処理を止めない!非同期処理のススメ
ICTを知りたい
『非同期』ってどういう意味ですか?よく聞くんですけど、いまいちよく分からなくて…
ICT研究家
なるほど。『非同期』は、プログラムで何か作業をするときに、それが終わるのを待たずに次の作業に進むやり方のことだよ。たとえば、インターネットで大きな画像をダウンロードするときを想像してみて。
ICTを知りたい
ああ、ありますね。ダウンロードが終わるまで画面が固まってしまうこととか…
ICT研究家
そう! それが『同期』的なやり方。それに対して『非同期』だと、ダウンロードが始まっても、その間に他のページを見たりできるんだ。ダウンロードが終わるのを待たずに、他の作業を進められるのが『非同期』の特徴だよ。
非同期とは。
「情報通信技術でよく使われる『非同期』という言葉について説明します。これは、プログラムの動き方の一つで、あるプログラムが別のプログラムに仕事を頼む時、頼んだ方が答えを待たずに自分の仕事を続けるやり方のことです。反対に、頼んだ方が答えを受け取ってから次の仕事に進むやり方は『同期処理』と言います。」
プログラム処理の方式
– プログラム処理の方式
コンピュータプログラムは、命令を順番に実行して様々な処理を行います。この処理の流れ方には、大きく分けて「同期処理」と「非同期処理」の二つの方式があります。
同期処理は、ある処理が完了するまで次の処理を待つ方式です。料理に例えると、カレーを作るときに、玉ねぎを炒め終わってから肉を炒め、さらに野菜を炒めてから水とルーを入れるといった具合に、一つ一つの工程を順番に進めていくイメージです。この方式は、処理の順番が明確で分かりやすいという利点があります。しかし、前の処理に時間がかかってしまうと、次の処理が始まるまで待たなければならず、全体としての処理時間が長くなってしまう可能性があります。例えば、大きな鍋で大量のカレーを作る場合、玉ねぎを炒め終わるまでに時間がかかると、その間他の作業が進まず、全体として時間がかかってしまいます。
一方、非同期処理は、ある処理の完了を待たずに次の処理に進む方式です。カレーの例で言うと、玉ねぎを炒めながら並行して肉や野菜を切ったり、水を沸かしたりするイメージです。このように、複数の処理を同時並行で進めることで、全体の処理時間を短縮できる可能性があります。ただし、処理の順番が複雑になり、プログラムの設計や管理が難しくなるという側面もあります。例えば、玉ねぎを炒め終わる前に肉を炒め始めてしまうと、鍋の温度が下がってしまい、うまく炒められないといった問題が起こる可能性もあります。
このように、同期処理と非同期処理はそれぞれに利点と欠点があります。そのため、プログラムを作成する際には、処理の内容や速度、求められる性能などを考慮して、最適な方式を選択する必要があります。
項目 | 同期処理 | 非同期処理 |
---|---|---|
処理の流れ | 処理が完了するまで次の処理を待つ | 処理の完了を待たずに次の処理に進む |
料理の例え | 玉ねぎを炒め終わってから肉を炒め、さらに野菜を炒めてから水とルーを入れる | 玉ねぎを炒めながら並行して肉や野菜を切ったり、水を沸かしたりする |
利点 | 処理の順番が明確で分かりやすい | 複数の処理を同時並行で進めることで、全体の処理時間を短縮できる可能性がある |
欠点 | 前の処理に時間がかかると、全体としての処理時間が長くなってしまう可能性がある | 処理の順番が複雑になり、プログラムの設計や管理が難しくなる |
非同期処理の仕組み
– 非同期処理の仕組み
非同期処理は、処理を依頼する側と、実際に処理を行う側が別々に動作することで、処理の待ち時間を減らし、効率的に作業を進めるための仕組みです。
例えば、あなたがレストランで料理を注文する場面を想像してみてください。注文を受け取った店員さんは、すぐにキッチンに料理を作り始めます。あなたが料理が出来るまで席でじっと待っているのではなく、雑誌を読んだり、友人と話したりしている間に、キッチンではあなたの料理が作られています。そして、料理が出来上がると、店員さんがあなたの席まで料理を運んでくれます。
これが非同期処理のイメージです。あなたが料理を注文する人が「処理を依頼する側」、キッチンで料理を作る人が「実際に処理を行う側」です。あなたは料理を注文した後、料理が出来上がるまで待つことなく、他のことをすることができます。このように、処理を依頼した側が処理の完了を待たずに他の処理を進めることができるため、全体の処理時間が短縮され、効率が向上します。
料理が出来上がったら店員さんが知らせてくれるように、処理が完了したら、依頼元にそのことが伝えられます。その際、どのような方法で伝えるかは、状況によって異なります。例えば、直接呼び出したり、メモを残したり、電話やメールで連絡したりするなど、様々な方法が考えられます。
このように、非同期処理は、処理を効率化するための重要な仕組みです。
非同期処理のメリット
非同期処理を導入する最大の利点は、処理時間の短縮です。これは、特にネットワークやファイルへのアクセスなど、完了までに時間のかかる処理を含む場合に顕著です。
非同期処理を用いると、ある処理の実行が完了するまで他の処理が待機する「同期処理」とは異なり、複数の処理を同時に進めることが可能になります。例えば、大容量のファイルをネットワーク経由でダウンロードする処理があるとします。同期処理の場合、ダウンロードが完了するまで他の処理は一切実行できません。しかし、非同期処理ではダウンロード処理をバックグラウンドで実行しながら、他の処理を同時に進めることができます。
また、非同期処理は利用者に対する反応速度の向上にも貢献します。処理がブロックされないため、利用者は処理の完了を待つことなく、他の操作を実行できます。例えば、ウェブページの表示処理において、画像の読み込みに時間がかかる場合を想定してみましょう。同期処理では、すべての画像の読み込みが完了するまでページ表示は完了しません。しかし、非同期処理では、画像の読み込みをバックグラウンドで実行しながら、テキストなどの他の要素を先に表示できます。そのため、利用者はページの読み込み完了を待つことなく、表示された情報を読み始めることができます。
項目 | 同期処理 | 非同期処理 |
---|---|---|
処理の進め方 | 一つの処理が完了するまで、次の処理は待機 | 複数の処理を同時に進行可能 |
処理時間 | 完了までに時間がかかる場合がある | 処理時間の短縮が可能 |
利用者への反応速度 | 処理完了まで待機するため、反応が遅くなる場合がある | 処理完了を待たずに他の操作が可能になるため、反応速度が向上 |
例 | 大容量ファイルのダウンロード、ウェブページ上の画像読み込みなど | 大容量ファイルのダウンロード、ウェブページ上の画像読み込みなど |
非同期処理の注意点
– 非同期処理の注意点
非同期処理は、処理の完了を待たずに次の処理に進むため、プログラムの実行速度を向上させることができます。しかし、その特性上、いくつかの注意点があります。
まず、処理の順番が保証されないという点です。非同期処理では、複数の処理を同時に開始することができますが、それぞれの処理がいつ完了するかはわかりません。そのため、処理Aが終わってから処理Bを実行するといった、処理の順番が重要な場合には注意が必要です。このような場合は、同期処理と組み合わせて使用するか、処理の完了を通知する仕組みを導入する必要があります。
次に、複数の処理が同時に実行されるため、競合が発生する可能性があります。例えば、複数の処理が同じデータを同時に更新しようとすると、データが壊れてしまう可能性があります。このような競合を避けるためには、排他制御などの対策を講じる必要があります。
非同期処理は、うまく活用すればプログラムの性能を向上させることができますが、その反面、上記のような注意点も存在します。非同期処理を導入する際には、これらの注意点も踏まえて、適切な設計を行うことが重要です。
メリット | 注意点 | 対策 |
---|---|---|
処理の完了を待たずに次の処理に進むため、プログラムの実行速度を向上させることができる。 | 処理の順番が保証されない。 | – 同期処理と組み合わせて使用する – 処理の完了を通知する仕組みを導入する |
複数の処理を同時に開始することができる。 | 複数の処理が同時に実行されるため、競合が発生する可能性がある。 | – 排他制御などの対策を講じる |
非同期処理の活用例
昨今のソフトウェア開発において、ユーザー体験の向上は重要な課題です。その解決策として注目されているのが非同期処理です。従来の同期処理では、ある処理が完了するまで次の処理に進むことができず、待ち時間が発生することがありました。しかし、非同期処理では、処理の完了を待たずに次の処理に進むことができるため、ユーザーの待ち時間を減らし、より快適な操作性を実現できます。
Webアプリケーションにおいては、非同期処理はユーザー体験を大きく向上させるための強力な技術です。例えば、Webページでアンケートの回答を送信する場面を考えてみましょう。同期処理の場合は、回答を送信してからサーバーの応答が返ってくるまで、ユーザーは画面遷移を待つことになります。しかし、非同期処理を用いることで、回答を送信した後も、ユーザーはそのままWebページの閲覧を続けることができます。画面遷移を伴わないため、ユーザーはストレスなく操作を継続することができ、結果としてWebサイトへの満足度向上に繋がります。
また、モバイルアプリケーションにおいても、非同期処理は重要な役割を担っています。例えば、スマートフォンで撮影した写真にフィルターをかける処理を考えてみましょう。もしこの処理に同期処理を用いると、フィルター処理が完了するまで画面がフリーズしてしまい、ユーザーは操作することができません。しかし、非同期処理を用いることで、フィルター処理中もユーザーは他の操作を行うことができます。これにより、ユーザーはストレスなくアプリケーションを使い続けることができ、モバイルアプリケーションの利便性を高めることができます。
処理方式 | 同期処理 | 非同期処理 |
---|---|---|
概要 | 処理が完了するまで次の処理に進まない | 処理の完了を待たずに次の処理に進む |
メリット | – | ユーザーの待ち時間を減らし、快適な操作性を実現できる |
Webアプリケーションでの例 | アンケート回答送信後、サーバーからの応答があるまで画面遷移を待つ | 回答送信後もWebページの閲覧を継続できるため、ストレスなく操作できる |
モバイルアプリケーションでの例 | 写真にフィルターをかける際、処理中は画面がフリーズする | フィルター処理中も他の操作ができるため、ストレスなくアプリを使い続けられる |
効果 | – | ユーザー体験の向上、Webサイトへの満足度向上、モバイルアプリケーションの利便性向上 |