CALS/EC:公共事業の効率化を支える情報システム

CALS/EC:公共事業の効率化を支える情報システム

ICTを知りたい

先生、「CALS」って言葉が出てきたんだけど、何のことかよくわからないんです。教えてください。

ICT研究家

「CALS」は、ものづくりのあらゆる段階をコンピューターを使って効率化するための仕組みだよ。例えば、車を作ることを考えてみよう。設計図を描くのも、部品を注文するのも、完成した車を運ぶのも、全部コンピューターで管理するんだよ。

ICTを知りたい

なるほど。でも、それって今は「CALS」じゃなくて「CALS/EC」って言うんですよね?

ICT研究家

よく知ってるね!「CALS/EC」は「CALS」に電子商取引の意味が加わったものなんだ。例えば、道路工事の入札もインターネットを使って行うことができるんだよ。工事の情報もインターネットで共有されるから、みんなが工事の進み具合を簡単に知ることができるんだ。

CALSとは。

「ICT用語の中に、『生産・調達・運用支援統合システム』を指す『キャルス』という言葉があります。これは、もともと英語の『Continuous Acquisition and Life-cycle Support』の頭文字をとったものです。 キャルスは、製品を作る際の設計、製造、流通、保守といった一連の流れをコンピューター化し、ネットワークを通じて情報をやり取りしたり、共有したりすることで、開発期間の短縮、コスト削減、生産性向上を目指すものです。 キャルスの始まりは、1980年代にアメリカ軍が、物資の補給や運用、供給を効率化するために、マニュアルを電子化するプロジェクトでした。しかし、現在では『キャルス』という言葉は使われなくなり、『キャルスイーシー』に変わっています。これは、日本の省庁再編で建設省と運輸省が統合されて国土交通省ができた際に、両省のキャルスを一つにまとめた際に改称されたものです。 『イーシー』は『電子商取引』を表し、公共工事の入札や契約を電子化するものです。つまり、『キャルスイーシー』は、『公共事業支援統合情報システム』という意味になります。 公共事業におけるキャルスイーシーは、「情報の電子化」「ネットワークの利用」「情報の共有化」という3つの要素で成り立っています。従来は紙で行っていた情報を電子化し、インターネットを通じて情報の交換、共有、連携を可能にします。電子化される情報は、図面、地図、書類、写真など、公共工事の過程で発生するあらゆる情報です。 キャルスイーシーの導入により、業務の効率化、コスト削減、事業の透明性向上などが期待されています。

CALS/ECとは

CALS/ECとは

– 公共事業を支える情報システムCALS/ECとは?CALS/ECは「Continuous Acquisition and Life-cycle Support/Electronic Commerce」の略称で、日本語では「公共事業支援統合情報システム」と訳されます。 このシステムは、公共事業に関わる膨大な情報を一元管理し、関係者間で共有することで、業務の効率化とコスト削減を実現することを目指しています。CALS/ECの起源は、製品のライフサイクル全体を通して情報を一元管理し、関係者間で共有する「CALS」という概念にあります。 製品設計から製造、運用、廃棄に至るまで、全ての段階で発生する情報を一括管理することで、業務の重複やミスを減らし、効率性を高めることを目的としていました。その後、インターネットの普及とともに電子商取引(EC)が発展したことを受け、CALSにもECの要素が組み込まれるようになりました。 これが現在のCALS/ECの始まりです。 現在では、公共事業の入札や契約を電子化するシステムとしても重要な役割を担っています。CALS/ECの導入により、従来は紙で行われていた書類のやり取りが電子化され、データの検索や管理が容易になりました。 また、時間や場所を問わず情報共有が可能になったことで、業務の効率化や迅速化も進んでいます。 CALS/ECは、公共事業の透明性や効率性を向上させるための重要なシステムとして、今後も進化を続けていくと考えられています。

項目 内容
正式名称 Continuous Acquisition and Life-cycle Support/Electronic Commerce
日本語名 公共事業支援統合情報システム
目的 公共事業に関わる情報の効率的な管理と共有による業務効率化とコスト削減
起源 製品ライフサイクル全体の情報共有を目的としたCALSという概念
発展 インターネット普及による電子商取引(EC)との融合
現状 公共事業の入札や契約の電子化システムとしての役割
効果 – 書類の電子化によるデータ管理の効率化
– 時間や場所を問わない情報共有による業務の効率化と迅速化
– 公共事業の透明性と効率性の向上

CALS/ECの起源

CALS/ECの起源

– CALS/ECの起源

CALS/ECは、1980年代にアメリカ軍が後方支援の効率化を図るために行った、マニュアルの電子化プロジェクトに端を発します。

当時、軍事活動には膨大な量の紙媒体のマニュアルが必要とされており、その保管、輸送、更新には多大なコストと時間がかかっていました。そこでアメリカ軍は、これらのマニュアルを電子化することで、アクセス性を向上させ、更新作業を効率化し、コスト削減を実現することを目指しました。

これがCALSの始まりです。

その後、この電子化の概念は、単なるマニュアルの電子化に留まらず、設計図面や技術文書なども含めた、製品に関するあらゆる情報を一元的に管理するシステムへと発展していきました。

そして民間企業、特に製造業においても、製品のライフサイクル全体で情報共有を促進し、業務の効率化とコスト削減を実現するためのシステムとして注目されるようになり、広く普及していきました。

これがCALS/ECの起源です。

項目 内容
起源 1980年代アメリカ軍によるマニュアル電子化プロジェクト
背景
  • 軍事活動における膨大な紙媒体マニュアル
  • 保管、輸送、更新にかかるコストと時間の増大
目的
  • マニュアル電子化によるアクセス性向上
  • 更新作業の効率化
  • コスト削減
発展
  • マニュアル電子化から、設計図面や技術文書を含む製品情報の一元管理システムへ発展
  • 民間企業、特に製造業で導入が進み、製品ライフサイクル全体での情報共有、業務効率化、コスト削減に貢献

公共事業におけるCALS/EC

公共事業におけるCALS/EC

日本の公共事業においては、かつて建設省と運輸省がそれぞれ異なるCALSシステムを採用していました。しかし、両省が統合され国土交通省が誕生したのを機に、これらのシステムも一体化され、CALS/ECとして整備されることになりました。
このCALS/ECは、大きく分けて三つの要素から成り立っています。まず第一に、これまで紙媒体でやり取りされていた図面や地図、書類、写真などの情報を全て電子化するということです。第二に、インターネットなどのネットワークを駆使して、これらの電子化された情報を関係者間で瞬時に共有できるようにすることです。そして最後に、情報共有を通じて業務の効率化やコスト削減、そして透明性の向上を目指すという三点目も重要な要素です。
従来のように紙ベースでのやり取りでは、どうしても情報伝達の遅延や重複作業、さらには情報共有の不足によるミスなどが発生しやすくなります。しかし、CALS/ECを導入することで、これらの問題を解決し、より効率的かつ効果的な公共事業の実施が可能になると期待されています。

項目 内容
背景 建設省と運輸省の統合 (→国土交通省) に伴い、それぞれのCALSシステムを統合する必要があった
目的 業務の効率化、コスト削減、透明性の向上
CALS/ECの3要素
  1. 情報の電子化 (図面、地図、書類、写真など)
  2. ネットワーク上での情報共有
  3. 情報共有による業務効率化、コスト削減、透明性向上
期待される効果 情報伝達の遅延や重複作業の削減、情報共有不足によるミスの減少など、従来の紙ベースでのやり取りで発生していた問題の解決

CALS/ECの導入効果

CALS/ECの導入効果

– CALS/EC導入の効果CALS/ECとは、建設工事のあらゆる段階で発生する情報を電子化し、関係者間で共有するためのシステムです。従来の紙媒体中心の情報管理から脱却することで、さまざまな効果が期待できます。まず、コスト削減という点があげられます。従来の紙媒体でのやり取りでは、印刷費や郵送費、書類保管のためのスペースなど、多くの費用が発生していました。CALS/ECを導入することで、これらの費用を大幅に抑えることができます。次に、業務の効率化です。電子化された情報は、検索が容易になるため、必要な情報をすぐに探し出すことができます。また、関係者間で情報を共有することで、情報伝達の遅延や誤解を防ぎ、業務のスピードアップ、ミスや重複の発生を抑制することができます。さらに、透明性の向上も期待できます。CALS/ECを導入することで、情報公開が促進され、関係者全員が常に最新の情報を共有することができます。これにより、業務の透明性が向上し、不正リスクの低減にもつながります。このように、CALS/ECの導入は、建設業界における業務効率化、コスト削減、透明性向上など、多くのメリットをもたらします。将来的には、建設業界全体の生産性向上、競争力強化にも貢献していくと考えられます。

効果 説明
コスト削減 印刷費、郵送費、書類保管スペース等の費用を削減
業務の効率化 情報検索の容易化、情報伝達の迅速化、ミスや重複の抑制
透明性の向上 情報公開の促進、関係者全員の情報共有、不正リスクの低減

今後の展望

今後の展望

– 今後の展望

建設業界において、図面や書類の電子化を進め、関係者間で情報を共有するシステムであるCALS/ECは、生産性向上やコスト削減を実現する上で、なくてはならないものとなりつつあります。

今後は、3次元モデルデータを用いた設計・施工・維持管理を可能にするBIM/CIMとの連携がますます重要になってきます。CALS/ECとBIM/CIMを組み合わせることで、より正確で効率的な情報共有が可能となり、設計段階から維持管理段階までのあらゆるプロセスにおいて、一貫したデータ活用が可能になります。

さらに、あらゆるものがインターネットにつながるIoTや、人間の知的能力をコンピュータで実現する人工知能(AI)といった最新技術との融合も期待されています。例えば、建設機械にセンサーを取り付け、稼働状況をリアルタイムで把握することで、工事の進捗管理や安全管理の高度化などが可能になります。また、AIを活用することで、膨大なデータの中から必要な情報を抽出したり、分析したりすることが容易になり、より効率的な設計や施工計画の立案に役立ちます。

このように、CALS/ECは、他の技術との連携や最新技術との融合によって、さらなる進化を遂げようとしています。CALS/ECの普及と進化は、日本の公共事業の生産性向上、ひいては国際競争力の強化に大きく貢献していくと考えられます。

技術 説明 効果
CALS/EC 図面や書類の電子化と情報共有システム – 生産性向上
– コスト削減
BIM/CIM 3次元モデルデータを用いた設計・施工・維持管理 – より正確で効率的な情報共有
– 一貫したデータ活用
IoT あらゆるものがインターネットにつながる技術 – 工事の進捗管理や安全管理の高度化
AI 人間の知的能力をコンピュータで実現する技術 – 効率的な設計や施工計画の立案