主体的な学びを促進するプロジェクトベースドラーニング

主体的な学びを促進するプロジェクトベースドラーニング

ICTを知りたい

先生、『プロジェクトベースドラーニング』って、どんな学習方法ですか?

ICT研究家

みんなで協力して、ひとつのことをやり遂げる学習方法だよ。例えば、学園祭で劇をすることになったら、配役決めから衣装作り、舞台設定まで、自分たちで考えて、協力して進めていくようなイメージだね。

ICTを知りたい

なるほど。みんなで劇を作るような感じなんですね!先生はどんなことをしてくれるんですか?

ICT研究家

先生は、劇のテーマを決めたり、困った時にアドバイスしたりするよ。でも、基本的にはみんなが中心になって進めていくんだ。だから、大変だけど、やりがいがある学習方法なんだよ。

プロジェクトベースドラーニングとは。

「情報通信技術と関わる言葉に『プロジェクト型の学び』というものがあります。これは、生徒たちが少人数のグループを作り、難しい課題ややりがいのある問題に自分たちで取り組み、解決を目指す学習方法です。みんなで話し合い、情報を探し、自分たちで答えを見つけ出すことを目指します。 この学習方法は、カナダのマックスター大学で教育学者のジョン・デューイ先生が生み出した学びの考え方をもとにしています。 生徒たちが自ら進んで学ぶ『アクティブラーニング』を実現する方法として、近年注目されています。 この学び方では、生徒たちが主役となりますが、先生も適切な例題を示したり、基本的な説明を行ったりするなど、生徒たちの学びを支えることが大切です。」

プロジェクトベースドラーニングとは

プロジェクトベースドラーニングとは

– プロジェクトベースドラーニングとは

従来の授業では、先生が一方的に知識を教え、生徒はそれを覚えるという受動的な学習が中心でした。しかし、社会に出ると、自ら問題を発見し、解決策を考えて行動する力が求められます。

そこで注目されているのが、プロジェクトベースドラーニングです。これは、生徒たちが現実世界の問題や課題に取り組み、グループで協力しながら解決策を見出す学習方法です。

プロジェクトベースドラーニングでは、生徒はまるで実際のプロジェクトに携わるプロフェッショナルのように、情報収集、計画立案、実行、評価といったプロセスを経験します。例えば、地域社会の課題解決をテーマにするなら、生徒たちはまず地域に出て行き、住民への聞き取り調査や文献調査などを通して課題を見つけ出します。そして、その課題に対する解決策をグループで話し合い、計画を立て、実際に実行していきます。

このように、プロジェクトベースドラーニングでは、生徒たちは受動的に知識を詰め込むのではなく、自ら学び、考え、行動する主体的な学習者となります。そして、その過程を通して、問題解決能力や協調性、コミュニケーション能力など、社会で必要とされるスキルを身につけていくことができるのです。

項目 内容
従来の授業 先生が一方的に知識を教え、生徒はそれを覚える受動的な学習
社会で求められる力 自ら問題を発見し、解決策を考えて行動する力
プロジェクトベースドラーニング(PBL) 現実世界の問題や課題に取り組み、グループで協力しながら解決策を見出す学習方法
PBLのプロセス 情報収集、計画立案、実行、評価(実際のプロジェクトと同様)
PBLの例 地域社会の課題解決をテーマに、住民への聞き取り調査や文献調査、解決策の計画・実行
PBLの効果 生徒は主体的な学習者となり、問題解決能力や協調性、コミュニケーション能力を身につける

起源と歴史

起源と歴史

– 起源と歴史

「習うより慣れろ」ということわざがあるように、人は実際に体験することで深く理解し、学びを得ることが多いものです。 経験を通して学ぶことの大切さを説いた教育方法は、20世紀初頭にアメリカの教育学者ジョン・デューイによって提唱されました。彼はこれを「経験主義」と呼び、子どもたちが机上の学習だけでなく、実際に自分の手を使って活動することの重要性を訴えました。

デューイの考え方は、教育界に大きな影響を与え、その後、カナダのマックスター大学を中心にプロジェクトベースドラーニング(Project Based Learning PBL)という学習方法が発展しました。PBLは、子どもたちが現実世界の問題解決に取り組むことを通して、必要な知識やスキルを身につけていく学習方法です。デューイの提唱した「経験主義」の考え方を色濃く受け継ぎ、子どもたちが主体的に学び、成長していくことを重視しています。

このように、プロジェクトベースドラーニングは、20世紀初頭のアメリカの「経験主義」を起源とし、カナダのマックスター大学で発展してきました。そして、現在では世界中の教育機関で導入され、注目を集めています。

概念 説明 提唱者 場所 時期
経験主義 実際に体験することで深く理解し、学びを得ることを重視する教育方法 ジョン・デューイ アメリカ 20世紀初頭
プロジェクトベースドラーニング(PBL) 現実世界の問題解決に取り組むことを通して、必要な知識やスキルを身につけていく学習方法。
デューイの「経験主義」の考え方を色濃く受け継いでいる。
カナダのマックスター大学

アクティブラーニングとの関連

アクティブラーニングとの関連

– アクティブラーニングとの関連

「アクティブラーニング」とは、学ぶ側が受け身で知識を吸収するのではなく、自ら積極的に学習へ取り組むことを重視した学習方法です。従来の一方向的な授業形式とは異なり、生徒たちが主体的に思考し、行動し、学びを深めていくことを目指します。

「プロジェクトベースドラーニング」は、このアクティブラーニングを実現するための具体的な方法の一つとして近年注目を集めています。具体的な課題や問題解決に取り組むことを通じて、生徒たちは受動的な学習姿勢から脱却し、能動的な学習者へと変容していきます。

プロジェクトベースドラーニングでは、生徒たちは自ら情報を探し、収集し、分析する能力を養います。また、グループワークを通して、他の生徒と意見交換や議論を重ねることで、多様な視点や考え方に触れ、協調性やコミュニケーション能力を育みます。さらに、試行錯誤を繰り返しながら課題解決に取り組む過程を通して、問題解決能力や批判的思考力を身につけていきます。

このように、プロジェクトベースドラーニングは、アクティブラーニングの理念を実現する有効な手段として、教育現場に新たな風を吹き込んでいます。

教師の役割

教師の役割

– 教師の役割

近年、注目を集めている学習方法の一つに、生徒が主体的に課題に取り組むプロジェクトベースドラーニングがあります。この学習方法において、教師は従来のように一方的に知識を伝えるだけの存在ではありません。むしろ、生徒一人ひとりの学びを支え、導く役割を担うことが求められます。

具体的には、教師はまず、生徒たちの習熟度や興味関心に合わせた適切な課題を設定する必要があります。やさしすぎても難しすぎても、生徒たちのやる気を引き出すことはできません。生徒たちが挑戦しがいを感じながらも、達成可能なレベルの課題を設定することが、教師の腕の見せ所と言えるでしょう。

また、課題に取り組む過程では、生徒が必要とする情報へのアクセスを支援することも重要です。膨大な情報の中から、本当に必要な情報を探し出すことは容易ではありません。生徒たちが迷わずに学習を進められるよう、関連書籍やウェブサイト、時には専門家への相談方法などを紹介することで、効果的に学習を促進することができます。

さらに、プロジェクトベースドラーニングでは、生徒たちがグループで協力しながら課題に取り組む場面も多く見られます。しかし、グループワークは、必ずしもスムーズに進むとは限りません。意見の対立や役割分担のもつれが生じることも少なくありません。このようなときには、教師が間に入って、生徒たちの意見を調整したり、助言を与えたりすることで、グループワークを円滑に進めることができます。

このように、プロジェクトベースドラーニングにおける教師は、生徒の自主性を尊重しながらも、適切なサポートを行うことが求められます。生徒の学びを陰ながら支える、まさに「縁の下の力持ち」としての役割が、教師には求められていると言えるでしょう。

役割 詳細
課題設定 生徒の習熟度や興味関心に合わせた、適切な難易度
の課題を設定する。
情報アクセス支援 課題に必要な情報へのアクセスを支援する。(関連書籍、
ウェブサイト、専門家紹介など)
グループワーク支援 生徒同士の意見調整や助言を行い、円滑な
グループワークを促進する。

利点と課題

利点と課題

– 利点と課題

課題解決能力や協調性を育むことを目的とした、実践的な学習方法であるプロジェクトベースドラーニング(PBL)は、従来の学習方法にはない多くの利点がある一方で、いくつかの課題も存在します。

従来の学習方法では、知識の習得に重点が置かれがちでしたが、PBLは、実際の課題に取り組む過程を通じて、生徒自ら学び、考え、行動する力を育むことを重視しています。

PBLの大きな利点の一つに、生徒の学習意欲を高める効果が挙げられます。
受動的に知識を詰め込むのではなく、自ら課題を設定し、解決策を探求することで、生徒は学習に対してより積極的かつ主体的になることができます。
また、グループで協力して課題に取り組むことで、コミュニケーション能力や協調性を育むことも期待できます。
さらに、PBLは、実社会と密接に関連した課題に取り組むため、学習内容の理解を深め、将来のキャリアに役立つ実践的なスキルを身につけることができます。

一方で、PBLには、適切な課題設定や評価方法の難しさ時間や労力の確保といった課題も存在します。
生徒の興味関心や学習レベルに合わせた課題を設定し、適切に評価することは容易ではありません。
また、PBLは、従来の学習方法に比べて、教師や生徒の時間や労力を要することも事実です。
これらの課題を克服するためには、教員研修の実施や教材開発、時間割の工夫など、様々な取り組みが必要となります。

PBLは、生徒の主体性を引き出し、深い学びを実現する有効な学習方法です。
課題を克服し、PBLの利点を最大限に活かすことで、これからの社会で必要とされる能力を育むことができます。

利点 課題
  • 生徒の学習意欲を高める効果
  • コミュニケーション能力や協調性を育む
  • 学習内容の理解を深め、将来のキャリアに役立つ実践的なスキルを身につける
  • 適切な課題設定や評価方法の難しさ
  • 時間や労力の確保