企業を守る!サイバーセキュリティ経営ガイドラインとは?
ICTを知りたい
「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」って、具体的にどんなものなんですか?
ICT研究家
良い質問ですね。簡単に言うと、企業がサイバー攻撃から守るための、経営者向けの手引書のようなものです。顧客情報や企業秘密を守るために、経営者がどんなことを考え、どんな対策をすべきか、具体的に示されています。
ICTを知りたい
なるほど。経済産業省などが作ったものですよね? なぜ、経営者向けに作られているんですか?
ICT研究家
はい、その通りです。サイバー攻撃は、技術的な対策だけでなく、経営者がリーダーシップを発揮し、会社全体で取り組むことが重要だからです。経営者が率先して対策を進めることで、より効果的にサイバー攻撃から会社を守ることができるのです。
サイバーセキュリティ経営ガイドラインとは。
「情報通信技術に関する言葉、『経営者が先導して企業を守るための情報保安対策の指針』について説明します。この指針は、経済産業省と情報処理推進機構が共同で作ったもので、企業が攻撃から自らを守るための考え方や行動をまとめたものです。
ビジネスにおいて、情報通信技術を使うことは利益を上げるために欠かせませんが、その一方で、顧客の個人情報や企業秘密を狙った攻撃が増えています。この指針では、経営者を対象に、情報保安対策をどのように進めるべきかを重点的に定めています。
具体的な対策内容は以下の通りです。
-経営者が心掛けるべき3つの原則-
* 経営者は、情報保安上の危険性を認識し、率先して対策を進める必要がある。
* 自社はもちろんのこと、取引先や委託先を含めた、商品やサービスが顧客に届くまでの流れ全体を守る必要がある。
* 普段から、そして緊急時にも、情報保安上の危険性や対策に関する情報公開など、関係者と適切な情報共有を行う必要がある。
-経営者が取り組むべき情報保安対策の10項目-
1. 情報保安上の危険性を認識し、組織全体でどのように対応するか方針を決める。
2. 情報保安上の危険性を管理する体制を作る。
3. 情報保安対策のための予算や人材を確保する。
4. 情報保安上の危険性を把握し、対応計画を作る。
5. 情報保安上の危険に対応するための仕組みを作る。
6. 情報保安対策において、計画を実行し、評価し、改善するサイクルを回す。
7. 問題発生時の緊急対応体制を整える。
8. 問題発生による被害に備えた復旧体制を整える。
9. 取引先や委託先を含めた、商品やサービスが顧客に届くまでの流れ全体における対策と状況把握を行う。
10. 情報共有活動への参加を通じて、攻撃に関する情報を入手し、それを活用して、また提供する。
上記の内容は2017年に改定されたバージョン2.0であり、経営者が取り組むべき情報保安対策10項目のうち、5と8が新たに追加されました。これは、攻撃の手口が巧妙化、悪質化していることを背景としています。攻撃に気づかないケースも珍しくなく、入口を守る対策だけでは不十分な状況になっているためです。
サイバー攻撃の脅威と企業の責任
現代社会において、企業活動に情報技術は欠かせなくなっています。会社の収益を伸ばすためには、情報技術の活用は必須と言えるでしょう。しかし、情報技術への依存度が高まる一方で、顧客の個人情報や企業の機密情報などを狙ったサイバー攻撃の危険性も増大しています。企業は、これらの大切な情報を適切に守る責任があり、サイバー攻撃から情報資産を守るための万全な対策を講じる必要があります。
サイバー攻撃の手口は巧妙化しており、企業は常に最新の脅威情報を入手し、システムの脆弱性を解消する必要があります。具体的には、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどのセキュリティ対策ソフトの導入、従業員へのセキュリティ意識向上のための研修などが挙げられます。また、万が一、サイバー攻撃によって情報漏洩などの被害が発生した場合に備え、被害を最小限に抑えるための対応策を事前に準備しておくことも重要です。
企業は、サイバー攻撃に対する責任を強く認識し、顧客や社会全体からの信頼を守るために、情報セキュリティ対策に積極的に取り組む必要があります。
情報技術の活用 | サイバー攻撃のリスク | 企業の責任 | 具体的な対策 |
---|---|---|---|
– 企業活動に不可欠 – 収益向上に必須 |
– 顧客情報や企業秘密を狙った攻撃が増加 – 手口が巧妙化 |
– 情報資産を適切に保護する – 被害発生時の対応策準備 – 信頼を守るための積極的な対策 |
– セキュリティ対策ソフトの導入 – 従業員へのセキュリティ意識向上研修 – 最新の脅威情報の入手 – システムの脆弱性解消 |
サイバーセキュリティ経営ガイドラインの概要
– サイバーセキュリティ経営ガイドラインの概要近年、企業を狙った悪質なサイバー攻撃による被害が後を絶ちません。こうした状況を受け、企業が自社の情報資産や顧客情報を守り、社会全体で安全な情報環境を築き上げていくためには、経営者がリーダーシップを発揮し、サイバーセキュリティ対策を推進していくことが不可欠となっています。
そこで、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を策定しました。このガイドラインは、企業の規模や業種を問わず、すべての企業がサイバーセキュリティ対策に取り組むための指針となるものです。
ガイドラインでは、サイバーセキュリティ対策を単なる技術的な問題として捉えるのではなく、企業経営における重要なリスク管理の要素として位置付けています。そして、経営者が主体的に関与し、自社の事業内容やリスク特性に応じた適切な対策を講じることの重要性を強調しています。
具体的には、経営者が認識すべきサイバーセキュリティに関する基本的な考え方や、具体的な対策内容、さらには、社内体制の整備や従業員への教育など、実践的な取り組みが分かりやすく解説されています。
このガイドラインを参考に、自社のサイバーセキュリティ対策を見直し、より強固な体制を構築していくことが、企業の持続的な成長、そして、安全な社会の実現に繋がると言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
背景 | 企業を狙ったサイバー攻撃による被害増加 社会全体で安全な情報環境を築く必要性 |
目的 | 企業がサイバーセキュリティ対策に取り組むための指針 |
対象 | すべての企業(規模・業種問わず) |
ポイント |
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内容 |
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効果 |
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経営者が認識すべき3原則
昨今、企業活動において情報通信技術の活用は不可欠なものとなり、その重要性は増すばかりです。それと同時に、サイバー攻撃による脅威は増加の一途を辿っており、企業は経営リスクとして真剣に向き合っていく必要があります。
そこで、経営者が認識すべき3つの原則が示されています。
第一に、サイバーセキュリティリスクを正しく認識し、その重要性を理解することです。サイバー攻撃は、企業の金銭的な損失だけでなく、顧客の信頼を失墜させ、事業の継続を困難にするなど、甚大な被害をもたらす可能性があります。経営者は、このことを深く認識し、危機感を持ち続けることが重要です。
第二に、経営者がリーダーシップを発揮し、全社を挙げて対策に取り組む体制を構築することです。サイバーセキュリティ対策は、一部署だけの問題ではなく、企業全体で取り組むべき課題です。そのため、経営者が率先して対策を推進し、社員一人ひとりの意識を高め、行動を促していくことが重要です。
第三に、自社だけでなく、取引先や委託先も含めた関係機関全体でセキュリティ対策を徹底すること、そして、平時・緊急時問わず、関係機関間で適切な情報共有と意思疎通を行うことが重要です。現代の企業活動は、多くの企業と相互に繋がっています。そのため、自社だけでなく、取引先や委託先など、関係機関全体でセキュリティ対策を強化していく必要があります。また、何かあった際に迅速かつ適切に対応できるよう、日頃から関係機関間で密に情報共有を行い、緊密な連携体制を構築しておくことが重要です。
サイバーセキュリティ経営の重要10項目
昨今、企業活動において情報通信技術は欠かせないものとなり、その重要性は増すばかりです。それと同時に、サイバー攻撃の脅威も増大しており、企業は経営戦略の一環としてサイバーセキュリティに取り組むことが必須となっています。そこで、安全な情報通信技術の活用と企業の持続的な成長を実現するために、「サイバーセキュリティ経営の重要10項目」が提示されています。
このガイドラインでは、企業が取るべき具体的な対策を10項目にまとめています。まず、自社の置かれている状況を把握し、サイバー攻撃によるリスクを洗い出すことが重要です。その上で、リスクへの対応方針を明確化し、責任者や担当者を決めて体制を構築します。体制構築には、必要な人員や予算を確保することも含まれます。
さらに、想定されるリスクへの対応計画を事前に作成しておくことが重要です。計画に基づいて対策を実施し、その効果を検証して改善していくというPDCAサイクルを継続的に回すことが、セキュリティレベルの向上に繋がります。万が一、サイバー攻撃が発生した場合に備え、迅速な対応と事業継続を可能とする緊急対応体制や復旧体制の整備も欠かせません。
近年では、取引先などサプライチェーン全体でのセキュリティ対策や、業界全体で脅威情報を共有する活動への参加なども重要視されています。企業は、10項目を参考に自社の課題や状況に合わせて、必要な対策を講じていく必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
1. 現状把握とリスク分析 | 自社のサイバーセキュリティ上のリスクを洗い出す |
2. リスク対応方針の明確化 | リスクへの対応方針を明確にする |
3. 体制構築 | 責任者・担当者を決め、人員や予算を確保する |
4. 対応計画の作成 | 想定されるリスクへの対応計画を事前に作成する |
5. 対策の実施 | 計画に基づいて対策を実施する |
6. 効果検証と改善 | 対策の効果を検証し、改善していく (PDCAサイクル) |
7. 緊急対応体制の整備 | サイバー攻撃発生時の迅速な対応体制を構築する |
8. 復旧体制の整備 | 事業継続を可能とする復旧体制を構築する |
9. サプライチェーンセキュリティ | 取引先などサプライチェーン全体でのセキュリティ対策を講じる |
10. 脅威情報共有 | 業界全体で脅威情報を共有する活動に参加する |
ガイドライン改定の背景と最新動向
近年、悪意のある者によるインターネットを介した攻撃は、その巧妙さを増しており、従来の外部からの侵入を防ぐことを目的とした対策だけでは、十分な防御を行うことが困難になってきています。このような状況を踏まえ、企業が安心して事業を継続していくためには、サイバー攻撃による被害を未然に防ぐための対策だけでなく、万が一被害が発生した場合でも、その影響を最小限に抑え、速やかに復旧するための体制を構築しておくことが重要です。
2017年のガイドライン改定では、こうした状況を反映し、新たに「サイバーセキュリティリスクに対応するための仕組みの構築」と「インシデントによる被害に備えた復旧体制の整備」の2項目が追加されました。具体的には、企業は、自社の事業内容や規模、システムの重要度などを考慮した上で、組織全体としてサイバーセキュリティリスクに対する対応方針や対策を明確化し、文書化する必要があります。また、実際にサイバー攻撃による被害が発生した場合に備え、あらかじめ対応手順を定め、関係者への周知や訓練などを実施しておくことも求められています。
このように、ガイドライン改定は、企業に対して、サイバーセキュリティ対策を単なるシステムの導入や設定に留めるのではなく、組織全体で継続的に取り組むべき経営課題として捉え、対応していくことを強く求めるものとなっています。
従来の対策の課題 | 新たな対策の必要性 | 具体的な対策内容 |
---|---|---|
従来の外部からの侵入を防ぐことを目的とした対策だけでは、巧妙化するサイバー攻撃への対応が困難 | サイバー攻撃による被害の未然防止に加え、被害発生時の影響最小化と迅速な復旧体制の構築が必要 | – サイバーセキュリティリスクに対応するための仕組みの構築 – インシデントによる被害に備えた復旧体制の整備 |
– | 企業は、事業内容や規模、システムの重要度に応じた対応方針や対策を明確化し、文書化する必要がある | – 組織全体としてのサイバーセキュリティリスク対応方針の明確化 – 対策の文書化 |
– | サイバー攻撃被害発生時の対応手順を定め、関係者への周知や訓練を実施する必要がある | – 対応手順の策定 – 関係者への周知 – 訓練の実施 |
まとめ:企業の未来を守るために
現代社会において、企業活動は情報通信技術(ICT)と密接に結びついており、その重要性はますます高まっています。しかし、それと同時にサイバー攻撃の脅威も増大しており、企業は事業の継続、顧客の信頼、そして自社の未来を守るために、サイバーセキュリティ対策を経営上の最重要課題の一つとして捉えなければなりません。
もはや、サイバーセキュリティ対策は、専門知識を持つ一部の担当者だけの問題ではありません。経営層から従業員一人ひとりに至るまで、全社を挙げて意識を高め、組織全体で取り組むべき経営課題として認識することが重要です。
具体的には、政府が公表しているサイバーセキュリティ経営ガイドラインなどを参考に、自社の置かれている状況や課題を分析し、経営戦略と整合の取れた、実効性の高いサイバーセキュリティ対策を計画・実行していく必要があります。
組織全体のセキュリティ意識向上のための教育や訓練、最新の脅威情報収集と分析、システムの脆弱性診断と対策、インシデント発生時の対応体制構築など、多岐にわたる対策を継続的に実施していくことが重要です。
サイバーセキュリティ対策は、決して一度実施すれば終わりではありません。日々進化するサイバー攻撃の手口に対応するために、常に最新の情報を収集し、状況の変化に応じて対策を改善していくことが、企業の持続的な成長と発展、そして社会全体の安全と安定につながるのです。
現代社会における企業活動とサイバーセキュリティ |
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ICTの重要性とサイバー攻撃の脅威増加 |
事業継続、顧客の信頼、自社の未来を守るためにサイバーセキュリティ対策は最重要課題 |
組織全体で取り組むべき経営課題として認識 |
経営戦略と整合、実効性の高い対策 |
具体的な対策(セキュリティ意識向上、脅威情報収集、脆弱性診断、インシデント対応など)を継続的に実施 |
常に最新の情報収集、状況変化に対応した対策改善 |