コンピューター通信の基礎、プロトコルを解説

コンピューター通信の基礎、プロトコルを解説

ICTを知りたい

先生、「プロトコル」って何か簡単に説明してもらえますか?

ICT研究家

「プロトコル」は、コンピューター同士が正しく情報をやり取りするための約束事だよ。例えば、手紙を出すとき、宛名や住所の書き方が決まっているよね?あれと同じように、コンピューターの世界でも、データの送り方や受け取り方を決めておかないと、正しく情報が伝わらないんだ。

ICTを知りたい

なるほど。じゃあ、なんで「プロトコル」は大切なんですか?

ICT研究家

それはね、「プロトコル」があるおかげで、世界中の様々なコンピューターが同じように情報をやり取りできるからなんだ。もし「プロトコル」が無ければ、それぞれバラバラのやり方で通信することになって、情報が正しく伝わらなくなってしまうんだよ。

プロトコルとは。

「コンピューターなどの情報通信技術において欠かせない『通信規格』について説明します。この通信規格は、昔ギリシャで使われていた巻物の最初のページを指す言葉がもとになっており、今では、物事を進める上での決まり事や作法という意味で使われています。コンピューターの世界では、情報をやり取りする際に、必ずこの通信規格に従って行われています。インターネット技術特別調査委員会という組織が、たくさんの通信規格を決めて管理しています。インターネットで使う通信規格も、この組織が『意見募集』という形で技術仕様を公開しています。通信規格に基づいて順番に処理を行うプログラムの集まりを『プロトコルスタック』と呼びます。コンピューターにこのプロトコルスタックを組み込むことで、ネットワークに接続して情報をやり取りできるようになります。通信規格は、機能ごとに階層状に積み重ねられているのが特徴です。例えば、インターネット接続に使うTCP/IPという通信規格は、上から『アプリケーション層』『トランスポート層』『インターネット層』『ネットワークインターフェイス層』の4つの階層に分かれています。このように階層化することで、複雑なネットワーク通信も、それぞれの階層を独立して扱うことができます。それぞれの階層では、独自の機能を持ったプロトコルスタックが動作しています。」

プロトコルとは

プロトコルとは

– プロトコルとは

コンピューター同士が情報をやり取りする際、そこには必ず決められたルールが存在します。このルールを「プロトコル」と呼びます。人間社会においても、円滑なコミュニケーションには共通の言語やマナーが不可欠であるように、コンピューターの世界でも、このプロトコルが非常に重要な役割を担っています。

例えば、私たちが普段何気なく利用しているウェブサイト。このウェブサイトにアクセスし、情報を見ることができるのは、「HTTP」というプロトコルが裏で働いているおかげです。HTTPは、ウェブサイトのデータを送受信する際のルールを定めており、これに従ってコンピューター同士が情報をやり取りすることで、私たちはスムーズにウェブサイトを閲覧できます。

他にも、電子メールの送受信に使われる「SMTP」、ファイル転送に利用される「FTP」など、様々な場面でプロトコルは活躍しています。

プロトコルは、コンピューターネットワークにおいて、まさに共通言語のような役割を果たしていると言えるでしょう。異なる機種のコンピューター間でも、プロトコルさえ合致していれば、円滑に情報交換を行うことができます。これは、インターネットのように世界中に広がるネットワークを支える上で、非常に重要な要素となっています。

プロトコル 説明 用途
HTTP ウェブサイトのデータ送受信ルール ウェブサイトの閲覧
SMTP 電子メールの送受信ルール 電子メールの送受信
FTP ファイル転送のルール ファイル転送

プロトコルの役割と重要性

プロトコルの役割と重要性

異なる種類のコンピュータが、まるで異なる言語を話す人々の様に、それぞれの独自のルールで情報交換を行っているとしたらどうでしょうか。コミュニケーションは混乱し、意思疎通は困難になるでしょう。これを防ぎ、円滑な情報交換を可能にするのが「プロトコル」です。

プロトコルは、異なるコンピュータ同士が正しく情報をやり取りするための共通の約束事と言えます。データの形、エラーへの対処法、接続の開始と終了の方法など、通信に関する様々な側面を細かく定めています。

例えば、インターネット上で広く使われている「TCP/IP」というプロトコルは、情報を小さなパケットに分割して送信し、受信側で元の形に復元する方法や、データの順番や欠落をチェックする方法などを規定しています。

もしプロトコルが存在しないと、コンピュータは互いの情報を理解できず、情報交換は成り立ちません。まるで異なる言語を話す人々が通訳なしにコミュニケーションを取ろうとするのと同じように、混乱が生じてしまいます。

このように、プロトコルは、異なるシステム間での円滑な情報交換を保証する上で、非常に重要な役割を担っています。インターネットをはじめとする現代の情報通信技術において、プロトコルはもはや欠かせない存在と言えるでしょう。

プロトコルとは 役割
異なるコンピュータ同士が正しく情報をやり取りするための共通の約束事 異なるシステム間での円滑な情報交換を保証する TCP/IP

プロトコルの種類

プロトコルの種類

– プロトコルの種類

異なるコンピュータ同士が正しく情報をやり取りするためには、共通の約束事が必要です。この約束事を「プロトコル」と呼びます。プロトコルは、手紙の書き方に例えると分かりやすいかもしれません。宛先や差出人の書き方、日付の記述方法などが決まっていることで、私たちはスムーズに手紙を送受信できます。

プロトコルには、用途や動作する階層に応じて様々な種類があります。インターネット通信で広く使われている「TCP/IP」は、代表的なプロトコルの一つです。TCP/IPは、複数のプロトコルを組み合わせた「プロトコルスイート」と呼ばれるもので、データの信頼性を保ちながら効率的に送受信するなど、多様な機能を提供します。

TCP/IPは、機能ごとに階層化されているのも特徴です。例えば、Webページの閲覧に用いられる「HTTP」はアプリケーション層、データの信頼性を確保する「TCP」はトランスポート層、ネットワーク間の接続を制御する「IP」はインターネット層といったように、それぞれ異なる階層で動作します。

この他にも、ネットワーク機器の監視や制御を行う「SNMP」、通信の安全性を確保する「TLS/SSL」など、様々なプロトコルが存在し、私たちの快適な情報生活を支えています。

階層 プロトコル 説明
アプリケーション層 HTTP Webページの閲覧に用いられる
トランスポート層 TCP データの信頼性を確保する
インターネット層 IP ネットワーク間の接続を制御する
その他 SNMP ネットワーク機器の監視や制御を行う
その他 TLS/SSL 通信の安全性を確保する

プロトコルの階層構造

プロトコルの階層構造

– プロトコルの階層構造

コンピュータネットワークにおいて、情報を正しくやり取りするには、様々なルールが必要です。このルールを「プロトコル」と呼びますが、複雑な通信処理を効率的に行うために、プロトコルは階層構造をとっています。これは、建物を建てる際に、土台、柱、壁、屋根というように、役割ごとに分担して作業を進めることに似ています。

プロトコルも同様に、階層ごとに独立した役割を担っています。例えば、ある階層はデータの送信元と宛先を管理し、別の階層はデータの誤り訂正を担当します。そして、上位の階層は、下位の階層が提供する機能を組み合わせることで、より複雑な処理を実現します。階層構造の利点は、特定の階層に変更を加えても、他の階層への影響を最小限に抑えられる点にあります。これは、建物の壁の色を変えても、土台や柱に影響がないのと同様です。

このように、プロトコルを階層構造にすることで、柔軟性と保守性を高め、ネットワーク技術の進化を支えています。たとえ技術革新が起こっても、特定の階層だけに変更を加えれば対応できるため、ネットワーク全体を再設計する必要がありません。この柔軟性と保守性の高さこそが、プロトコルの階層構造の大きなメリットと言えるでしょう。

プロトコルの階層構造 説明
定義 複雑な通信処理を効率的に行うためのルールを階層的に分割したもの 建物の土台、柱、壁、屋根のように役割ごとに分担
役割分担 階層ごとに独立した役割を持つ データの送信元と宛先管理、データの誤り訂正など
階層間の関係 上位の階層は下位の階層の機能を組み合わせて、より複雑な処理を実現
メリット 特定の階層への変更が他の階層に与える影響を最小限に抑える(柔軟性と保守性) 壁の色を変えても、土台や柱に影響がないのと同様
技術革新への対応 特定の階層のみの変更で対応可能(ネットワーク全体の再設計が不要)

プロトコルの将来

プロトコルの将来

技術の進歩はとどまることを知らず、それに伴い、情報をやり取りするための「約束事」とも言えるプロトコルも、常に進化を続けています。インターネットに接続されたモノが情報をやり取りする技術であるIoTや、より高速な通信を可能にする5Gなどの普及により、これまで以上に膨大な数の機器がネットワークにつながるようになりました。
この流れは、より多くの情報をより速く、そして安全にやり取りすることへの要求を高め、従来のプロトコルを改善したり、全く新しいプロトコルを開発したりする取り組みを活発化させています。
例えば、従来のインターネット通信に使われるTCP/IPプロトコルは、高速な通信には適しておらず、多くの機器が同時に接続すると処理が追いつかなくなる可能性があります。そこで、5Gなどの高速通信に対応した新しいプロトコルが開発され、よりスムーズなデータのやり取りが実現されようとしています。
このように、プロトコルは、進化し続ける情報通信技術において、影の立役者として重要な役割を果たしていくと考えられています。

技術の進歩 プロトコルの進化 具体的な例
IoT、5Gなどの普及により、膨大な数の機器がネットワークに接続 より多くの情報をより速く、そして安全にやり取りすることへの要求が高まり、従来のプロトコルを改善したり、全く新しいプロトコルを開発したりする必要性 従来のTCP/IPプロトコルは高速通信に不向きであるため、5Gなどの高速通信に対応した新しいプロトコルが開発されている