RPC:遠隔操作を可能にする技術
ICTを知りたい
先生、「RPC」って言葉が出てきたんだけど、どういう意味ですか?
ICT研究家
「RPC」は「遠隔手続き呼び出し」って意味で、ネットワーク上の他のコンピュータのプログラムを、まるで自分のコンピュータの中にあるように呼び出して実行できる技術のことだよ。
ICTを知りたい
他のコンピュータのプログラムを呼び出すって、どういうことですか?
ICT研究家
例えば、インターネット上のサーバーに置かれているプログラムを、自分のパソコンから操作して、その結果を受け取ることができるんだ。 遠くにいる友達に頼み事をして、その結果を教えてもらうようなイメージかな。
RPCとは。
「情報通信技術でよく聞く『RPC』って何か説明しましょう。『RPC』は英語で『Remote Procedure Call』の略で、日本語では『遠隔手続き呼び出し』と言います。これは、ネットワークを通じて遠くにあるコンピュータのプログラムを、まるで自分のコンピュータの中にあるかのように操作できる技術のことです。
『RPC』の良いところは、たとえコンピュータの種類やOS、プログラミング言語が違っても、遠くにあるコンピュータとやり取りできることです。お互いに『RPC』のルールに従っていれば、まるで手元のコンピュータで操作するように、コマンドを送って処理を実行したり、その結果を受け取ったりできます。
この技術は、複数のコンピュータで連携して動くシステムを作る際に役立ちます。プログラマーはネットワークの細かい設定を気にせずにプログラムを作れるので、開発が楽になるという利点もあります。
『RPC』は、有名なコンピュータシステムでも使われています。例えば、サン・マイクロシステムズの『NFS』や『DCE』、マイクロソフトの『DCOM』などです。
ちなみに、オブジェクト指向というプログラミング方法を使っている場合は、『RPC』のことを『RMI(Remote Method Invocation)』と呼ぶこともあります。」
RPCとは
– RPCとはRPC(Remote Procedure Call)は、日本語で「遠隔手続き呼び出し」と訳されます。これは、ネットワークに接続された異なる場所にあるコンピュータのプログラムを、あたかも自分のコンピュータ内にあるプログラムのように実行できるようにする技術です。例えば、インターネット上で買い物をするときを想像してみてください。ウェブサイト上で購入ボタンをクリックすると、その情報はウェブサイトを運営する会社のコンピュータに送られ、注文処理が行われます。このとき、あなたのコンピュータは、まるで自分のコンピュータ内にあるプログラムのように、会社のコンピュータのプログラムを呼び出して実行しているのです。これがRPCの仕組みです。RPCは、プログラムを構成する小さな処理単位である「手続き」を、ネットワーク越しに呼び出すことで動作します。利用者は、ネットワークの詳細や相手のコンピュータの内部構造を意識することなく、必要な手続きを呼び出すだけで目的の処理を実行できます。インターネット時代において、RPCは様々なシステムで活躍しています。私たちが普段何気なく利用しているウェブサイトやオンラインサービスの多くは、裏側でRPCが使われていると言っても過言ではありません。 RPCは、現代のネットワーク社会を支える重要な技術の一つと言えるでしょう。
用語 | 説明 |
---|---|
RPC(Remote Procedure Call) (遠隔手続き呼び出し) |
ネットワークに接続された異なる場所にあるコンピュータのプログラムを、あたかも自分のコンピュータ内にあるプログラムのように実行できるようにする技術 |
RPCの仕組み | プログラムを構成する小さな処理単位である「手続き」を、ネットワーク越しに呼び出すことで動作する。利用者は、ネットワークの詳細や相手のコンピュータの内部構造を意識することなく、必要な手続きを呼び出すだけで目的の処理を実行できる。 |
RPCの用途 | インターネット上で買い物をするときなど、様々なシステムで活躍している。 |
RPCの重要性 | 現代のネットワーク社会を支える重要な技術の一つ |
仕組み
「仕組み」という言葉を聞いて、何だか難しそうなことだと感じるかもしれません。しかし、普段の生活の中にも同じような「仕組み」はたくさんあります。例えば、レストランでの食事を想像してみてください。
あなたがレストランで食事をする時、まずメニューを見て食べたい料理を選びますよね。そして、それを店員さんに伝えます。この時、あなたはレストランのサービスを利用する「利用者」です。注文を受けた店員さんは、その内容を厨房に伝えます。すると、厨房では料理を作る「役割」を担うコックさんが、注文通りの料理を作り始めます。出来上がった料理は、再び店員さんによってあなたのテーブルに運ばれてきます。
実は、コンピューターの世界で使われる「RPC」も、これとよく似た仕組みを持っています。「RPC」は、コンピューター同士がネットワークを通じて情報をやり取りする際に使われる技術の一つです。この技術を使うと、まるでレストランで注文するように、あるコンピューターが別のコンピューターに対して処理を依頼し、その結果を受け取ることができます。
例えば、インターネット上で買い物をするとき、あなたの使っているコンピューターは、お店のコンピューターに対して「この商品を買いたい」という処理を依頼します。すると、お店のコンピューターは、在庫を確認したり、決済処理を行ったりといった「役割」を担います。そして、処理が完了すると、その結果があなたのコンピューターに返されます。このように、「RPC」は、異なるコンピューター間で役割を分担し、連携して動作するための技術なのです。
場面 | 利用者 | 役割 | 処理の流れ |
---|---|---|---|
レストランでの食事 | 客 | 店員、コック | 客が注文 → 店員が注文を厨房に伝える → コックが料理を作る → 店員が料理を客に運ぶ |
コンピューター間の情報やり取り(RPC) | クライアントコンピューター | サーバーコンピューター | クライアントが処理を依頼 → サーバーが処理を実行 → サーバーが結果をクライアントに返す |
メリット
– メリット
RPCの最大の利点は、ネットワーク通信に関する複雑な処理をプログラマーが意識することなく、遠隔地のコンピュータにあるプログラムを簡単に操作できる点にあります。
通常、異なるコンピュータ間でデータのやり取りを行うプログラムは、通信方式やデータ形式、エラー処理など、考慮すべき点が多く、複雑になりがちです。しかし、RPCを使うことで、これらの複雑な処理を隠蔽し、あたかも同じコンピュータ内のプログラムを呼び出すかのように、簡単に遠隔操作を実現できます。
これは、プログラマーが本来の処理に集中できることを意味し、開発効率の向上に繋がります。開発期間が短縮されれば、その分、人件費などの開発コストも削減できます。さらに、RPCは様々なプログラミング言語で利用できるため、開発者は使い慣れた言語で開発を進めることができます。
このようにRPCは、開発効率とコストの両面において大きなメリットをもたらします。
メリット | 説明 |
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開発効率の向上 | ネットワーク通信の複雑な処理を意識せずに遠隔操作が可能になるため、本来の処理に集中でき、開発効率が向上します。 |
開発コストの削減 | 開発期間の短縮により、人件費などの開発コストを削減できます。 |
多言語対応 | 様々なプログラミング言語で利用できるため、開発者は使い慣れた言語で開発を進めることができます。 |
利用例
– 利用例
RPCは、その利便性から、多岐にわたる分野で活用されています。
例えば、ネットワークファイルシステム(NFS)では、RPCが重要な役割を担っています。NFSは、地理的に離れた場所にあるコンピュータ上のファイルであっても、あたかも自分のコンピュータに保存されているかのように、自由に読み書きすることを可能にする技術です。この時、RPCは、異なるコンピュータ間でのファイル操作要求やデータ転送を仲介し、スムーズなファイル共有を実現しています。
また、分散コンピューティング環境(DCE)においても、RPCは欠かせない技術です。DCEは、複数のコンピュータをネットワークで接続し、あたかも一つの巨大なコンピュータシステムのように連携させて処理を行う技術です。この際、処理を効率的に行うために、あるコンピュータから別のコンピュータへ処理を依頼したり、処理結果を受け取ったりする必要があります。RPCは、このようなコンピュータ間のやり取りを円滑に行うための通信手段を提供し、分散処理システムの構築に大きく貢献しています。
分野 | RPCの役割 |
---|---|
ネットワークファイルシステム(NFS) | 異なるコンピュータ間でのファイル操作要求やデータ転送を仲介し、スムーズなファイル共有を実現 |
分散コンピューティング環境(DCE) | コンピュータ間の処理の依頼や結果の受け取りを円滑に行うための通信手段を提供し、分散処理システムの構築に貢献 |
RPCの進化
– RPCの進化
コンピュータ同士がネットワークを介して連携するシステムにおいて、プログラム間通信は欠かせない要素です。その中でも、リモートプロシージャコール(RPC)は、まるで自分のコンピュータ内でプログラムを実行しているかのように、ネットワーク越しに他のコンピュータのプログラムを呼び出せる技術として、長年利用されてきました。
近年、プログラム開発の現場では、オブジェクト指向プログラミングが主流となっています。これは、プログラムを部品のように組み立てて開発を進める手法であり、柔軟性や再利用性の高さから広く採用されています。こうした流れを受け、RPCもまた進化を遂げました。それが、リモートメソッド呼び出し(RMI)です。
RMIは、従来のRPCの考え方を発展させ、オブジェクト指向の概念を取り入れたものです。従来のRPCでは、呼び出す処理を関数単位で指定していました。一方RMIでは、オブジェクト指向の「オブジェクト」と「メソッド」の概念を用いて、処理の呼び出しを行います。
RMIの登場により、より柔軟で再利用性の高いシステム構築が可能になりました。例えば、複数のプログラムで共通して利用される処理を、オブジェクトとしてまとめておくことができます。そして、ネットワーク越しにそのオブジェクトのメソッドを呼び出すことで、共通処理を簡単に再利用できます。
このようにRPCは、時代と共に進化を遂げながら、現代のネットワーク社会において欠かせない技術となっています。そして、今後もRMIのように、時代のニーズに合わせた進化を続けていくことでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
RPC (Remote Procedure Call) | – ネットワーク越しに他のコンピュータのプログラムを呼び出す技術 – 関数単位で処理を呼び出す |
RMI (Remote Method Invocation) | – RPCをオブジェクト指向に発展させた技術 – オブジェクトのメソッドを呼び出す – より柔軟で再利用性の高いシステム構築が可能 |