ISDN: デジタル時代の万能通信網
ICTを知りたい
先生、「ISDN」って昔よく聞いたけど、最近はあまり聞かなくなった気がします。一体どんなものだったんですか?
ICT研究家
なるほどね。確かに最近はあまり聞かなくなったね。「ISDN」は、電話やFAX、インターネットなどをデジタルでまとめて送受信できる通信網のことだったんだ。昔は画期的だったんだよ。
ICTを知りたい
へえー、そうなんですね!でも、今のインターネットと比べて何が違ったんですか?
ICT研究家
大きな違いは、回線を2本同時に使える点だね。だから、インターネットを使いながら電話もできたんだ。今は光回線など、もっと速くて便利なものが普及したから、あまり使われなくなったんだよ。
ISDNとは。
「ICTの用語で『ISDN』っていうのがあるんだけど、これは簡単に言うと、電話、FAX、インターネットとか、いろんなデータを全部まとめてデジタルで送れるようにする通信網のことなんだ。世界的に標準化されてる技術でね。3つの通信路があって、2つはデータを送るのに使って、もう1つは操作に使うんだ。昔の電話線を使ったインターネットと違って、2つの回線を同時に使えるから、電話しながらでもインターネットが使えるってわけ。」
ISDNとは
– ISDNとはISDNは、Integrated Services Digital Networkの頭文字を取ったもので、日本語では「サービス総合デジタル網」と訳されます。これは、電話やFAX、インターネットなど、これまで別々の回線を使っていた様々なデータ通信を一つにまとめて、デジタル方式で送受信できるようにした通信網のことです。従来の電話回線はアナログ回線と呼ばれ、音声信号を電気信号に変換して送受信していました。一方、ISDNは音声もデータもデジタル信号に変換してから送受信します。デジタル信号は、0と1の組み合わせで情報を表現するため、ノイズの影響を受けにくく、よりクリアな音声で通話できるというメリットがあります。また、アナログ回線よりも多くの情報を一度に送ることができるため、高速なデータ通信が可能になりました。ISDNは、1980年代後半に登場し、企業を中心に広く普及しました。しかし、その後、より高速な光ファイバーや、より安価なADSLなどのブロードバンドインターネット接続サービスが登場したため、現在では新規契約が受け付けられていません。それでも、ISDNは、その信頼性の高さから、現在も一部の企業などで利用され続けています。
項目 | 内容 |
---|---|
ISDNの正式名称 | Integrated Services Digital Network |
日本語名 | サービス総合デジタル網 |
概要 | 電話、FAX、インターネットなど様々なデータをデジタル方式で送受信できる通信網 |
従来の電話回線との違い | アナログ信号ではなくデジタル信号を使用 |
デジタル信号のメリット | – ノイズの影響を受けにくい – よりクリアな音声で通話できる – アナログ回線よりも多くの情報を一度に送ることができるため、高速なデータ通信が可能 |
普及時期 | 1980年代後半 |
現在の状況 | 光ファイバーやADSLなどの登場により、新規契約は停止 一部の企業では、信頼性の高さから現在も利用されている |
標準化と開発
– 標準化と開発「ISDN」は「統合サービスデジタル網」の略称で、音声やデータ、画像などの様々な情報をデジタル化して、一本の回線で送受信できる通信サービスです。 この革新的な技術は、国際電気通信連合電気通信標準化部門、通称「ITU-T」によって国際標準化が進められてきました。これは、世界中の人々が同じ規格のISDNを利用できるようにすることで、国境を越えたコミュニケーションを円滑にするという目的がありました。日本では、1980年代後半から電電公社(現NTT)を中心にISDNの導入が進められました。当時の日本では、電話は音声通話、ファクシミリは文書送信、コンピュータはデータ通信といったように、それぞれの用途に専用の回線が必要でした。しかし、ISDNの登場によって、これらの異なる種類の情報を一本の回線で送受信することが可能となり、利便性が飛躍的に向上しました。 ISDNは、その高速性と多機能性から、企業を中心に普及が進み、日本の情報化社会を支える重要なインフラストラクチャとして発展しました。
項目 | 内容 |
---|---|
ISDNとは | 統合サービスデジタル網の略称。音声、データ、画像など様々な情報をデジタル化し、一本の回線で送受信できる通信サービス。 |
標準化 | ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)により国際標準化。 |
目的 | 世界中で同じ規格のISDN利用を可能にすることで、国境を越えたコミュニケーションを円滑にする。 |
日本での導入 | 1980年代後半から電電公社(現NTT)を中心に導入。 |
メリット | 音声通話、文書送信、データ通信など、異なる種類の情報を一本の回線で送受信可能。 |
普及と影響 | 企業を中心に普及。日本の情報化社会を支える重要なインフラストラクチャとして発展。 |
3つのチャネル
通信回線の一種であるISDNには、大きな特徴として3つの通信路が存在します。この3つの通信路は、それぞれ異なる役割を担うことで、スムーズで効率的な通信を実現しています。
まず、音声やデータ通信といった主要な役割を担うのが、Bチャネルと呼ばれる通信路です。ISDN回線には、このBチャネルが2本用意されており、それぞれが64kbpsの速度でデータを送受信できます。二つを合わせて128kbpsの速度で、 当時のアナログ電話回線と比べて高速な通信を実現していました。
次に、もう一つの通信路であるDチャネルは、通信の制御や低速データ通信を行うための通信路です。Dチャネルは16kbpsとBチャネルと比べて低速ですが、通信相手との接続設定や切断、電話番号情報の送受信など、重要な役割を担っています。
このように、ISDNは3つの異なる通信路を組み合わせることで、高品質かつ効率的な通信を実現しています。Bチャネルによる高速なデータ通信とDチャネルによる円滑な通信制御という組み合わせは、 当時の通信技術において画期的であり、多くの企業や家庭で広く利用されました。
通信路 | 速度 | 役割 |
---|---|---|
Bチャネル(2本) | 64kbps/本 (計128kbps) | 音声通信、データ通信などの主要な通信 |
Dチャネル(1本) | 16kbps | 通信制御(接続設定、切断など)、低速データ通信 |
同時利用
– 同時利用ISDNは、従来のアナログ電話回線とは異なり、2つの通信経路(Bチャネル)を同時に利用できるという大きな特徴を持っています。この2つの経路はそれぞれ独立して機能するため、例えば、一方の経路で音声通話をしながら、もう一方の経路でインターネットに接続するといった使い方が可能になります。従来のアナログ回線では、電話とインターネットを同時に利用したい場合、回線を切り替える装置が必要でした。しかし、ISDNの登場により、回線を切り替えることなく、音声通話とインターネット接続を同時に行うことができるようになりました。これは、家庭やオフィスにおける通信環境を大きく進化させ、利便性を飛躍的に向上させました。具体的には、家族が電話で話しながら、別の家族はインターネットで情報収集を行う、あるいは、会社で電話を受けながら、パソコンでメールを確認するといったことが、1つの回線で同時にできるようになります。このように、ISDNの同時利用という特徴は、私たちの日常生活やビジネスシーンにおいて、大変便利な機能と言えるでしょう。
特徴 | 従来のアナログ回線 | ISDN |
---|---|---|
同時利用 | 不可 (電話とインターネットを同時に利用する場合は、回線を切り替える装置が必要) |
可能 (2つの通信経路(Bチャネル)を同時に利用できる) 例:一方の経路で音声通話をしながら、もう一方の経路でインターネットに接続する |
利便性 | 低い | 高い (回線を切り替えることなく、音声通話とインターネット接続を同時に行うことができる) |
用途例 | – | – 家族が電話で話しながら、別の家族はインターネットで情報収集 – 会社で電話を受けながら、パソコンでメールを確認 |
その後の技術革新
かつて、電話回線を使ったデジタル通信方式として広く普及したISDNは、情報通信技術の進化に大きく貢献しました。しかし、技術革新の波は止まることなく、ISDNよりもさらに高速なデータ通信を可能にする技術が次々と登場しました。
ADSLは、既存の電話回線を利用しながらも、ISDNを上回る速度でデータ通信を実現できる技術として普及しました。また、光ファイバーは、光信号を用いることで、ADSLをはるかに凌駕する超高速なデータ通信を可能にしました。
これらの新しい技術の登場と普及により、ISDNは次第にその役割を終えつつあります。しかし、現在でも、ISDNの信頼性や安定性を評価し、業務用に利用する企業や、光ファイバー網が整備されていない地域で利用している家庭も存在します。
このように、技術革新は、常に新しい技術を生み出し、古い技術を過去のものとしていきます。ISDNは、その過程において重要な役割を果たした技術として、歴史に名を刻むことになるでしょう。
時代 | 通信技術 | 特徴 | 状況 |
---|---|---|---|
過去 | ISDN | – 電話回線を使ったデジタル通信 – 当時の主流 |
– 技術革新により衰退 |
現在 | ADSL | – 電話回線を利用した高速データ通信 – ISDNよりも高速 |
– 光ファイバーの普及により衰退傾向 |
現在 | 光ファイバー | – 光信号を用いた超高速データ通信 – ADSLをはるかに凌駕する速度 |
– 主流になりつつある |