システム開発の要!DFD入門
ICTを知りたい
先生、「DFD」って、どういう意味ですか?
ICT研究家
「DFD」は「データ・フロー・ダイアグラム」の略で、コンピュータの中でデータが、どのように処理され、どこへ送られるのかを図で表したものだよ。
ICTを知りたい
データの流れを図にすることで、何かいいことがあるんですか?
ICT研究家
図にすることで、プログラムの動きを視覚的に理解しやすくなるんだ。システム開発では、プログラマー以外の人にもわかりやすく説明するためによく使われているんだよ。
DFDとは。
DFDとは何か
– データの流れを可視化するDFD
DFDとは、データフローダイアグラム(Data Flow Diagram)の略称で、システム開発において重要な役割を果たします。システム開発は、顧客の要望を形にする作業ですが、その過程は複雑で、顧客と開発者の間で認識のずれが生じやすいという課題があります。DFDは、このような課題を解決するために用いられます。
DFDは、システム内におけるデータの流れを図解で表現したものです。具体的には、データの発生源、データの流れ、処理内容、データの出力先などを、図形と矢印を用いて分かりやすく示します。これにより、顧客は開発者が自分の要望をどのようにシステムに落とし込んでいるのかを視覚的に理解することができます。また、開発者にとっても、DFDを作成することで、システム全体の構造やデータの流れを整理し、より精度の高い設計を行うことが可能になります。
DFDは、システム開発の上流工程である要件定義の段階で作成されることが多く、顧客と開発者のコミュニケーションツールとしても有効です。DFDを用いることで、双方がシステムに対する共通認識を持つことができ、認識のずれによる手戻りやトラブルを未然に防ぐことができます。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | データフローダイアグラム(Data Flow Diagram)の略称で、システム内におけるデータの流れを図解で表現したもの |
目的 | システム開発における顧客と開発者の認識ずれを防ぎ、円滑な開発を進める |
内容 | データの発生源、データの流れ、処理内容、データの出力先などを、図形と矢印を用いて表現 |
メリット | – 顧客はシステムの全体像を視覚的に理解できる – 開発者はシステム設計の精度を高めることができる – コミュニケーションツールとして認識ずれや手戻りを防ぐ |
作成時期 | システム開発の上流工程である要件定義段階 |
DFDの基本要素
– DFDの基本要素
データの流れを視覚的に表現するDFDは、4つの基本要素を組み合わせて作成されます。それぞれの要素が何を表すかを理解することで、DFDが持つ情報を正確に読み取ることができます。
-# データの発生源と吸収
「データの源泉と吸収」は、データの発生源と行き先を示す要素です。具体的には、システムの外部にある組織や部署、他のシステムなどを指します。図の中では四角形で表現され、「顧客」「販売部門」「在庫管理システム」のように具体的な名称が付けられます。
-# プロセス
「プロセス」は、データに対して何らかの処理や変換を行う場所を示す要素です。データの加工、計算、編集などが行われる場所を指し、図の中では丸または角丸の四角形で表現されます。「受注処理」「在庫確認」「請求書発行」といった処理内容を表す名前が付けられます。
-# データフロー
「データフロー」は、データがどのように流れるかを示す要素です。データの移動方向と内容を表現し、図の中では矢印で表現されます。矢印の脇には、「注文情報」「在庫データ」「請求データ」など、流れるデータの内容を具体的に示すラベルを付与します。
-# データストア
「データストア」は、データが一時的に保管される場所を示す要素です。データベースやファイルなどが該当し、図の中では平行線で表現されます。「注文データベース」「顧客マスタ」「商品マスタ」のように、保管されているデータの内容を表す名前が付けられます。
これらの要素を線で繋ぐことで、データがどこから発生し、どのプロセスを経て、どこに格納されるのか、あるいは最終的にどこへ送られるのかが一目でわかるようになります。
DFDの作成手順
– データフロー図を作成する手順
データフロー図を作る際には、システム全体を理解するために、まずはじめにシステム全体のデータの流れを大まかに表した「コンテキストダイアグラム」を作ります。これは、システムと外部とのデータのやり取りに焦点を当てた図になります。
次に、コンテキストダイアグラムで表されたシステム全体の処理を、より小さな単位である「プロセス」に分割していきます。それぞれのプロセスは、データに対して何らかの変換や処理を行う機能を表します。
そして、各プロセスでどのようなデータがどのように処理されるのかを詳細に記述していきます。具体的には、データの種類や名称、データの入力元と出力先、データの変換内容などを明確にします。
このように、段階的に図を分割し、詳細化していくことで、システム全体の構造を分かりやすく表現することができます。それぞれのプロセスで扱うデータや、データの変換内容を具体的に記述していくことが、分かりやすいデータフロー図を作成する上で重要です。
DFDの活用場面
– データフロー図(DFD)の活用場面データフロー図(DFD)は、システム開発における様々な場面で、データの流れを可視化するために利用され、プロジェクト関係者間での共通認識を図るための強力なツールとして重宝されています。-# 要件定義段階における活用システム開発の初期段階である要件定義では、顧客と開発者の間で、構築するシステムに対する認識を合わせる必要があります。この段階においてDFDは、顧客にとっても理解しやすい図を用いることで、システム全体の機能やデータの流れを視覚的に表現し、認識齟齬の発生を抑制します。 顧客との合意形成を円滑に進める上で、DFDは非常に有効なコミュニケーションツールと言えるでしょう。-# 設計段階における活用要件定義に基づき、システムの具体的な設計を行う段階においても、DFDは重要な役割を担います。DFDで明確化されたデータの流れは、データベース設計やプログラム設計の基礎資料として活用されます。 データベースに格納すべきデータ項目や、プログラムにおける処理の順番などを明確化することで、設計の効率性および正確性を向上させることができます。-# 開発後のテスト・運用保守における活用システム開発後に行われるテスト段階では、DFDに基づいて作成されたテストケースを用いることで、データの流れに沿ってシステムが正しく動作するかを確認することができます。また、システム運用開始後も、DFDは運用・保守の場面で強力なツールとなります。 システムの変更を行う際、DFDを参照することで、変更による影響範囲を容易に把握することができ、円滑なシステム運用に貢献します。このように、DFDはシステム開発のあらゆる段階において、プロジェクトを円滑に進めるための共通言語として、非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
DFDの効果的な活用方法
– DFDの効果的な活用方法データの流れを視覚的に表現するDFDは、システム開発において非常に有用なツールですが、その効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。まず、DFDを作成する目的と、誰に見せるためなのかを明確にしましょう。目的がシステム全体の概略を理解するためなのか、特定の機能の詳細を分析するためなのかによって、DFDの表現方法は異なります。同様に、対象読者がシステム開発の専門家なのか、そうでないユーザーなのかによっても、理解しやすい表現は変わってきます。次に、DFDの粒度を適切に調整することが重要です。システム全体を大まかに表現するレベルから、個々の処理の詳細を記述するレベルまで、DFDは様々な粒度で作成できます。目的や対象読者に合わせて、適切な粒度を選択することで、DFDはより理解しやすくなります。最後に、DFDはあくまでもシステム構造を理解するためのツールの一つに過ぎないことを認識しておくべきです。DFDだけでシステムの全てを表現することはできません。他の設計書と組み合わせることで、DFDはより効果を発揮します。例えば、ER図と連携させてデータの構造を明確にしたり、状態遷移図と組み合わせることで処理の流れをより詳細に表現したりすることができます。DFDを正しく理解し、適切に活用することで、システム開発を円滑に進め、より質の高いシステムを構築することができます。
DFDの効果的な活用ポイント | 詳細 |
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目的と対象読者の明確化 | – DFD作成の目的(全体概略の理解、特定機能の詳細分析など)を明確にする – 対象読者(システム開発者、ユーザーなど)に合わせた表現にする |
粒度の適切な調整 | – システム全体を大まかに、または個々の処理を詳細に記述するなど、適切な粒度を選択する |
他の設計書との連携 | – ER図と連携してデータ構造を明確化 – 状態遷移図と連携して処理の流れを詳細化 |