PPMで事業ポートフォリオを最適化
ICTを知りたい
PPMって、事業ごとに『花形』とか『負け犬』って分類するんでしょ?なんか失礼な感じがするんだけど…
ICT研究家
なるほど、確かに言い方としては少しドキッとするよね。でも、これはあくまでも事業の将来性を客観的に判断するための呼び方なんだ。大切なのは、それぞれの分類が意味する『成長性』と『影響力』から、その事業にどんな戦略が必要なのかを考えることだよ。
ICTを知りたい
なるほど。じゃあ、例えば『負け犬』って呼ばれる事業は、見捨てちゃうのが正解ってこと?
ICT研究家
必ずしもそうとは限らないよ。確かに『負け犬』は市場での立場が弱く、厳しい状況にあることが多い。でも、もしかしたら他に活かせる技術や資源があるかもしれない。だから、安易に切り捨てるのではなく、他の事業と組み合わせられないか、新しい使い道はないかなどを検討することが大切なんだ。
PPMとは。
「情報通信技術に関係する言葉『PPM』について説明します。『PPM』は『製品群管理』のそれぞれの単語の頭文字を取った言葉です。会社でどんな事業をどれくらい行うか、そして市場でどのような位置にいるのかを図を使って分析し、どの事業にお金と人材をどれくらい使うのかを決める枠組みのことです。1970年代にあるコンサルティング会社が考え出しました。日本では『PPM分析』と呼ばれることもよくあります。『PPM』では、図の縦軸に市場の成長率、つまり将来どれくらい発展する可能性があるかを取り、横軸に市場占有率、つまりその市場でどれくらいの影響力を持っているかを取ります。分析する人は、自社の事業が図のどこに当てはまるのかを整理して、これからの戦略を立てます。基本的な戦略としては、『金のなる木』と呼ばれる、安定して利益を生み出す事業で得た利益を、『問題児』と呼ばれる、これから成長する可能性はあるものの、今はまだ利益を生み出せていない事業に投資し、『花形』と呼ばれる、成長市場で大きなシェアを持つ事業に育てていく、という方法が一般的です。『花形』は、市場での成長率も占有率も高い状態です。将来的にも利益を生み出すことが期待できますが、市場の成長に合わせて投資も必要となります。『問題児』は、市場の成長率は高いものの、市場占有率が低い状態です。将来『花形』になる可能性を秘めている一方で、投資が失敗すれば『負け犬』になってしまう危険性もあります。『金のなる木』は、市場の成長率は低いものの、市場占有率が高い状態です。すでに市場が成熟しているため、大きな投資は必要なく、安定した利益を期待できます。『負け犬』は、市場の成長率も占有率も低い状態です。今後どれだけ投資をしても、利益を生み出すことは難しいと考えられます。『PPM』の大きな欠点は、お金の面以外の価値が見落とされてしまうことです。例えば、事業同士の相乗効果や、成熟した市場における自社事業の成長性などは考慮されていません。また、新しい事業を始める際の分析にも向いていません。
PPMとは
– 複数の事業を整理し、戦略的に資源配分を行うための方法PPMとは、「プロダクトポートフォリオマネジメント」を省略した言葉で、企業が数多くの事業をどのように組み合わせて、人材や資金などの資源を配分していくかを分析するための枠組みです。これは、1970年代にアメリカのコンサルタント会社であるボストン・コンサルティング・グループによって提唱され、今日でも多くの企業で活用されています。PPMでは、縦軸に市場の成長率、横軸に市場における自社のシェアを示した図表を用います。そして、この図表上に個々の事業を配置することで、「花形」「問題児」「金のなる木」「負け犬」という4つの象限に分類していきます。それぞれの象限は、市場の成長と自社の強さの組み合わせによって特徴付けられます。「花形」は、市場の成長率も自社のシェアも共に高い事業を指し、将来の収益の柱となることが期待されます。一方で、多額の投資が必要となる場合もあります。「問題児」は、市場の成長率は高いものの、自社のシェアが低い事業です。将来「花形」に成長する可能性を秘めていますが、そのためには積極的な投資と戦略が必要となります。「金のなる木」は、市場の成長率は低いものの、自社のシェアは高い事業です。安定した収益をもたらしますが、将来性は限られています。そして、「負け犬」は市場の成長率も自社のシェアも共に低い事業で、撤退も検討すべき対象となります。このようにPPMは、各事業の現状を可視化し、それぞれに最適な戦略を立案するための有効なツールと言えるでしょう。
PPMの4つの象限
事業の優先順位を決めるための有効な経営戦略ツールとして知られるPPM。その中心となるのが、市場の伸びしろを表す「市場成長率」と、競合との強弱を表す「相対的市場シェア」の2つの軸で分類されるマトリックスです。このマトリックスを用いることで、企業内の多様な事業を「花形」「問題児」「金のなる木」「負け犬」という4つの象限に分類し、それぞれの特徴に応じた資源配分や戦略立案を行うことが可能となります。
まず、「花形」は、市場の成長率も相対的市場シェアも高い、まさに将来を担う花形事業です。成長の波に乗り、積極的に投資を行うことで、更なる収益拡大を目指します。次に、「問題児」は、高成長市場に参入しているものの、シェア獲得に苦戦し、投資に見合うだけの利益を上げられていない事業です。将来的には「花形」へと成長する可能性を秘めているため、集中的な投資やテコ入れが必要です。そして、「金のなる木」は、市場の成長は緩やかですが、高いシェアを誇り、安定した収益を生み出す事業です。大きな投資は必要なく、現状維持を図りながら、収益を他の事業へ投資します。最後に、「負け犬」は、市場の成長も低く、シェアも低い、収益性の低い事業です。早急な撤退や縮小を検討する必要がありますが、場合によっては、ニッチな市場に特化することで、収益改善の可能性も探ります。
分類 | 市場成長率 | 相対的市場シェア | 特徴 | 戦略 |
---|---|---|---|---|
花形 | 高 | 高 | 将来を担う花形事業、成長の波に乗っている | 積極的に投資を行い、更なる収益拡大を目指す |
問題児 | 高 | 低 | シェア獲得に苦戦、投資に見合う利益を上げられていない | 集中的な投資やテコ入れを行い、「花形」への成長を目指す |
金のなる木 | 低 | 高 | 安定した収益を生み出す、大きな投資は必要ない | 現状維持を図りながら、収益を他の事業へ投資する |
負け犬 | 低 | 低 | 収益性の低い事業 | 早急な撤退や縮小を検討、場合によってはニッチ市場に特化 |
各象限の戦略
– 各象限への戦略投資
PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)は、縦軸に市場成長率、横軸に相対的市場シェアをとった4つの象限を用いて、自社の事業ポートフォリオを分析し、資源配分を最適化する手法です。それぞれの象限に位置付けられる事業に対して、以下の様な戦略を検討します。
-花形-は、市場成長率と相対的市場シェアともに高い、まさに「稼ぎ頭」と呼ぶべき事業です。この象限に位置する事業には、積極的な投資を行い、競争優位性を維持・拡大していく戦略が求められます。研究開発や販売促進活動に積極的に投資し、更なる成長を目指します。
-問題児-は、市場成長率は高いものの、相対的市場シェアが低い事業です。将来性という点では魅力的ですが、競争が激化しているため、多大な投資が必要となる可能性があります。そのため、資源の選択と集中を行い、「花形」へと成長させるか、あるいは撤退も含めた戦略を検討する必要があります。
-金のなる木-は、市場成長率は低いものの、相対的市場シェアが高い事業です。安定した収益源であり、企業に資金を提供してくれる存在です。この象限に位置する事業は、大きな投資は行わず、現状維持を図りながら、安定した収益を確保していく戦略が有効です。
-負け犬-は、市場成長率と相対的市場シェアともに低い事業です。収益性も低く、早急な対応が必要となります。事業の抜本的な見直しを行い、改善が見込めない場合は、撤退も含めた対策を検討する必要があります。
PPMの活用事例
– PPMの活用事例多角経営における戦略策定PPMは、様々な事業を展開する企業にとって、特に役立つ分析ツールです。なぜなら、PPMを用いることで、それぞれの事業が置かれている状況を把握し、どこに経営資源を集中させるべきかという重要な意思決定を、根拠を持って行うことができるからです。例えば、家電、スマートフォン、食品、金融というように、幅広い事業を展開している企業があるとします。この企業がPPMを用いて分析を行った結果、家電事業は市場シェアも高く、市場の成長率も安定している「金のなる木」と位置付けられたとします。一方、スマートフォン事業は市場の成長率は高いものの、まだシェアを獲得できていない「問題児」、食品事業は市場の成長率もシェアも低い「負け犬」と位置付けられました。さらに、金融事業は市場シェアは高いものの、市場の成長率は低い「金のなる木」と判断されました。このような分析結果から、この企業は、安定収益を生み出す「金のなる木」である家電事業から得られる収益を、将来性のある「問題児」であるスマートフォン事業へ積極的に投資する戦略を描くことができます。また、食品事業については、抜本的な改革や、場合によっては事業の撤退も検討する必要があるでしょう。このように、PPMは、多角経営を行う企業にとって、各事業の現状を把握し、今後の経営資源配分を検討するための強力なツールとなり得るのです。
PPMの限界
– PPMの限界プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)は、企業の製品やサービスのポートフォリオを分析し、資源配分を最適化するための強力なツールです。しかし、PPMは万能なツールではなく、その限界を理解しておくことが重要です。PPMの最大の限界の一つは、主に財務データに基づいて分析を行う点にあります。売上高、利益率、市場シェアといった数値化しやすい指標を重視するため、顧客満足度やブランド力、技術力といった、数値化が難しい重要な要素が見落とされる可能性があります。顧客の感情やブランドイメージは、短期的には収益に直接影響しなくても、長期的な成長には欠かせない要素です。また、PPMは市場の定義や成長率の予測、競合の動向など、分析者の主観に左右される部分が少なくありません。分析者の経験や知識によって結果が大きく変わる可能性があり、客観性を保つことが難しい場合があります。市場や競合の分析には、様々な要因を考慮する必要があり、定量的なデータだけでは不十分なケースも多いでしょう。さらに、PPMはあくまでも現状分析のツールであるという点も重要です。過去のデータや現在の市場状況に基づいて分析を行うため、将来の予測や具体的な戦略策定には不向きです。未来を予測することは難しく、市場環境や競争状況は常に変化するため、PPMの結果だけを頼りに意思決定を行うことは危険です。PPMはあくまでも経営判断の参考にするツールの一つであり、その限界を理解した上で、他の分析手法と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
項目 | 内容 |
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PPMの限界 | 主に財務データに基づいて分析を行うため、顧客満足度やブランド力といった数値化が難しい要素が見落とされる可能性がある。 |
限界の詳細 | – 売上高、利益率、市場シェアといった指標を重視するため、顧客の感情やブランドイメージといった長期的な成長には欠かせない要素が見落とされる可能性がある。 – 市場の定義や成長率の予測、競合の動向など、分析者の主観に左右される部分が少なくない。 – 分析者の経験や知識によって結果が大きく変わる可能性があり、客観性を保つことが難しい。 – あくまでも現状分析のツールであり、過去のデータや現在の市場状況に基づいて分析を行うため、将来の予測や具体的な戦略策定には不向き。 |
注意点 | PPMはあくまでも経営判断の参考にするツールの一つであり、その限界を理解した上で、他の分析手法と組み合わせて総合的に判断することが重要。 |