企業におけるシャドーIT:利便性とリスク

企業におけるシャドーIT:利便性とリスク

ICTを知りたい

先生、『シャドーIT』って言葉、最近よく聞くんですけど、どういう意味ですか?なんだか怖い感じがするのですが…

ICT研究家

なるほど、確かに『シャドー』って言葉だと、ちょっと怖いイメージがあるかもしれませんね。簡単に言うと、会社に内緒で、個人が勝手に会社の仕事で使うソフトやサービスを使うことだね。

ICTを知りたい

え、でも、仕事で使うなら、会社のソフトを使った方がいいんじゃないんですか?

ICT研究家

もちろん、それが一番安全なんだけどね。でも、仕事がもっと楽になるように、便利なソフトをみんなが使いたくなる気持ちもわかるでしょう?ただ、会社が知らないソフトを使うと、情報漏えいなどの危険性もあるから、『シャドーIT』は問題としてよく取り上げられるんだよ。

シャドーITとは。

会社で使うコンピューターやインターネットに関係することについて説明します。特に、「従業員が会社に無断で使う情報機器やサービス」について説明します。これは「隠れてこっそり使われている情報技術」という意味で、「シャドーIT」と呼ばれます。

会社では、仕事で使うコンピューターやソフトを決めていることがほとんどです。しかし、従業員の中には、仕事の効率を上げたり、仲間と協力しやすくするために、会社が許可していないソフトやサービスをこっそり使う場合があります。例えば、インターネット上のデータ保存サービスや、連絡を取り合うためのツール、仕事の計画を立てるためのツール、インターネット上で使える業務用のソフトなどが挙げられます。

従業員は、これらのツールを使うことで、仕事を早く終わらせたり、仲間と協力しやすくなることがあります。しかし、会社にとっては、情報漏えいの危険性や、管理が難しくなるなどの問題が発生する可能性があります。

シャドーITとは

シャドーITとは

– シャドーITとは職場において、従業員が会社の許可を得ずに、あるいは会社が把握していないところで、業務に関係する情報機器やサービスを利用することを「シャドーIT」と言います。具体的には、会社の情報システム担当部門が正式に認めたり、導入したりしていないシステムやソフトウェアを、従業員が個人的に使い始めることを指します。近年、インターネットを通じて様々なサービスが利用できるクラウドサービスが普及したり、スマートフォンやタブレット端末を業務で利用することが増えたりしたことに伴い、シャドーITは多くの企業にとって見過ごすことのできない問題となっています。例えば、従業員が個人的なオンラインストレージサービスに顧客情報や社外秘の資料を保存したり、業務用のアプリケーションではなく、個人のスマートフォンにインストールしたチャットツールでやり取りを行うことはシャドーITに該当します。シャドーITは一見すると、従業員の業務効率の向上に役立つように思えるかもしれません。しかし、会社が把握していない情報機器やサービスの使用は、情報漏えいやウイルス感染などのセキュリティリスクを高めるだけでなく、不正アクセスの温床となる可能性もあります。また、情報管理が適切に行われず、情報の一元管理が難しくなることで、業務効率の低下やコンプライアンス違反に繋がる可能性も懸念されます。そのため、企業はシャドーITの現状を把握し、適切な対策を講じる必要があります。従業員に対しては、シャドーITの危険性やセキュリティに関する教育を徹底するとともに、業務に必要なシステムやソフトウェアを適切に整備し、利便性を向上させることで、シャドーITの発生を抑制することが重要です。

項目 内容
定義 従業員が会社に無許可で、業務に情報機器やサービスを利用すること
背景 クラウドサービスの普及、スマートデバイスの業務利用増加
具体例 – 個人のオンラインストレージサービスへの機密情報保存
– 個人のチャットツールでの業務連絡
問題点 – 情報漏えい、ウイルス感染などのセキュリティリスク
– 不正アクセスの温床
– 情報の一元管理の困難さによる業務効率低下
– コンプライアンス違反の可能性
対策 – 従業員へのセキュリティ教育
– 業務に必要なシステム・ソフトウェアの整備と利便性向上

シャドーITの例

シャドーITの例

– シャドーITの具体例現代の職場では、業務効率化やコミュニケーション円滑化のために、様々な情報通信技術(ICT)ツールが利用されています。しかし、その利便性ゆえに、企業が許可していないツールを従業員が独自に利用してしまう、シャドーITと呼ばれる問題も発生しています。ここでは、具体的な例を挙げて、シャドーITがどのようなものかを見ていきましょう。まず、最も一般的な例として、ファイル共有のためのクラウドストレージサービスの無許可利用が挙げられます。業務で使用する資料やデータを、セキュリティ対策が万全ではない個人のクラウドストレージに保存してしまうことは、情報漏洩のリスクを高めてしまいます。また、コミュニケーションツールもシャドーITの温床となっています。社内コミュニケーションを円滑にするために、企業は公式なチャットツールなどを導入していますが、従業員の中には、使い慣れた無料のメッセージアプリを業務連絡に使用してしまうケースも少なくありません。このような行為は、公式な記録が残らないため、トラブル発生時の原因究明を困難にする可能性があります。さらに、プロジェクト管理やオンライン会議システムなども、シャドーITの対象となることがあります。これらのツールは、企業が正式に導入したものではなく、一部の従業員が個人的に使い慣れたものを利用しているケースが多く見られます。このような状況では、システム間の連携がうまくいかず、業務効率が低下するだけでなく、セキュリティリスクも高まります。このように、シャドーITは、一見すると便利な反面、企業にとって様々なリスクを孕んでいます。従業員一人ひとりが、シャドーITの危険性とセキュリティの重要性を認識し、適切なICTツールの利用を心掛けることが重要です。

シャドーITの例 リスク
ファイル共有のためのクラウドストレージサービスの無許可利用 情報漏洩のリスク増加
業務連絡への無料メッセージアプリの利用 公式な記録が残らず、トラブル発生時の原因究明が困難になる可能性
企業が正式に導入していないプロジェクト管理やオンライン会議システムの利用 システム間の連携不足による業務効率の低下、セキュリティリスクの増加

シャドーITのメリット

シャドーITのメリット

シャドーITは、企業の情報システム部門の管理外で従業員が業務に利用するソフトウェアやサービスを指し、セキュリティリスクや情報漏洩といった負のイメージが先行しがちです。しかし、従業員の視点に立てば、必ずしも企業にとって悪影響ばかりではありません。むしろ、従来の社内システムよりも柔軟で使いやすいツールを導入することで、業務効率化や生産性の向上が見込めるケースもあります。

例えば、従来の社内システムでは、申請手続きや承認に時間がかかっていた業務も、クラウドサービスを利用することで、大幅に時間を短縮できる場合があります。また、部門やチーム内で最新のコミュニケーションツールを導入することで、従来の電子メールに比べて、迅速かつ円滑な情報共有や意見交換が可能となり、プロジェクトをスムーズに進めることができるようになります。さらに、従業員一人ひとりが、自身の業務内容や課題に合わせて最適なツールを選択することで、モチベーション向上やスキルアップに繋がる可能性も秘めています。

しかし、シャドーITはあくまで、情報システム部門の管理外で行われるため、セキュリティリスクや情報漏洩の可能性は否定できません。そのため、企業はシャドーITのメリットとデメリットを理解した上で、適切な対策を講じる必要があります。例えば、従業員が安全に利用できるツールを整備したり、セキュリティに関する教育を徹底したりすることで、リスクを抑制しながら、シャドーITのメリットを最大限に活かすことが重要と言えるでしょう。

項目 内容
定義 企業の情報システム部門の管理外で従業員が業務に利用するソフトウェアやサービス
メリット – 業務効率化や生産性の向上
– 柔軟で使いやすいツールの導入
– 迅速かつ円滑な情報共有
– モチベーション向上やスキルアップ
デメリット – セキュリティリスク
– 情報漏洩の可能性
対策 – 安全に利用できるツールの整備
– セキュリティに関する教育の徹底

シャドーITのデメリット

シャドーITのデメリット

一方で、業務効率化を期待して導入が進むシャドーITですが、企業にとっては大きなリスクも孕んでいることを忘れてはなりません。

最も懸念されるのは、セキュリティ上の問題です。社員が個人で手軽に導入してしまうサービスの多くは、企業が定めるセキュリティ基準を満たしていない可能性があり、情報漏えいのリスクが高まります。また、外部からのサイバー攻撃の標的になる可能性もあり、企業にとって大きな損害につながる恐れもあります。

さらに、シャドーITは、その利用状況を会社が把握することが難しいという問題点もあります。誰が、どんなサービスを、どのように利用しているのかがわからないため、適切なリスク管理ができないという状況に陥りかねません。

また、業務効率化を目的として導入されたはずのシャドーITが、逆に業務効率を低下させてしまう可能性もあります。複数のツールが乱立することで、情報の一元管理が困難になり、社員間で情報共有がスムーズに進まなくなる可能性もあります。

このように、シャドーITは多くのリスクを孕んでいるため、安易な導入は避けるべきです。

メリット デメリット
業務効率化
  • セキュリティ上の問題
  • 適切なリスク管理ができない
  • 業務効率の低下

シャドーITへの対策

シャドーITへの対策

– シャドーITへの対策昨今では、業務効率化を目的として、従業員が企業の許可なく個人の判断で業務にITツールを用いるケースが増加しています。いわゆる「シャドーIT」と呼ばれるものですが、便利さの一方で、セキュリティリスクの高まりといった問題も孕んでいます。シャドーITへの対策としてまず重要なのは、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることです。定期的な研修や分かりやすい資料を通して、シャドーITがもたらすリスクや、企業が定めるIT利用に関するルールを周知徹底する必要があります。同時に、従業員がなぜシャドーITを利用してしまうのか、その背景を理解することも重要です。例えば、企業が提供する公式ツールが使いにくかったり、必要な機能が不足していたりする場合は、従業員はより便利で使いやすいツールを求めて、シャドーITに手を出す可能性が高まります。そこで、企業は公式ツールの使い勝手向上にも積極的に取り組むべきです。従業員の声を収集し、機能の改善や操作性の向上に努めることで、公式ツールを積極的に利用してもらえる環境を整えることが重要です。シャドーITへの対策は、頭ごなしに使用を禁止することではありません。IT部門と従業員が積極的に対話し、相互理解を深めることで、安全性を確保しながらも、従業員が快適に業務を進められる環境を構築することが重要です。

シャドーIT対策のポイント 具体的な対策
従業員のセキュリティ意識向上 – 定期的な研修の実施
– 分かりやすい資料による注意喚起
– IT利用ルール周知の徹底
シャドーIT利用の背景理解 – なぜ従業員がシャドーITを利用するのか、その理由を調査・分析する
公式ツールの使い勝手向上 – 従業員の声を収集し、機能改善や操作性向上に努める
– 公式ツールを積極的に利用してもらえる環境整備
IT部門と従業員の対話 – 相互理解を深め、安全性と利便性の両立を目指す