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企業統治の要!SOX法入門

- アメリカで生まれた企業改革法 アメリカで2002年に成立した「上場企業会計改革および投資家保護法」、通称SOX法は、企業の不正会計を防止し、投資家を保護することを目的とした法律です。この法律が制定された背景には、2000年代初頭にアメリカで起きた大規模な企業会計スキャンダルがあります。 当時、エネルギー大手エンロンや通信 giant ワールドコムといった大企業で、粉飾決算を含む大規模な会計不正が相次いで発覚しました。これらの事件は、アメリカ経済全体に大きな衝撃を与え、企業の財務報告に対する信頼が大きく揺らぎました。 このような事態を重く受け止め、アメリカ政府は企業の会計処理の透明性を高め、投資家を守るための抜本的な改革に乗り出しました。その結果誕生したのがSOX法です。 SOX法では、企業の財務報告の正確性を担保するために、経営者による財務報告書の証明責任を強化したほか、会計監査の独立性と厳格性の向上、内部統制の評価と報告制度の整備など、多岐にわたる改革が盛り込まれました。 SOX法は、成立当初こそ、その厳格さから企業に過大な負担を強いるとの批判もありました。しかし、その後、企業会計の透明性向上や投資家保護に大きく貢献したと評価されており、現在では、アメリカのみならず、世界各国の企業 governance の模範となっています。
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組織を可視化する:利益センタグループとは

- 利益センタグループの定義利益センタグループとは、企業組織全体の構造を、まるでピラミッドのような階層構造として視覚的に表現したものを指します。この構造図を見ることで、企業全体がどのように構成され、それぞれの階層(部門やチーム)がどのような役割を担っているのかを容易に理解することができます。利益センタグループは、単なる組織図とは異なり、各部署がどれだけ収益を上げているのか、あるいはどれだけ費用を使っているのかといった「利益」という観点から分析できる点が特徴です。企業全体の収益目標を達成するために、各部署がどのように貢献すべきなのか、あるいはコスト意識を持って業務に取り組めているのかを評価する際に役立ちます。このグループ分けによって、例えば、商品開発部門は新製品の売上目標達成に向けて責任を持ち、人事部は採用コスト削減に取り組むといったように、各部署が明確な目標を持って業務に取り組むことが期待されます。また、それぞれの部署の責任範囲が明確化されることで、部門間での連携や協力が促進され、組織全体の効率性向上にもつながると考えられます。
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利益を生み出す「利益センタ」とは?

- 利益を生み出す責任と権限を担う組織単位 利益センタ 企業活動において、組織を機能別に分割するだけでなく、「利益を生み出す」という観点から組織を分類する考え方があります。その代表例が「利益センタ」です。利益センタとは、企業活動の中で、独立して利益を生み出す責任と権限を持つ部門や単位を指します。 分かりやすい例として、商品の製造販売を行う部署が挙げられます。この部署は、製品の設計・開発から製造、販売、アフターサービスまでを一貫して担当することで、売上と費用を直接的に管理し、利益を生み出す責任を負います。 利益センタは、自らの活動を通して収益を獲得し、そこから費用を差し引いた利益を生み出す役割を担います。そのため、市場のニーズを的確に捉え、効率的な運営を行うことが求められます。また、目標とする利益を達成するために、価格設定、販売戦略、コスト削減など、経営判断を自ら行う権限も持ち合わせています。 企業は、利益センタを適切に設定し、その責任と権限を明確にすることで、組織全体の活性化と収益性の向上を目指します。
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企業を守る!内部統制の基礎知識

- 内部統制とは企業が、不正やミスを防ぎ、健全な状態を保ちながら活動を続けるために、業務プロセスやルールを明確化し、それらを管理・監視・保証することを「内部統制」といいます。私たちの身近な例で考えてみましょう。家計簿をつける、レシートを保管するといった行為も、広い意味では内部統制といえます。毎月の収入や支出を把握し、無駄な出費を抑えたり、家計の状況を把握することで、健全な家計管理を実現することができます。企業活動においても、これと同様のことが言えます。企業は、日々の業務の中で、様々な取引や業務を行っています。これらの業務を適切に行い、不正やミスを防止し、財務情報を正確に作成するために、内部統制は非常に重要な役割を担っています。具体的には、誰が、いつ、どのような手続きで業務を行うのかを明確化し、責任と権限を明確にすることで、不正やミスの発生を抑制します。また、定期的にチェックを行い、問題点があれば改善することで、内部統制システムの有効性を維持していくことが重要です。内部統制は、企業が社会的な信頼を維持し、持続的に成長していく上で、欠かせない要素の一つと言えるでしょう。
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データの正確性を支える「突合」とは?

- データ突合の基礎知識異なる場所や形式で管理されている情報を組み合わせて活用することは、現代社会において非常に重要です。しかし、それぞれの情報が完全に一致しているとは限らず、差異が存在する可能性も考慮しなければなりません。そこで重要となるのが「データ突合」です。データ突合とは、異なるデータの情報を照らし合わせて、その整合性を確認する作業のことです。例えば、ある会社の顧客管理システムに登録されている顧客情報と、別の販売管理システムで管理されている顧客情報の内容を突き合わせて、住所や氏名などに違いがないかを検証します。データ突合は、データの正確性を保ち、信頼できる情報に基づいた意思決定を行う上で非常に重要です。もしも、異なるデータ間で情報に食い違いがあると、その後の分析や処理に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、誤った顧客情報に基づいてダイレクトメールを送付してしまうと、無駄なコストが発生してしまうばかりか、顧客満足度の低下にも繋がります。データ突合は、手作業で行うこともできますが、膨大な量のデータを扱う場合は、コンピュータによる自動処理が必須となります。近年では、人工知能技術を活用した高度なデータ突合システムも開発されており、より効率的かつ高精度な突合作業が可能になっています。
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GR/IRとは? 仕入業務における重要な勘定科目

- 入庫請求仮勘定商品受領と請求書のタイムラグを埋める会計処理 企業が事業活動を行う上で、商品やサービスを仕入れることは日常茶飯事です。その際、商品が到着したタイミングと、その請求書を受け取り、支払いを行うタイミングがずれることはよくあります。このような状況下で、正確な在庫管理と会計処理を行うために重要な役割を担うのが、「GR/IR(Goods Received/Invoice Received)」、日本語では「入庫請求仮勘定」と呼ばれる勘定科目です。 入庫請求仮勘定は、商品自体は既に受け取っており、在庫として計上する必要があるものの、請求書が未着のため、支払い金額が確定していない状態において、一時的に金額を処理するために利用されます。例えば、10万円分の原材料を仕入れたとします。商品は到着し、倉庫に保管されていますが、請求書はまだ届いていません。このような場合、入庫請求仮勘定を用いて、10万円分の債務が発生していることを記録します。 その後、請求書が到着し、金額が確定したら、入庫請求仮勘定から、仕入勘定や買掛金勘定などの適切な勘定科目へ振り替える処理が行われます。このように、入庫請求仮勘定は、商品受領と請求書のタイムラグが生じている期間における、正確な在庫評価と、債務管理を実現するための重要な役割を担っていると言えるでしょう。
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伝票タイプ:販売管理を効率化する鍵

伝票タイプは、企業における様々な取引を記録した伝票を、その目的や内容によって分類したものです。伝票は、企業の経済活動を明確に記録し、後から確認できるよう形式を整えた書類です。 伝票タイプは、大きく「売上伝票」「仕入伝票」「入金伝票」「出金伝票」の4つに分類できます。売上伝票は、商品を販売した際に発行され、売上金額や商品名、顧客情報などが記載されます。仕入伝票は、商品を仕入れた際に発行され、仕入金額や商品名、仕入先情報などが記載されます。入金伝票は、顧客からの入金を確認するために作成され、入金日や入金金額、顧客情報などが記載されます。出金伝票は、経費の支払いや仕入先への支払いの際に作成され、出金日や出金金額、支払先情報などが記載されます。 これらの伝票は、企業の経営状況を把握するために非常に重要です。例えば、売上伝票を分析することで、売れ筋商品や顧客の購買傾向を把握することができます。また、仕入伝票を分析することで、仕入コストの削減や在庫管理の効率化を図ることができます。 このように、伝票タイプは、企業の経済活動を記録し、分析するための基礎となる重要な情報源です。伝票の内容を正しく理解し、適切に管理することで、企業はより効率的な経営を行うことができます。
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PwCってどんな会社?

- PwCの概要プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、世界中に広がる巨大なコンサルティング会社です。その始まりは19世紀半ばにまで遡り、長い歴史の中で幾度もの企業合併を経て、今の姿になりました。PwCは、その歴史を監査業務からスタートさせました。 企業の財務状況を厳正にチェックし、投資家や社会全体を守る役割を担っていました。そして、その豊富な経験と知識を活かし、徐々に事業領域を拡大していきました。現在では、従来の監査業務に加え、企業経営のあらゆる側面を支援するパートナーとして、多岐にわたるサービスを提供しています。具体的には、会計や財務に関するアドバイス、企業の成長戦略や事業再編の立案、人材の採用や育成、そして、ITシステムの導入や活用支援など、多岐にわたります。PwCは、世界150カ国以上に拠点を持ち、29万人以上の従業員を抱えています。 各分野の専門家がチームを組み、世界中のクライアント企業に対して、質の高いサービスを提供しています。PwCは、世界経済の発展に貢献するため、そして、人々がより良い未来を創造できるよう、これからも挑戦を続けていきます。
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企業活動の基礎、総勘定元帳とは?

企業の経済活動を把握し、財務状態や経営成績を明らかにすることを会計と言いますが、その土台となるのが「総勘定元帳」です。 総勘定元帳は、企業で日々発生する様々な取引を、資産、負債、資本、収益、費用といった勘定科目と呼ばれる分類ごとに記録し、それぞれの残高を計算する役割を担います。 例えば、商品を仕入れた際の取引は「仕入」という勘定科目で記録され、 現金で支払った場合は「現金」という勘定科目で記録されます。このように、総勘定元帳は企業のあらゆる経済活動を記録する「大きな帳簿」と言えるでしょう。 総勘定元帳は、企業の経営者や会計担当者にとって、経営の状況を把握するための重要な資料となります。総勘定元帳を分析することで、どの勘定科目にいくら使っているのか、どの程度の利益が出ているのかといったことが分かります。そして、これらの情報を基に、経営者は今後の経営戦略を立案したり、問題点があれば改善策を講じたりすることができます。 総勘定元帳は、いわば企業の「健康診断表」のような役割を果たしていると言えるでしょう。
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赤黒処理とは? 会計の基礎知識

- 会計における赤黒処理とは会計の世界では、一円単位の正確な記録が求められます。しかし、人間が手作業で行う以上、どうしても記入ミスは発生してしまうものです。このような場合に、過去の記録を修正し、正確な状態に訂正する方法が必要となります。この訂正方法として広く用いられているのが「赤黒処理」です。赤黒処理とは、誤った記入を単に修正するのではなく、一度赤字で打ち消し線を引き、その上に正しい金額を黒字で記入する方法です。この時、赤字で打ち消すことを「赤転」、黒字で正しい金額を記入することを「黒転」と呼びます。従来の修正方法では、例えば修正液で消したり、二重線で消したりして、その上から正しい数字を記入していました。しかし、このような方法では、当初どのような誤りをしたのかが分からなくなってしまいます。また、悪意を持って過去の記録を改ざんしようとする場合、痕跡が残らないため、不正を見破ることが難しくなります。一方、赤黒処理では、誤った記録と修正後の記録の両方が残るため、いつ、どのような間違いをしたのかが一目瞭然となります。このため、不正な会計操作を防止する効果も期待できます。また、後から修正履歴を確認することで、業務の改善につなげることも可能です。このように、赤黒処理は単なる修正方法ではなく、正確な記録を残し、透明性を高めるための重要な手法と言えるでしょう。
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ビジネスの羅針盤:EYとその役割

- EYとはEYは、アーンスト・アンド・ヤングの略称で、世界中に拠点を構える巨大なサービス企業です。企業の活動を幅広く支援する、いわばビジネスパートナーのような存在として、世界中の企業から信頼を集めています。EYの主な業務は、大きく分けて3つあります。 一つ目は、企業会計の監査です。企業が作成した財務諸表が、正しく作成されているかどうかを厳密にチェックし、投資家などステークホルダーに対して、その企業の信頼性を保証する役割を担います。二つ目は、税務申告のサポートです。複雑な税法や手続きに精通した専門家が、企業の税務申告を支援し、企業が税務リスクを適切に管理できるようサポートします。そして三つ目は、コンサルティングです。企業の成長戦略や業務改善など、経営に関する様々な課題に対して、専門的な知見に基づいたアドバイスや実行支援を行い、企業の成長を力強く後押しします。このように、EYは監査、税務、コンサルティングという多岐にわたるサービスを通じて、企業の経営を総合的にサポートしています。世界各地で事業を展開する多国籍企業から、地域社会に根ざした中小企業まで、あらゆる規模・業種の企業にとって、EYは頼れるパートナーと言えるでしょう。
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事業領域:企業活動を分類する重要な視点

- 事業領域とは 企業は、社会に貢献し、利益を上げることを目指して、様々な活動を行っています。 これらの活動は、製品やサービス、顧客層、販売経路などが異なる多岐にわたるものとなる場合が多くあります。 このような多様な事業活動を、いくつかのグループにまとめて整理したものを「事業領域」と呼びます。 例えば、ある企業が家電製品、食品、金融サービスといったように、一見全く異なる事業を行っていたとします。 この場合、それぞれの事業を「家電事業」「食品事業」「金融サービス事業」といったように、独立した事業領域として捉え直すことができます。 このように事業領域ごとに切り分けて分析を行うことで、それぞれの市場規模や成長性、競合状況、収益構造などを把握することができます。 そして、どの事業領域に経営資源を集中投下すべきか、どの事業領域から撤退すべきかといった、より的確な経営判断を下すことが可能になるのです。
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OPENFI:金融革新を加速する技術

- OPENFIとはOPENFIは、「Open Financial Technologies」を略した言葉で、これまでの金融システムに新しい技術を組み合わせることで、より開かれた革新的な金融サービスを目指しています。 具体的には、銀行や証券会社などの金融機関が持つ顧客データや金融サービスを、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて、FinTech企業などの外部サービスと安全かつ円滑に繋ぐことを可能にします。 これまで、預金や融資、証券取引といった金融サービスは、それぞれの金融機関が個別に提供していました。しかし、OPENFIの登場により、これらのサービスが統合され、利用者は自分に合ったサービスを自由に組み合わせて利用できるようになります。例えば、複数の銀行口座の残高を一つのアプリで確認したり、資産運用サービスを自分のライフスタイルに合わせて自動化したりすることが可能になります。 OPENFIは、利用者にとって、より便利で個人に最適化された新しい金融体験をもたらす可能性を秘めていると言えるでしょう。
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軽減税率の基礎知識

2019年10月1日、日本の多くの商品やサービスに対して課される消費税の税率が8%から10%に引き上げられました。しかし、生活必需品への影響を抑え、国民の負担を軽減するため、全ての商品やサービスが一律に10%になったわけではありません。「軽減税率」という制度が導入され、特定の商品やサービスについては、これまで通りの8%の税率が適用されることになりました。 この軽減税率の対象となるのは、主に食料品と新聞です。例えば、私たちが毎日口にする野菜、果物、肉、魚、米、パンなどは、軽減税率の対象となり8%の税率で購入することができます。ただし、飲食料品全てが対象となるわけではなく、店内で飲食する場合は10%、持ち帰りの場合は8%といったように、飲食方法によって税率が異なる場合もあります。また、新聞についても、定期購読している場合は軽減税率の対象となります。 軽減税率は、消費税増税による家計への負担を和らげ、国民の生活を守るための重要な制度です。対象となる商品やサービスをよく理解し、賢く活用していくことが大切です。
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勘定コード表:複数会社での勘定体系共通化

- 勘定コード表とは 企業のお金の流れを把握するために、取引を種類ごとに分類し、記録する必要があります。その分類を分かりやすくリスト化したものが「勘定科目表」です。この表には、現金や商品といった「資産」、借金や未払い金といった「負債」、会社の元手となる「資本」、売上から得られる「収益」、商品の仕入れにかかる費用といった「費用」など、様々な種類の勘定科目が記載されています。 勘定科目表は、会社の規模や業種、事業内容によって、必要な項目が異なります。例えば、製造業であれば原材料に関する勘定科目が多くなるでしょうし、小売業であれば商品の仕入れに関する勘定科目が多くなるでしょう。そのため、それぞれの会社にとって、最も管理しやすい勘定科目表を作成することが重要です。 勘定科目表は、会社の財務状態や経営成績を把握するための基礎となるだけでなく、様々な場面で活用されます。例えば、会社の経営状態を分析する際には、勘定科目表をもとに、どの項目にどれだけの費用がかかっているのかを分析します。また、将来の経営計画を立てる際には、勘定科目表をもとに、どの項目の費用を削減できるのかを検討します。このように、勘定科目表は、会社のお金の動きを把握し、経営を円滑に進めるために欠かせないツールと言えるでしょう。
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会社コード:企業会計の基礎

- 会社コードとは会社コードとは、企業会計において、財務諸表を作成する最小単位となる識別番号のことです。それぞれの会社を識別するために割り当てられる、いわば会社の「背番号」のようなものです。一般的には株式会社や有限会社といった法人格と同一視されますが、企業グループ内に複数の法人がある場合は、それぞれの法人を個別に識別するために会社コードが使用されます。例えば、ある企業グループ内に、製造会社、販売会社、不動産会社といった複数の会社が存在する場合、それぞれの会社に異なる会社コードが割り振られます。この会社コードは、財務会計システムの根幹をなす重要な要素です。なぜなら、会社コードに基づいて、企業の経営成績や財政状態を把握することができるからです。具体的には、それぞれの会社コードに紐づけて、売上や費用、資産や負債といった財務データが記録・管理されます。そして、これらのデータを基に、会社ごとの財務諸表が作成され、企業の経営分析や意思決定に活用されます。このように、会社コードは、企業会計において非常に重要な役割を担っており、企業の経営を円滑に進める上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。
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D/P決済:安全な国際取引を実現する仕組み

- 手形支払書類渡し(D/P決済)についてD/P決済とは、「Documents against payment」の略称で、日本語では「手形支払書類渡し」と訳されます。これは、国をまたいだ商品の売買取引において、輸出者と輸入者の間で安全かつ確実に決済を行うためによく用いられる方法です。具体的には、輸出者が商品を輸出した後、商品の所有権を証明する書類(船荷証券など)を輸入者宛に送付します。ただし、これらの書類は直接輸入者に渡さず、輸出者側の銀行を経由して輸入者側の銀行に送られます。輸入者は、これらの書類と引き換えに、後日代金を支払うことを約束した手形を銀行に提出します。銀行は、手形の支払いが確認できた時点で、輸出者側の銀行を通じて、輸出者に代金を支払い、輸入者に対しては船荷証券などの書類を引き渡します。この方法であれば、輸入者は商品を受け取る前に代金を支払う必要がなく、輸出者は代金を受け取らずに商品を手放すリスクを回避できます。そのため、D/P決済は国際的な商取引において、双方にとってメリットのある決済方法として広く利用されています。
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貿易決済のD/Aとは?

- 手形引受書類渡しによる貿易決済の概要 「手形引受書類渡し」は、国際取引において、輸出者と輸入者の間で行われる決済方法の一つで、英語の「Documents against acceptance」の頭文字を取って「D/A」と表記されます。これは、輸出者が船荷書類を銀行に預け、輸入者が手形を引き受けることを条件に、銀行が輸入者に船荷書類を引き渡すという仕組みです。 具体的には、輸出者は商品を輸出した後、船荷書類と一緒に手形を銀行に提出します。銀行は、この手形を輸入者に送り、輸入者は手形に署名をして引き受けます。輸入者が手形を引き受けたことを確認後、銀行は輸入者に船荷書類を引き渡します。輸入者は、船荷書類を受け取ることによって、輸入した商品を受け取ることができます。 D/Aは、輸入者にとって、商品を受け取る前に代金を支払う必要がないため、資金繰りの面で有利な決済方法です。一方、輸出者にとっては、輸入者が手形を引き受けた後でも、輸入者が実際に代金を支払うまで、代金を受け取れないというリスクがあります。 そのため、D/Aは、輸出者と輸入者の間に一定の信頼関係がある場合に適した決済方法と言えます。
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監査の進化:CAATとは?

- コンピューター支援監査技法、CAATの登場従来、企業の会計監査は、監査人が財務記録を手作業で確認し分析する、時間と労力を要する方法で行われてきました。しかし、近年のデジタル化の進展は、企業の会計処理にも大きな変化をもたらし、膨大な量のデジタルデータが生成されるようになりました。このような状況下、従来の手作業による監査には限界が生じており、より効率的かつ効果的な監査手法が求められています。そこで登場したのが、コンピューター支援監査技法(CAAT Computer Assisted Audit Techniques)です。CAATは、コンピューターの処理能力を活用し、大量のデジタルデータを高速かつ正確に分析する監査手法です。具体的には、監査人は、専用のソフトウェアを用いて、企業の会計システムからデータを抽出し、分析を行います。これにより、従来の手作業では不可能であった、網羅的なデータ分析が可能となり、監査の精度、効率性、有効性を大幅に向上させることができます。CAATの導入により、監査人は、従来の単純作業から解放され、より高度な分析や判断に集中できるようになります。例えば、異常値の検出、傾向分析、リスクの高い取引の特定などを行い、不正リスクの高い領域を特定することができます。また、監査の過程を自動化することで、監査の効率性を大幅に向上させることができます。このように、CAATは、現代のデジタル化社会において、企業の会計監査に不可欠なツールとなっており、今後もその重要性はますます高まっていくと考えられています。
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ビジネスの基礎指標!ボトムラインとは?

「ボトムライン」という言葉を、ビジネスの文脈で耳にしたことがあるでしょうか。これは、企業の最終的な利益を表す言葉です。 損益計算書を作成すると、一番下の行に純利益が記載されます。このことから、「ボトムライン」と呼ばれるようになりました。 ボトムラインは、企業活動の最終的な成果を示す重要な指標です。なぜなら、企業がどれだけ売上を上げても、最終的に利益を出さなければ、事業を継続していくことができないからです。ボトムラインを見ることで、企業の成長性や安定性を評価することができます。 企業は、このボトムラインを向上させるために、様々な取り組みを行います。例えば、売上の増加やコストの削減などが挙げられます。近年では、環境問題や社会貢献活動への取り組みなど、従来の財務的な指標だけでなく、社会的な責任を果たすことも、長期的なボトムラインの向上につながると考えられています。
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企業統制の強化:J-SOX法の概要

- J-SOX法とはJ-SOX法は、正式には「金融商品取引法に基づく内部統制報告制度」と呼ばれる法律です。この法律は、企業が作成する財務報告の信頼性を高めることを目的として、2006年に施行されました。従来、企業の財務報告は、その企業自身による自主的なチェックのみで作成されていました。しかし、企業の不正会計などが社会問題となるにつれ、財務報告の信頼性を高めるためのより客観的な仕組みが必要となってきました。そこで、日本では米国で導入されていたSOX法を参考に、J-SOX法が制定されたのです。J-SOX法では、企業は財務報告の正確性を担保するための内部統制システムを構築・運用し、その有効性を評価することが義務付けられています。内部統制システムとは、例えば、会社の業務が適切に遂行され、不正やミスを防ぐための組織体制やルール、業務プロセスなどを指します。 J-SOX法の導入により、企業はこれらの仕組みを整備し、適切に運用することで、財務報告の信頼性を向上させることが求められるようになりました。
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IFRSとは?世界で進む会計基準の統一

- IFRSの概要IFRS(国際財務報告基準)とは、国際会計基準審議会(IASB)が定めた、世界共通の会計基準です。 現在、世界には様々な会計基準が存在しています。これは、それぞれの国の歴史や文化、経済状況などが異なるため、独自の会計基準が発展してきたという背景があります。しかし、経済のグローバル化が進むにつれて、企業が国境を越えて活動することが当たり前になってきました。このような状況下では、投資家や債権者にとって、異なる会計基準を用いている企業の財務諸表を比較することは非常に困難です。 例えば、ある企業は利益が出ているように見えても、それは採用している会計基準が異なるだけで、別の基準では損失が出ているということもあり得ます。このように、異なる会計基準を用いていると、企業の財務状況や経営成績を正確に比較・分析することが難しくなり、投資判断を誤ってしまうリスクも高まります。 そこで、世界中で共通の会計基準であるIFRSを導入することで、企業の財務諸表の比較可能性や透明性を高め、投資家や債権者にとってより信頼性の高い情報を提供することが可能となります。IFRSの導入は、企業の資金調達を円滑化し、ひいては世界経済の発展にも貢献すると期待されています。
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ARPUでわかること

- ユーザー一人当たりの収益を見る指標「ARPU(アープ)」とは、「Average Revenue Per User」の略語で、ユーザー一人当たりから毎月どれだけの収益を得られているかを示す指標です。計算式は「売上高 ÷ ユーザー数」で表され、例えば、月間の売上高が100万円、ユーザー数が1,000人であれば、ARPUは1,000円となります。 この指標は、通信業界をはじめ、動画配信サービスや音楽ストリーミングサービスなど、継続的に料金を支払う「サブスクリプション型」のサービスを提供する企業にとって、重要な経営指標の一つとされています。 ARPUを見ることで、顧客単価やサービスの収益性を把握することができます。そのため、企業はARPUを向上させるために、より高価格なプランへの加入を促したり、顧客満足度を高めて解約率を抑制したりと、様々な戦略を立てています。 ARPUは、新規顧客の獲得や既存顧客の維持など、事業全体の成長度合いを測る上でも重要な指標と言えるでしょう。
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製造業だけじゃない!ABCでコスト管理を改善しよう

- ABCとは ABCとは、活動基準原価計算(Activity-Based Costing)の略称で、製品やサービスなどのコストを、それを作り出すために必要な活動(activity)に基づいて計算する手法です。 従来の原価計算では、材料費や人件費などの直接費に加えて、製造にかかる間接費を、製造原価に一定の割合で按分していました。しかし、近年の製品の多様化やサービスの高度化に伴い、間接費が占める割合が大きくなっています。そのため、従来の原価計算では、製品やサービスの実際のコストを正確に把握することが難しくなってきています。 そこで、ABCでは、製品やサービスを製造するために必要な活動を洗い出し、それぞれの活動に要するコストを計算します。例えば、製品の設計、部品の調達、組み立て、検査、出荷などの活動が挙げられます。そして、それぞれの活動にどれだけの資源(人件費、材料費、設備など)が使われているかを調べ、コストを算出します。 こうして計算された活動ごとのコストを、それぞれの製品やサービスがどれだけその活動を利用したのかという配賦基準に基づいて配賦していくことで、より正確な原価計算を行います。例えば、ある製品の組み立てに要した時間が他の製品よりも長い場合は、組み立て活動のコストをより多く配賦します。 ABCを導入することで、より正確な原価情報を得ることができ、その結果、適切な価格設定、製造プロセス改善、製品戦略策定などに役立てることができます。