高速ネットワークの鍵!ATM技術を解説
ICTを知りたい
先生、「ATM」ってよく聞くけど、銀行のATMとは違うんですよね?
ICT研究家
よくぞ聞いてくれました!確かに同じ「ATM」ですが、全く違う意味で使われています。銀行のATMは「現金自動預け払い機」の略で、ICTで使うATMは「非同期転送モード」というネットワーク技術の略称なんですよ。
ICTを知りたい
ネットワーク技術のATMは、どんな特徴があるんですか?
ICT研究家
簡単に言うと、データを小さな荷物に分けて、必要な時だけ送る技術です。だから、回線を常に繋いでおく必要がなく、速く情報をやり取りできるんです。
ATMとは。
「情報通信技術に欠かせない言葉、『ATM』について説明します。ATMは、非同期転送モードとも呼ばれ、オフィスや建物のネットワークをより速く動かすための技術です。常に回線を繋いでおく必要がなく、必要な時にだけデータを送ることができるので「非同期通信」と呼ばれています。ATMには、主に以下の三つの特徴があります。一つ目は、データを一定の大きさ(53バイト)に区切って送る仕組みがあることです。この区切られたデータは「セル」と呼ばれ、大きさが決まっていることと、一つ一つが小さいことから、データの処理が簡単になり、高速化につながります。二つ目は、一つの回線を論理的に分けて、同時に複数の通信を可能にすることです。これは「仮想回線」と呼ばれ、複数のデータを同時に送ることができます。三つ目は、音声や画像など、データの種類に応じて通信の質を保証する仕組みがあることです。これは「サービス品質」と呼ばれ、データの種類に合わせて、一定量のデータを送る速度を保証する通信方式や、最低限の通信速度を保ちつつ、空いている回線を有効活用する通信方式など、四つの方式から選択できます。
ATMとは
– ATMとは
ATM(非同期転送モード)は、従来の通信方式と比べて、格段に速いスピードで情報をやり取りできる技術です。
従来の技術では、情報を送る場合でも送らない場合でも、常に通信回線を接続した状態にしておく必要がありました。これは、情報を送る前に回線を同期させておく必要があり、たとえ一瞬でもデータを送信しない時間があると、回線が無駄になっていました。
一方ATMでは、必要な時にだけ情報を送受信するという方法をとっています。これは、決まった時間に一斉にデータを送るのではなく、必要な時に必要なデータだけを送るというイメージです。
このように、ATMは回線を常に接続しておく必要がないため、回線を有効活用できます。その結果、従来の技術よりも効率的に情報を送ることができ、高速なデータ通信を実現しているのです。
項目 | 従来の通信方式 | ATM |
---|---|---|
回線接続 | 常時接続 | 必要な時のみ接続 |
データ送信 | 一斉に送信 | 必要な時に必要なデータだけを送信 |
回線効率 | 低い | 高い |
通信速度 | 遅い | 高速 |
ATMの仕組み:固定長セルによる高速処理
ATMは、銀行の窓口業務を代行する機械として広く普及していますが、その高速なデータ通信を支える技術に「ATM」と呼ばれる通信方式が使われています。このATMの大きな特徴の一つが、データを固定長の小さなセルに分割して送受信する仕組みです。
1つのセルのサイズはわずか53バイトと非常に小さく、この小さなデータのかたまりに分割して送ることで、従来の通信方式に比べて処理速度を大幅に向上させています。
ATM以前の通信方式では、データの長さがまちまちであったため、データを受信するたびにその長さを読み取る必要があり、処理に時間がかかっていました。一方、ATMでは、すべてのセルが同じ長さで統一されているため、データの長さを確認する処理が不要になり、高速な処理が可能となりました。
データの分割と再構成は、ATM機器内部で効率的に行われます。利用者は、ATMを使って預金を引き出したり、残高照会をしたりする際に、ATMの内部で複雑なデータ処理が行われていることを意識する必要はありません。ATMは、固定長セルによる効率的なデータ通信によって、利用者に高速で快適なサービスを提供しています。
項目 | 内容 |
---|---|
ATM通信の特徴 | データを固定長(53バイト)のセルに分割して送受信 |
メリット |
|
従来方式との比較 | データの長さがまちまちで、受信の度に長さを読み取る必要があった |
利用者への影響 | 高速で快適なサービスの利用が可能 |
同時多重通信で回線を有効活用
情報を高速でやり取りする技術として知られるATMは、一つの回線をまるでいくつもの細い回線に分割して、複数の通信を同時に行う「同時多重通信」という技術を使っています。これは、一つの道路を複数のレーンに区切って、たくさんの車を同時に走らせる様子に似ています。
ATMでは、データを小さく分割して「セル」と呼ばれる専用の入れ物に詰め込みます。そして、このセル一つ一つに宛先情報を付加することで、複数の通信データを混在させて一つの回線に送り出すことが可能になります。 まるで、たくさんの車がそれぞれの行き先に合わせてスムーズに走行するように、データは混雑することなくそれぞれの宛先に届きます。
このように、物理的な回線は一つでも、論理的に複数の回線として使うことで、回線を有効活用し、通信の効率を大幅に向上させることができます。その結果、複数のアプリケーションを同時に使う場合でも、ストレスなく快適に通信できる環境が実現できます。
データの特性に合わせた通信品質の保証
私たちは、インターネットを使って様々な情報をやり取りする時代になりました。この情報の中には、音声データのように、少しでも遅延すると品質が落ちてしまうものや、データファイルのように、多少遅れても問題ないものなど、様々な種類があります。
従来の通信方式では、全てのデータに対して一律に品質が保証されていました。しかし、音声データとデータファイルを同じように扱うと、音声データの品質が十分に保証されない場合や、データファイルの転送に無駄に時間がかかってしまう場合がありました。
そこで登場したのがATMという技術です。ATMは、「サービス品質」という意味のQoSという機能を持っています。QoSは、データの種類に応じた通信品質を保証するための機能です。例えば、音声データには遅延が少ない通信経路を、データファイルには多少遅延があっても問題ない通信経路を割り当てることで、それぞれのデータに最適な品質で通信することを可能にします。
このように、ATMはデータの特性に合わせて通信品質を保証することで、快適なインターネット環境の実現に貢献しています。
従来の通信方式 | ATM |
---|---|
全てのデータに一律に品質保証 | データの種類に応じた通信品質を保証(QoS) – 音声データ:遅延が少ない通信経路 – データファイル:多少遅延があっても問題ない通信経路 |
音声データの品質保証が不十分な場合がある データファイルの転送に時間がかかる場合がある |
それぞれのデータに最適な品質で通信可能 |
ATMの利用例
– ATMの利用例ATMは、「非同期転送モード」という通信方式で、情報を小さく分割して送受信することで、高速で効率的なデータ通信を実現する技術です。特に、大容量のデータのやり取りが必要となる場面や、瞬時の応答性が求められる場面でその真価を発揮してきました。代表的な例として、多くの企業が利用する企業ネットワークが挙げられます。企業ネットワークでは、日々膨大な量の業務データがやり取りされています。ATMは、この膨大なデータを効率的に処理することで、業務の円滑化に貢献してきました。また、映像や音声の遅延を最小限に抑える必要がある動画配信サービスでも広く活用されてきました。ATMの高速なデータ伝送能力は、高画質・高音質な動画配信を支える重要な要素となっていました。近年では、光ファイバーやイーサネットといった技術革新が進み、ATMに取って代わる新たな通信方式も登場しています。しかし、ATMは高速データ通信技術の礎を築いた技術として、その影響力は今もなお健在です。ATMで培われた技術やノウハウは、現在普及している様々な通信技術の基盤となっており、私たちの生活を支え続けています。
項目 | 内容 |
---|---|
ATMとは | 非同期転送モードという通信方式で、情報を小さく分割して送受信することで、高速で効率的なデータ通信を実現する技術 |
メリット | 大容量のデータのやり取りや、瞬時の応答性が求められる場面に最適 |
利用例 | – 企業ネットワーク(膨大な業務データの効率的な処理) – 動画配信サービス(映像や音声の遅延を最小限に抑える) |
現状 | 光ファイバーやイーサネットといった技術革新により、ATMに取って代わる新たな通信方式も登場しているが、現在普及している様々な通信技術の基盤として影響力は健在 |