ブロードキャストドメインとは?
ICTを知りたい
「ブロードキャストドメイン」って、具体的にどういう範囲のことですか?イメージが掴みにくいです。
ICT研究家
そうだね。「ブロードキャストドメイン」は、インターネットで言えば、みんなで使える掲示板のようなものだと考えてみて。そこに書き込んだメッセージは、その掲示板を見ている人全員に見られるよね?
ICTを知りたい
ああ、なんとなく分かります。でも、インターネット全体ではなく、ある範囲に限定されるんですよね?
ICT研究家
そう! その掲示板を見ている人全員、つまり、同じネットワークに接続している機器全体にメッセージが届く範囲が「ブロードキャストドメイン」なんだ。そして、その範囲は「ルーター」という機器で区切られる。だから、ルーターで区切られた範囲が異なるネットワークと考えられるよ。
ブロードキャストドメインとは。
「情報通信技術でよく聞く『ブロードキャストドメイン』について説明します。これは、一言で言うと、イーサネットという技術で、一斉に送信される情報が届く範囲のことです。この範囲では、中継役となる機器なしで、それぞれの機器同士が情報をやり取りできます。また、この範囲内では、相手の機器の住所を調べるための特別な信号も届きます。
この一斉送信は、特定の範囲内の全ての機器に向けて情報が送られるため、『一斉同報』や『同報通信』とも呼ばれます。普段、イーサネットにおけるネットワークと呼んでいるものは、実はこのブロードキャストドメインのことを指しています。
ネットワーク機器によって、この一斉送信情報の扱われ方が異なり、機器の繋げ方によって、情報が届く範囲が決まります。一斉送信が増えると、ネットワーク全体に負荷がかかるため、通常は、中継役となる機器を適切に設定して、情報のやり取りを調整します。
スイッチやブリッジと呼ばれる機器は、ブロードキャストドメインを分ける機能がありません。そのため、一斉送信を防ぐために、中継役となる機器を設置する必要があります。ただし、高機能なスイッチには、『VLAN』という機能が備わっており、この機能を使うことで、ブロードキャストドメインを論理的に分割することが可能になります。」
ブロードキャストドメインの基礎
– 放送区域の基礎知識コンピュータネットワークにおいて、情報を効率的にやり取りするために様々な仕組みが使われていますが、その中でも「放送区域」は基本的な概念の一つです。これは、まるで放送局の電波が届く範囲のように、ネットワーク上で一斉送信された情報が届く範囲のことを指します。この放送区域内では、送信された情報は区域内の全ての機器に届けられます。例えば、会社のネットワークで、人事部から全社員に向けて新しい休暇制度についての案内を一斉送信したとします。この場合、放送区域は会社のネットワーク全体となり、案内はネットワークに接続している全ての社員のパソコンに届きます。しかし、放送区域が広すぎると、情報が行き渡るまでに時間がかかったり、ネットワークに負荷がかかってしまったりする可能性があります。そのため、多くの場合、ネットワークは複数の放送区域に分割されています。これは、大きな会社のオフィスを部署ごとに区切っている様子に似ています。各部署にはそれぞれの放送区域があり、部署内の情報共有はスムーズに行えます。このように、放送区域はネットワークの設計において重要な要素です。適切な設定を行うことで、ネットワークの効率性と安全性を高めることができます。
用語 | 説明 | メリット | デメリット | 例 |
---|---|---|---|---|
放送区域 | ネットワーク上で一斉送信された情報が届く範囲 | 区域内の全ての機器に情報が届く 情報共有がスムーズ |
区域が広すぎると情報が届くのが遅くなる ネットワークに負荷がかかる |
会社のネットワーク全体 部署ごとのネットワーク |
ブロードキャストとネットワーク負荷
情報を一度に多くの機器に伝える際に便利な方法として、広く知られているのがブロードキャストです。しかし便利な反面、ネットワーク全体の負荷を増加させてしまう側面も持ち合わせています。
ブロードキャストは、必要な情報かどうかをそれぞれの機器が判断する前に、範囲内のすべての機器に情報を伝えてしまいます。これは、オフィスで働くすべての人に同じ内容のメモを配る状況に似ています。必要な人とそうでない人がいるにも関わらず、全員に配られるため、無駄が生じてしまう可能性があります。
ネットワークにおいても、同様に無駄が生じてしまいます。情報を必要としない機器にも情報が伝わるため、ネットワーク上を流れる情報量が過剰になり、結果として渋滞を引き起こしてしまいます。重要な情報を含む通信であっても、この渋滞に巻き込まれてしまい、遅延が発生してしまう可能性も孕んでいます。
メリット | デメリット |
---|---|
一度に多くの機器に情報を伝えられる。 | ネットワーク全体の負荷が増加する。 |
情報を必要としない機器にも情報が伝わる。 | |
ネットワーク上の情報量が過剰になり、渋滞が発生する。 | |
重要な情報の通信遅延の可能性がある。 |
ルーターによる分割
オフィスのような環境で、一つのネットワークにたくさんの機器が接続されていると、情報が混乱し、通信速度が遅くなってしまうことがあります。このような問題を解決するために役立つのが「ルーターによる分割」という方法です。
「ルーター」は、異なるネットワークを接続したり、ネットワークを分割したりすることができる機器です。「ルーターによる分割」は、まるでオフィスを部署ごとに分けるように、大きなネットワークを小さなネットワークに分けることを意味します。
例えば、営業部、経理部、開発部があるとします。それぞれの部署に一台ずつルーターを設置し、部署内の機器だけを接続することで、独立した小さなネットワークを構築できます。このようにネットワークを分割すると、各部署内での情報共有はスムーズに行えますが、他の部署に関係のない情報は行き来しなくなります。
これは、それぞれの部署内だけでお知らせを共有するようなもので、不要な情報が他の部署に流れ込むのを防ぎます。その結果、ネットワーク全体の無駄な通信が減り、通信速度の向上やセキュリティの強化といった効果が期待できます。このように、ルーターはネットワークを効率的に運用するために欠かせない役割を担っているのです。
スイッチとブロードキャストドメイン
– スイッチとブロードキャストドメインネットワーク機器同士を物理的に接続し、データの送受信を効率化する役割を担うのがスイッチです。しかし、スイッチにはブロードキャストドメインを分割する機能は備わっていません。ブロードキャストとは、送信者がネットワーク上の全ての機器に対して一度にデータを送信する仕組みです。このブロードキャストが届く範囲をブロードキャストドメインと呼びます。スイッチは接続された機器間でのデータのやり取りを効率化しますが、ブロードキャストデータを受け取ると、接続されている全ての機器に向けてそのデータを転送してしまいます。つまり、スイッチのみでネットワークを構築すると、ネットワーク全体が一つの大きなブロードキャストドメインになってしまいます。これは、ネットワーク上の機器が増えるにつれて、ブロードキャストが増加し、ネットワーク全体の処理速度の低下に繋がる可能性があります。ブロードキャストドメインを分割し、ネットワークの負荷を分散するためには、ルーターが必要となります。ルーターはネットワーク層で動作し、異なるネットワークセグメントを接続する役割を担います。ルーターはブロードキャストを中継しないため、ルーターを介してネットワークを分割することで、ブロードキャストドメインを分割することができます。このように、スイッチはネットワークの効率化に役立つ一方、ブロードキャストドメインの分割には対応していません。そのため、大規模なネットワークを構築する際には、ルーターと組み合わせることで、効率的かつ安定したネットワークを構築することが重要となります。
項目 | 説明 |
---|---|
スイッチ | – ネットワーク機器同士を物理的に接続し、データの送受信を効率化する – ブロードキャストドメインを分割する機能はない – ブロードキャストデータを受け取ると、接続されている全ての機器に転送する |
ブロードキャスト | – 送信者がネットワーク上の全ての機器に対して一度にデータを送信する仕組み |
ブロードキャストドメイン | – ブロードキャストが届く範囲 |
スイッチのみのネットワーク | – ネットワーク全体が一つの大きなブロードキャストドメインになる – ネットワーク上の機器が増えると、ブロードキャストが増加し、ネットワーク全体の処理速度低下につながる可能性がある |
ルーター | – ネットワーク層で動作し、異なるネットワークセグメントを接続する – ブロードキャストを中継しないため、ルーターを介してネットワークを分割することでブロードキャストドメインを分割できる |
仮想LAN(VLAN)の活用
近年、企業ネットワークにおいて、「仮想の空間」を作り出す技術が注目されています。それが「仮想LAN」、すなわちVLANです。従来、オフィスを部署ごとに分けたい場合、実際に壁で仕切るように物理的な配線を変更する必要がありました。しかし、VLANを活用すれば、物理的な配線はそのままで、論理的にネットワークを分割することが可能になります。
イメージとしては、広大なオフィスの中に、目には見えないけれど、確かに存在する「仮想的な仕切り」を作るようなものです。この仕切りによって、異なる部署の端末は互いに通信できなくなり、セキュリティと効率性が向上します。例えば、経理部と営業部をVLANで分離すれば、それぞれが独自のネットワーク環境を持つことができます。
VLANの導入メリットは、柔軟性が高い点にあります。オフィス移転や組織変更など、ネットワークの変更が必要になった場合でも、VLANなら容易に対応できます。物理的な配線変更に比べて、コストや時間を大幅に削減できるため、多くの企業で導入が進んでいます。
項目 | 内容 |
---|---|
技術名 | VLAN(仮想LAN) |
従来の問題点 | オフィス部署ごとに物理的な配線変更が必要だった |
VLANの解決策 | 物理配線はそのままで、論理的にネットワークを分割 |
メリット | 柔軟性が高い、セキュリティと効率性の向上、コスト削減、時間削減 |
具体例 | 経理部と営業部をVLANで分離し、それぞれ独自のネットワーク環境を持つ |