています。 具体的には、ポートスキャンを行うツールを使って、サーバーの各ポートに順番に信号を送ります。そして、その信号に対する反応を見ることで、サーバーでどのサービスが動いているのか、どのポートが開いているのかを把握します。この技術は、ネットワーク管理者がセキュリティ対策を施す上で非常に重要です。なぜなら、開いているポートは、外部からの不正アクセスを受ける可能性があるからです。ポートスキャンによって、不要なポートを閉鎖することで、サーバーのセキュリティを強化することができます。
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企業の守護神!SOCとは?

- SOCの概要SOCは、正式名称をセキュリティオペレーションセンター(Security Operation Center)といい、企業のネットワークやシステムをサイバー攻撃の脅威から守るために設置される専門組織です。近年、サイバー攻撃の手口はますます巧妙化し、その件数も増加の一途を辿っています。こうした状況を踏まえ、企業にとってSOCの重要性はかつてないほどに高まっています。SOCは、企業の規模や業種、セキュリティ対策への予算、そして抱えているリスクの大きさによって、その体制は様々です。 比較的規模の大きな企業では、自社の従業員だけで構成されたSOCを社内に設置するケースもあれば、専門的な知識や技術を持つセキュリティサービス企業に運用を委託するケースもあります。SOCの主な役割は、24時間365日体制でネットワークやシステムを監視し、サイバー攻撃の兆候をいち早く発見することです。そして、万が一、サイバー攻撃が確認された場合には、あらかじめ定められた手順書に基づいて、迅速に初動対応を行い、被害を最小限に抑えるための活動を行います。SOCの役割は、企業の重要な情報資産をサイバー攻撃から守るという、非常に重要なものです。
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クロスサイトスクリプティング:Webサイトの落とし穴

インターネットは、私たちに多くの便利なサービスを提供してくれる反面、危険も潜んでいます。その危険の一つに「クロスサイトスクリプティング」があります。これは、ウェブサイトのセキュリティ上の弱点を利用して、悪意のあるプログラムを埋め込み、サイトの利用者に被害を与える攻撃手法です。 クロスサイトスクリプティングは、ウェブサイトにコメントやメッセージを書き込める機能など、外部からの入力を許している箇所を悪用します。攻撃者は、その入力欄に悪意のあるプログラムを含んだ特別な文字列を仕込みます。そして、何も知らない利用者がそのウェブサイトを閲覧すると、仕掛けられたプログラムが実行されてしまうのです。 クロスサイトスクリプティングによって引き起こされる被害は、個人情報の盗難や、ウェブサイトの改ざんなど、多岐にわたります。例えば、攻撃者はこの手法を用いて、利用者のクッキー情報を盗み出し、なりすましを行うことがあります。また、ウェブサイトを改ざんして、偽の情報に誘導したり、ウイルスを拡散させたりすることもあります。 インターネットを利用する際には、このような危険性が潜んでいることを認識し、信頼できるウェブサイトを利用する、セキュリティソフトを導入するなど、自衛策を講じることが重要です。
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セキュリティ対策の要!SIEMとは?

- SIEMの概要SIEM(Security Information and Event Management)は、企業のセキュリティ対策において、なくてはならない重要な役割を担うセキュリティソフトの一つです。 別名「統合ログ管理ツール」とも呼ばれており、社内の様々なコンピューターやネットワーク機器から集めたログを一元的に管理・分析することで、セキュリティインシデントの早期発見と迅速な対応を支援します。従来のセキュリティ対策では、個々の機器のログを一つずつ確認する必要があり、膨大な時間と労力を要していました。これは、セキュリティ担当者にとって大きな負担となっていました。しかし、SIEMを導入することで、ログの収集、保管、分析といった一連の作業を自動化することが可能になります。その結果、セキュリティ担当者の負担を大幅に軽減し、より重要な業務に集中できるようになります。SIEMは、リアルタイムでログを分析することで、不正アクセスやマルウェア感染などのセキュリティ上の脅威を迅速に検知することができます。 また、過去のログデータと照らし合わせることで、潜在的な脅威を洗い出し、先手を打った対策を講じることも可能です。さらに、SIEMは、インシデント発生時の調査に必要な情報を一元的に提供してくれるため、迅速な原因究明と適切な対応を実現します。このように、SIEMは、企業のセキュリティレベルを向上させる上で非常に有効なツールと言えるでしょう。
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不正アクセスから情報資産を守る

- 不正アクセスとは不正アクセスとは、本来アクセスする権限を持たない人が、他人の管理するコンピューターシステムやネットワークに侵入する行為を指します。これは、例えるならば、他人の家に許可なく侵入する行為と同様で、法律で厳しく禁じられています。不正アクセスは、その手口によって様々な種類に分けられます。例えば、システムの脆弱性や設定ミスを突いて侵入するケース、パスワードを盗み見て正規のユーザーになりすますケース、コンピューターウイルスを使って遠隔操作で不正アクセスを行うケースなどが挙げられます。不正アクセスの目的も、情報漏洩や金銭目的、システムの破壊など、多岐にわたります。近年、インターネットの普及に伴い、不正アクセスによる被害は増加の一途をたどっています。個人はもちろんのこと、企業にとっても、不正アクセスは大きな脅威となっています。そのため、パスワードの厳重な管理やセキュリティソフトの導入など、不正アクセス対策を万全に行うことが重要です。
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巧妙化するサイバー攻撃!標的型攻撃メールとは?

- 標的型攻撃メールの概要標的型攻撃メールは、特定の企業や組織を狙って機密情報や重要なデータを盗み出すことを目的とした、非常に悪質なサイバー攻撃の一つです。大量にばら撒かれるスパムメールとは異なり、まるでその企業や組織の関係者から送られてきたかのような、巧妙な作り込みが特徴です。攻撃者は、標的とする企業や組織、そしてそこに所属する人物について、事前に徹底的な情報収集を行います。 企業のウェブサイトや、ソーシャルメディア、公開情報などをもとに、業務内容、組織構造、担当者名、取引先などを把握します。そして、収集した情報に基づき、いかにも本物らしいメールを作成するのです。例えば、実在する取引先を装い、普段通りの業務連絡に見せかけたメールを送信するケースがあります。あるいは、企業の顧客情報を入手し、顧客を装って問い合わせをすることもあります。これらのメールには、添付ファイルや、偽のウェブサイトへのリンクが仕込まれていることが多く、受信者がそれを開いてしまうと、ウイルス感染や情報搾取の危険に晒されてしまいます。標的型攻撃メールは、その巧妙さから、見分けることが非常に困難です。そのため、不審なメールを受信した場合には、安易に開かずに、送信元や内容を慎重に確認することが重要となります。また、日頃から従業員に対するセキュリティ意識向上のための教育や訓練を実施し、被害を未然に防ぐ対策を講じることが重要です。
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狙われたら終わり!?標的型攻撃の脅威

- 標的型攻撃とは標的型攻撃は、特定の組織や企業、団体を狙って行われるサイバー攻撃を指します。一般的なサイバー攻撃が無差別に攻撃対象を探すのに対し、標的型攻撃はまるで獲物を狙うハンターのように、綿密な計画と巧妙な手段を用いるのが特徴です。攻撃者は、目的を達成するために入念な準備を行います。まず、標的となる組織の従業員や取引先になりすまし、信頼関係を築くことから始めます。そして、メールやウェブサイトなどを巧みに利用して、コンピュータウイルスに感染したファイルを開かせたり、偽のウェブサイトに誘導したりします。標的型攻撃の目的は、機密情報の窃取やシステムの破壊、業務の妨害など様々です。攻撃者は、盗み出した情報を利用して金銭を要求したり、組織の信用を傷つけたりしようとします。また、システムに障害を与えることで、組織の業務を停止させ、大きな損害を与えることもあります。標的型攻撃は、その手口が巧妙化しており、被害に遭うリスクは年々高まっています。組織は、セキュリティ対策を強化するとともに、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高め、攻撃の手口を理解しておくことが重要です。
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解き明かす!ブルートフォースアタックとその対策

- 力ずくで正解を当てに行く攻撃、ブルートフォースアタックとはブルートフォースアタックとは、不正に他人のアカウントへアクセスしようとするサイバー攻撃の一つです。その名の通り、あらゆる可能性を片っ端から試す「力任せな方法」でパスワードを解読しようとする攻撃です。具体的には、まず攻撃者は標的となるアカウントを定めます。そして、パスワードとして考えられる文字の組み合わせを一つずつ順番に試していきます。アルファベットの小文字、大文字、数字、記号など、あらゆるパターンを網羅して入力し続けるのです。まるで、膨大な数の鍵の山から、目的の鍵穴に合う鍵を根気強く探し出すかのようです。そのため、ブルートフォースアタックは「総当たり攻撃」とも呼ばれています。この攻撃は、コンピューターの処理能力の向上によって、攻撃にかかる時間が以前より短縮されている点が懸念されています。 しかし、パスワードの組み合わせが複雑であればあるほど、解読までに必要な時間が飛躍的に増加することも事実です。そのため、パスワードを複雑にすること、定期的に変更すること、そして二段階認証などを活用することが、ブルートフォースアタックからアカウントを守る効果的な対策となります。
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見えない脅威「踏み台」:安全なネット利用のために

インターネットの世界では、外部から不正にアクセスするために、まず、足掛かりとなる場所を確保することが重要になります。その足掛かりとして悪用されるのが「踏み台」と呼ばれるコンピューターです。これは、泥棒が家に侵入するために足場にするように、本来の持ち主以外の人間が不正アクセスの中継地点として利用するコンピューターを指します。 踏み台にされてしまうコンピューターは、セキュリティ対策の甘いものが多く、気付かないうちに悪意のある第三者に支配されてしまいます。彼らは、そのコンピューターを隠れ蓑にして、本来の標的である企業や組織のネットワークに侵入しようとします。 踏み台が悪用される危険性は、不正アクセスの起点となるだけでなく、そのコンピューター自身や利用者の情報が盗み見られたり、改ざんされたりする可能性があることです。さらに、踏み台を経由した攻撃は、発信元を特定することが難しく、被害の拡大につながる可能性も孕んでいます。
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巧妙な罠にご用心!フィッシング詐欺の手口と対策

- フィッシングとはフィッシングは、インターネット上で個人情報を盗み取ろうとする犯罪の手口の一つです。銀行や通販サイト、または政府機関など、信頼できる機関になりすまして、本物と見分けがつかないような偽のメールやメッセージを送信します。これらの偽メールは、緊急性を装ったり、お得な情報を装ったりして、巧みに受信者を騙そうとします。例えば、「アカウント情報を確認してください」「セキュリティ強化のためパスワードを変更してください」「お得なキャンペーン情報はこちら」といった内容で、だまされやすいように巧妙に作られています。メールに記載されたリンクをクリックすると、本物そっくりの偽のウェブサイトに誘導されます。そして、そのウェブサイトでパスワードやクレジットカード情報などの個人情報を入力させて盗み取ろうとします。フィッシングの被害に遭わないためには、不審なメールやメッセージ内のリンクは絶対にクリックしないようにしましょう。また、個人情報を要求するメールが来た場合は、送信元の機関に直接確認することが重要です。日頃からセキュリティソフトを導入し、パソコンやスマートフォンのOSを最新の状態に保つことも有効な対策です。
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巧妙化するビジネスメール詐欺にご用心!

- ビジネスメール詐欺とは取引先や企業の責任者を装った偽のメールを送り、金銭をだまし取ったり、機密情報を盗み取ったりする犯罪です。巧妙に作成されたメールで相手を欺き、正規の取引先への支払いを装って、攻撃者の口座に送金させようとします。近年、その手口はますます巧妙化しており、企業にとって大きな脅威となっています。具体的には、実在する企業の担当者名やメールアドレス、ウェブサイトを模倣したり、取引内容に関連する添付ファイルに見せかけてウイルスを仕込んだりするなど、様々な方法が用いられます。被害に遭わないためには、メールの送信元を安易に信用せず、少しでも不審な点があれば、電話などで相手に直接確認することが重要です。また、企業は従業員に対するセキュリティ意識向上のための研修を実施したり、セキュリティソフトを導入したりするなど、対策を講じる必要があります。ビジネスメール詐欺は、企業の経済的な損失だけでなく、信用失墜にもつながる可能性があるため、十分な注意が必要です。
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多層防御で鉄壁のセキュリティを

- 多層防御とは 多層防御とは、複数のセキュリティ対策を重ねて実施することで、重要な情報やシステムをサイバー攻撃から守る手法です。これは、例えるなら玉ねぎの皮のように、何層にもわたって防御策を講じることに似ています。 仮に家の安全を守ることを考えてみましょう。玄関の鍵をしっかり閉めることはもちろん大切ですが、それだけでは窓から侵入される可能性も残ります。そこで、窓に柵を取り付けたり、防犯カメラやセンサーライトを設置したりすることで、より強固なセキュリティ体制を築くことができます。 これと同じように、情報セキュリティにおいても、一つの対策だけでは万全とはいえません。例えば、強力なパスワードを設定していても、フィッシング詐欺によって盗まれてしまう可能性があります。そこで、パスワードに加えて、二段階認証を導入したり、従業員へのセキュリティ意識向上研修を実施したりすることで、より強固な防御体制を構築することができます。 多層防御は、企業の規模や業種に関わらず、あらゆる組織にとって重要なセキュリティ対策です。情報漏洩やシステム障害は、企業に大きな損害を与える可能性があります。そのため、多層防御によってセキュリティレベルを高め、リスクを最小限に抑えることが重要です。
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セキュリティ対策の重要性を再認識する~侵入テストのススメ~

現代社会において、インターネットは私たちの生活に欠かせないものとなっています。 企業にとっても、事業活動や情報発信、顧客とのコミュニケーションなど、あらゆる場面でインターネットが活用されています。 インターネットは、企業の活動を支える重要な基盤、つまり社会における重要な構造の一部と言えるでしょう。 しかし、その一方で、インターネットの利用が拡大するにつれて、悪意のある攻撃者によるサイバー攻撃の脅威も増大しています。 もし、企業の重要な情報や顧客の個人情報が攻撃者によって盗まれたり、改ざんされたり、企業のシステムが使えなくなったりしてしまうと、企業は信頼を失い、大きな損害を被ることになります。 企業がサイバー攻撃から身を守るためには、セキュリティ対策が重要となります。 セキュリティ対策とは、機密情報へのアクセスを制限したり、不正なアクセスを検知して遮断したり、システムを最新の状態に保ったりすることで、サイバー攻撃による被害を未然に防ぐための取り組みのことです。 セキュリティ対策は、企業にとって、事業を継続し、顧客との信頼関係を築き、社会からの信用を維持するために、必要不可欠なものです。
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ウェブサービスの脅威:インジェクション攻撃とは?

今日では、インターネットを通じて様々な情報を得たり、買い物をしたり、人と繋がったりすることが当たり前になっています。ウェブサイトやウェブサービスは、私たちの生活にとってなくてはならないものと言えるでしょう。しかし、便利な半面、これらのサービスは悪意のある攻撃者から常に狙われているという事実も忘れてはなりません。 インターネット上には、システムの脆弱性を突いて攻撃を仕掛けてくる者が後を絶ちません。こうした攻撃の中でも、今回は「インジェクション攻撃」を取り上げます。 インジェクション攻撃とは、ウェブサイトやウェブサービスに悪意のあるコードを埋め込み、システムを不正に操作したり、情報を盗み出したりする攻撃手法です。 この攻撃は、セキュリティ対策の不備を突いて簡単に実行できてしまう可能性があり、その被害は甚大なものになりかねません。そこで、本稿ではインジェクション攻撃の具体的な手口や、その脅威を具体的に解説するとともに、効果的な対策についても詳しく解説していきます。
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企業を守る!今こそ知りたいインシデント対応

- インシデント対応とは情報化社会が進展する現代において、企業にとって最も重要な資産の一つが「情報」です。顧客情報や企業秘密など、その情報は多岐に渡り、万が一流出や改ざんなどが発生した場合、企業の信頼失墜や経済的な損失に繋がりかねません。このような事態を避けるため、近年注目されているのが「インシデント対応」です。インシデント対応とは、企業のシステムやネットワークに発生したセキュリティ上の問題、すなわち「インシデント」に対し、迅速かつ適切な措置を講じる一連のプロセスを指します。具体的な例としては、外部からの不正アクセスや、内部関係者による情報持ち出し、コンピュータウイルスへの感染などが挙げられます。インシデント対応の主な目的は、被害の拡大を最小限に抑え、早期に事態を収束させることです。そのため、インシデント発生時の対応手順を事前に策定しておくことが重要となります。具体的には、まずインシデントの内容を正確に把握し、影響範囲を特定します。その後、原因究明を行い、再発防止策を検討します。これらのプロセスを迅速かつ的確に実行するために、担当者への研修や訓練も欠かせません。近年、サイバー攻撃の手口はますます巧妙化しており、企業は常にセキュリティ上の脅威に晒されています。このような状況下において、インシデント対応は、企業を守る上で必要不可欠な取り組みと言えるでしょう。
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知っていますか?水飲み場型攻撃の脅威

- 水飲み場型攻撃とは水飲み場型攻撃とは、獲物を狙う肉食動物のように、ユーザーが日常的に利用するウェブサイトを罠として利用する、巧妙なサイバー攻撃です。特定の企業や組織の従業員がよく訪れるウェブサイトをハッカーが悪意を持って改ざんし、罠を仕掛けます。そして、そのサイトにアクセスしたユーザーのコンピューターに、気づかれないようにマルウェアを感染させます。この攻撃方法は、まるで野生動物が水を求めて水場に集まるように、ターゲット層が利用する可能性の高いウェブサイトを水場に例え、そこに集まる獲物を待ち伏せることから、「水飲み場型攻撃」と名付けられました。例えば、特定の業界団体や専門職団体のウェブサイト、あるいは従業員がよく利用するニュースサイトや掲示板などが、水飲み場として悪用される可能性があります。ハッカーは、これらのウェブサイトに、一見すると普通の広告やリンク、ファイルに見せかけたマルウェアを仕込みます。ユーザーは、普段から利用しているウェブサイトであるがゆえに、悪意のあるリンクやファイルだと疑うことなくクリックしてしまう可能性が高く、非常に危険です。水飲み場型攻撃から身を守るためには、アクセスするウェブサイトの信頼性を常に確認すること、セキュリティソフトを最新の状態に保つこと、そして不用意にリンクをクリックしたり、ファイルをダウンロードしたりしないことが重要です。
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巧妙化する脅威:Emotetとは?

- Emotetの概要Emotetは、他のコンピュータウイルスに感染するための道筋を作る、悪意のあるソフトウェアです。このようなソフトウェアは、一般的にマルウェアと呼ばれています。Emotetは、非常に感染力が強く、一度コンピュータに侵入すると、その後に金銭を要求する「ランサムウェア」など、さらに危険なウイルスをダウンロードして実行します。Emotetの最も恐ろしい点は、一見すると、普通のメールのように見えることです。過去には、取引先からの返信メールを装ったり、請求書などの添付ファイルを開くように仕向けたりする事例が報告されています。このような巧妙な偽装によって、受け取った人はそれが危険なメールだと気づかず、添付ファイルを開いたり、メール本文に記載されたリンクをクリックしてしまうのです。Emotetに感染すると、個人情報や重要なファイルが盗まれたり、コンピュータが勝手に操作されたりするなど、様々な被害を受ける可能性があります。最悪の場合、企業の重要なシステムが停止し、業務に大きな支障をきたすことも考えられます。Emotetから身を守るためには、不審なメールを開封しない、安易に添付ファイルを開いたり、リンクをクリックしたりしないなどの基本的な対策を徹底することが重要です。また、セキュリティソフトを常に最新の状態に保ち、コンピュータの脆弱性を解消しておくことも大切です。
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辞書攻撃とは?その仕組みと対策を解説

- 辞書攻撃の概要辞書攻撃とは、不正な侵入を試みる攻撃者がよく使う攻撃手法の一つです。この攻撃は、まるで本物の辞書を使うように、あらかじめ用意した膨大な単語リストを用いて、システムへのアクセスに必要なパスワードを突き止めようとします。攻撃者は、まず標的となるシステムのユーザー名を入手します。そして、用意した辞書に載っている単語を一つずつパスワードとして入力し、ログインを試みます。この作業は、自動化されたツールを使って高速で行われることが多く、短い時間で数千、数万通りもの組み合わせを試行します。辞書攻撃は、ユーザーが設定したパスワードが、辞書に載っているような単語や、誕生日、電話番号など推測しやすいものである場合に特に有効です。例えば、「password」や「123456」といった、多くの人が利用しがちな単純なパスワードは、辞書攻撃によって簡単に突破されてしまう可能性があります。辞書攻撃からシステムを守るためには、パスワードの強度を高めることが重要です。具体的には、辞書に載っていないランダムな文字列や記号を含める、パスワードの桁数を増やす、といった対策が有効です。また、二段階認証などの追加のセキュリティ対策を導入することも、辞書攻撃のリスクを低減する上で有効な手段となります。
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エンドポイント防御の守護神:EDRとは?

- サイバー攻撃から端末を守るEDRとは昨今、巧妙化するサイバー攻撃の脅威から、企業や組織の大切な情報を守るためには、従来型のセキュリティ対策だけでは限界があります。そこで注目されているのが、端末内部の防御に特化したセキュリティ対策、EDRです。EDRとは、「Endpoint Detection and Response」の略称で、日本語では「エンドポイントでの脅威の検知と対応」という意味です。パソコンやスマートフォン、サーバーなど、ネットワークに接続されたあらゆる機器は「エンドポイント」と呼ばれます。EDRは、これらのエンドポイント上で動作するプログラムを監視し、怪しい動きを検知することで、サイバー攻撃から端末を守る仕組みです。従来のセキュリティ対策は、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなど、外部からの侵入を水際で防ぐことに重点が置かれていました。しかし、近年増加している標的型攻撃のような、組織内部への侵入を目的とした巧妙なサイバー攻撃に対しては、侵入を防ぐこと自体が困難になりつつあります。EDRは、「既に侵入されているかもしれない」という前提に立ち、端末内部で進行する攻撃の兆候をいち早く捉え、被害を最小限に抑えることを目的としています。具体的には、怪しいプログラムの実行や不審なファイルのやり取りを検知し、管理者に通知したり、問題のあるプログラムを隔離・停止したりすることで、被害の拡大を防ぎます。このように、EDRは、従来型のセキュリティ対策では防ぎきれない高度なサイバー攻撃から端末を守る、現代の脅威に適応したセキュリティ対策と言えるでしょう。
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ネットワークを脅かすDoS攻撃とは?

- DoS攻撃の仕組みDoS攻撃は、大量のデータや不正なデータを標的のコンピューターに送りつけることで、本来は問題なく利用できるはずのサービスを、使うはずだった人たちが利用できない状態を作り出す攻撃です。DoS攻撃は、標的となるコンピューターと、そのコンピューターが提供するサービスを利用するユーザーとをつなぐ通信経路をパンクさせることで、サービスを妨害します。例えば、お店に通常では考えられないほど多くの人が押し寄せたとします。店内は人で溢れ返り、本来のお客様はお店に入ることすらできません。店員は押し寄せた人への対応に追われ、本来の業務を行うことができなくなります。DoS攻撃は、このような状態をインターネット上のサービスで引き起こすイメージです。攻撃者は、大量のデータを送りつけることで、標的のコンピューターに過剰な負荷をかけます。標的のコンピューターは、大量のデータ処理に追われ、本来のサービスを提供するための処理能力が不足してしまいます。その結果、本来のユーザーはサービスにアクセスできなくなったり、サービスが非常に遅くなったりします。DoS攻撃は、インターネット上のサービスを提供するあらゆる組織にとって脅威となります。攻撃によってサービスが停止すれば、顧客満足度の低下や経済的な損失につながる可能性があります。そのため、DoS攻撃からシステムを守るための対策を講じることが重要です。
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インターネットにおける「なりすまし」にご用心!

「なりすまし」は、インターネットの世界で、悪意のある人物がまるで別人のようにふるまう行為のことを指します。まるで仮面をかぶったかのように、実在の人物や企業、あるいは存在しない誰かになりきってしまいます。 例えば、あなたの友だちや会社の同僚、あるいはよく利用するお店の名前を使ってメールを送ってきたり、ウェブサイトにアクセスしてきたりします。本物そっくりに振る舞うことで、パスワードやクレジットカード番号などの重要な個人情報を盗み取ったり、コンピュータウイルスに感染させたりしようと企んでいます。 なりすましの手口はますます巧妙化しており、見破ることが難しくなっています。そのため、怪しいメールやウェブサイトには安易にアクセスしない、個人情報をむやみに入力しないなど、日頃からセキュリティ対策をしっかりしておくことが重要です。何かおかしいと感じたら、すぐに信頼できる人に相談しましょう。
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企業を脅かすDDoS攻撃とは?

- DDoS攻撃の概要DDoS攻撃とは、「分散型サービス拒否攻撃」の略称で、インターネットを通じて行われるサイバー攻撃の一種です。標的となる企業のWebサイトやコンピュータシステムに対して、大量のデータを一斉に送りつけることで、ネットワークをパンク状態に陥れます。その結果、本来アクセスできるはずのWebサイトにアクセスできなくなったり、オンラインサービスが利用できなくなったりするなど、企業の業務やサービス提供を妨害するのが目的です。DDoS攻撃は、攻撃者が多数のコンピュータを不正に感染させ、それらを“ボット”と呼ばれる遠隔操作可能な状態にして、攻撃に加担させます。そして、攻撃対象のサーバーに対して、一斉にアクセス要求やデータ送信を集中させることで、サーバーやネットワークの処理能力を超過させ、機能停止に追い込みます。DDoS攻撃による被害は、企業の規模や業種を問わず発生する可能性があり、その影響は多岐にわたります。例えば、Webサイトへのアクセスができなくなることで、顧客が商品情報やサービス内容を確認することができなくなり、機会損失やブランドイメージの低下につながる可能性があります。また、オンラインサービスが停止することで、顧客との取引が途絶え、経済的な損失を被る可能性もあります。さらに、攻撃への対応に追われることで、企業は多大な時間とコストを費やすことになります。DDoS攻撃は、その手口が巧妙化しており、完全に防ぐことは困難です。しかし、ファイアウォールや侵入検知システムなどのセキュリティ対策を導入したり、DDoS攻撃対策サービスを利用したりすることで、被害を最小限に抑えることができます。
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人の心につけ込む!?ソーシャルエンジニアリングにご用心

- ソーシャルエンジニアリングとはソーシャルエンジニアリングとは、巧妙な話術や人間関係の構築を通じて人の心理的な隙につけ込み、パスワードや個人情報などの機密情報を不正に入手する攻撃手法です。コンピューターウイルスやハッキングのように高度な技術を用いるのではなく、人間の心理的な弱点を突くことで情報を盗み出すため、セキュリティソフトやシステムでは防ぐことが難しいという特徴があります。例えば、実在する企業の担当者を装って電話をかけ、システムトラブルを口実にパスワードを聞き出す、あるいは、困っている人を装って親切心を悪用し、重要な情報を盗み出すといった手口が考えられます。また、近年は、実在の人物になりすました偽のSNSアカウントを利用して、標的との信頼関係を築き、情報を詐取するケースも増えています。ソーシャルエンジニアリングの恐ろしさは、情報セキュリティ対策が万全であっても、人の油断につけ込むことで、いとも簡単に重要な情報が漏洩してしまう点にあります。そのため、不審なメールや電話には安易に応じない、個人情報をむやみに教えたり、入力したりしないなど、一人ひとりがセキュリティ意識を高め、適切な行動をとることが重要です。そして、企業においては、従業員に対するセキュリティ教育を徹底し、ソーシャルエンジニアリングの手口や対策について周知することが重要です。