リモートデスクトップを変える技術 PCoIP
ICTを知りたい
『PCoIP』って、何だか難しそうな言葉ですね。どういう意味ですか?
ICT研究家
そうだね。『PCoIP』は、遠くにあるコンピューターの画面を、自分のコンピューターで見れるようにする技術なんだ。 例えば、家にいながら会社のコンピューターを使うことを想像してみて。
ICTを知りたい
ああ、リモートデスクトップみたいなものですか?
ICT研究家
その通り! リモートデスクトップで、特に綺麗に画面を表示することに特化しているのが『PCoIP』なんだ。 図や写真が多い作業でも、滑らかに表示できるのが特徴だよ。
PCoIPとは。
「情報通信技術に関係する言葉、『PCoIP』について説明します。『PCoIP』とは、離れた場所にあるコンピューターの画面を、まるで自分のパソコンの前にいるかのように操作できる環境を実現する技術の一つです。この技術は、仮想デスクトップと呼ばれる、実際には存在しないパソコンの画面イメージを、操作する人のパソコンに届けるための決まり事のようなものです。
この技術は、カナダのTeradiciという会社で作られました。そして、2009年11月には、アメリカのVMwareという会社が発表した『VMwareView』という、仮想デスクトップを実現するためのシステムのバージョン4に採用されたことで、注目を集めるようになりました。
『PCoIP』は、もともと、立体的な映像や医療で使われる画像を、離れた場所に送るために作られました。最初は、専用の機器が必要でしたが、2008年にTeradici社とVMware社が協力して、『PCoIP』をソフトウェアで実現しました。
『PCoIP』は、インターネットの速度が遅くても、画面が綺麗に表示されることや、立体的な映像など、処理の重い画像にも対応していることが特徴です。
『PCoIP』は、画面に出力される情報を、写真や動画、文字といった種類に分けて認識し、種類に応じて最適な方法でデータを圧縮します。そして、データの種類に合わせて転送の順番を決めることで、インターネットの速度が遅くても見やすく表示されるように工夫されています。また、インターネットの速度が速くなると、自動的に画像のきめ細かさを上げていくため、高精細な画像を表示することも可能です。」
PCoIPとは
– PCoIPとはPCoIP(ピーシーオーバーアイピー)は、遠隔地のコンピュータを操作するための技術であるリモートデスクトップ環境において、中心的な役割を担うプロトコルです。この技術は、仮想デスクトップの画面イメージを、まるで動画を配信するかのごとく、利用者の端末に送り届けることで成り立っています。
ユーザーの端末には、実際にはデータ処理は行わず、受け取った画面イメージを表示するだけの役割を担わせることで、処理能力の低い端末であっても、遠隔地にある高性能なコンピュータを操作することを可能にしています。 また、キーボードやマウスの操作信号を遠隔地のコンピュータに送り届けることで、あたかもその場にいるかのような感覚で操作することができます。
PCoIPは、単に画面転送を行うだけでなく、データの圧縮や暗号化にも優れた性能を発揮します。そのため、回線状況が良好ではない環境でも、高画質で滑らかな画面表示を実現し、機密性の高い情報を含む業務システムにも安心して利用することができます。
こうした特徴から、PCoIPは、場所にとらわれずに仕事ができるテレワークの普及を大きく後押ししました。
特徴 | 説明 |
---|---|
画面表示 | 仮想デスクトップの画面イメージを動画のように配信 |
処理 | ユーザー端末は画面表示のみを行い、実際の処理は遠隔地のコンピュータで実行 |
操作 | キーボードやマウスの操作信号を遠隔地のコンピュータに送信し、遠隔操作を実現 |
データ圧縮・暗号化 | 優れたデータ圧縮・暗号化性能により、高画質・滑らかな画面表示とセキュリティを両立 |
用途 | テレワークなどの場所にとらわれない働き方を支援 |
誕生の背景
– 誕生の背景
PCoIPは、カナダに拠点を置くTeradici社によって開発されました。元々は、3次元コンピューターグラフィックスや医療画像など、精密な画像を扱う分野において、高画質かつ遅延なく遠隔地へ画像転送することを目的としていました。
これらの分野では、画像の細部まで鮮明に表示され、かつ操作に対する反応が遅延なくスムーズに行われることが非常に重要となります。しかし、従来の技術では、これらの要求に応えることが難しい状況でした。そこで、Teradici社は、高画質と低遅延を実現する革新的な画像転送技術として、PCoIPを開発したのです。
その後、2008年には、仮想化技術で世界をリードするVMware社と共同でPCoIPソフトウェアの開発が進められました。これにより、PCoIPは、3次元コンピューターグラフィックスや医療分野だけでなく、より幅広い分野への応用が可能となりました。そして、現在では、仮想デスクトップやリモートワークなど、様々な場面で活用されています。
項目 | 内容 |
---|---|
開発元 | Teradici社(カナダ) |
開発の目的 | 3次元コンピューターグラフィックスや医療画像など、精密な画像を扱う分野において、高画質かつ遅延なく遠隔地へ画像転送すること |
従来技術の課題 | 高画質と低遅延の両立が困難 |
PCoIPの利点 | 高画質と低遅延を実現 |
発展 | 2008年、VMware社との共同開発により、仮想デスクトップやリモートワークなど、幅広い分野への応用が可能に |
VMwareとの連携
– VMwareとの連携2009年、アメリカのVMware社が発表したデスクトップ仮想化システム「VMwareView」のバージョン4にPCoIPが採用され、大きな注目を集めました。では、VMwareViewとはどのようなシステムなのでしょうか。 VMwareViewは、サーバー上に複数の仮想デスクトップ環境を構築し、複数のユーザーがそれぞれのデスクトップ環境を遠隔から利用できるようにするシステムです。この技術によって、場所にとらわれずに仕事ができる環境が実現できるようになりました。
PCoIPは、このVMwareViewシステムにおいて、重要な役割を担っています。それが、高画質かつスムーズな画面転送の実現です。ユーザーは、まるで目の前にパソコンがあるかのように、快適に仮想デスクトップ環境を利用することができます。このPCoIPの技術が、VMwareViewの普及を大きく後押ししたと言えるでしょう。
システム名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
VMwareView | サーバー上に複数の仮想デスクトップ環境を構築し、複数のユーザーがそれぞれのデスクトップ環境を遠隔から利用できるようにするシステム | 場所にとらわれずに仕事ができる環境を実現 |
PCoIP (VMwareViewで採用された技術) | VMwareViewシステムにおいて、高画質かつスムーズな画面転送を実現する技術 | ユーザーは、まるで目の前にパソコンがあるかのように、快適に仮想デスクトップ環境を利用できる |
低帯域でも快適な表示を実現
インターネット回線の速度が遅い環境でも、ストレスなく画面表示ができる技術として注目されているのがPCoIPです。PCoIPは、従来の技術とは異なる独自の画像処理技術を用いることで、少ないデータ量で高画質な映像を伝送することを可能にしています。
PCoIPの大きな特徴は、画面に映し出される内容を自動的に認識し、その種類に応じて最適な圧縮方法を選択することです。例えば、写真や動画、文章など、表示する情報の種類によってデータ量は大きく異なります。PCoIPは、これらの違いを自動的に判別し、それぞれに適した方法でデータを圧縮します。写真や動画など、視覚的に多くの情報量を持つコンテンツは、滑らかで自然な表示を保つために、より多くのデータ量を必要とします。一方、文章のように情報量の少ないコンテンツは、データ量を抑えても表示品質に大きな影響を与えません。PCoIPは、このようなコンテンツの特性に合わせて圧縮レベルを調整することで、常に最適な画質を維持しながら、データ転送量を最小限に抑えることを実現しています。
このように、PCoIPは表示する内容を分析し、最適な圧縮方法を選択することで、回線速度が遅くても快適な表示環境を提供します。この技術により、場所を選ばずに快適に作業できる環境が実現すると期待されています。
高画質表示への対応
昨今、様々なデバイスの高画質化が進んでいますが、PCoIPはそうした流れにも柔軟に対応できます。
PCoIPは、ネットワークの通信速度に合わせて、画面に表示する画像の精細さを自動的に調整する機能が備わっています。つまり、高速な回線環境では、より高精細な画像を表示することが可能になるのです。
この機能により、デザイン性の高い画像を扱うデザイン作業や、緻密な編集が求められる動画編集など、高画質が求められる作業でもストレスなく行うことができます。
従来の技術では、高画質表示を実現しようとすると、どうしても通信速度がネックとなり、表示が遅延したり、画面がカクついたりするといった問題が発生していました。しかし、PCoIPは通信環境に合わせて画質を最適化するため、そのような問題が発生しにくくなっています。
このように、PCoIPは高画質表示への対応という点においても優れた特性を持っており、様々な用途で快適な利用体験を提供することができます。
PCoIPの特徴 | メリット | 従来技術との比較 |
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ネットワーク通信速度に合わせて画面表示の精細さを自動調整 | 高速回線環境では高精細な画像表示が可能 デザイン作業や動画編集など高画質が求められる作業もストレスなく実行可能 |
従来技術では高画質表示しようとすると通信速度がネックとなり、表示遅延や画面のカクつきが発生していた |