世界をつなぐ情報社会の構築に向けて：世界情報社会サミット

世界をつなぐ情報社会の構築に向けて：世界情報社会サミット

世界規模の情報社会構築を目指す

近年、情報通信技術（ICT）のめざましい進歩は、私たちの暮らしや社会全体を大きく変えています。
インターネットや携帯電話の普及により、世界中の人々とつながり、膨大な情報に瞬時にアクセスすることができるようになりました。
このような状況を踏まえ、世界規模で情報社会を築き、その恩恵をすべての人が等しく享受できるようにしようという機運が高まっています。
世界情報社会サミット（WSIS）は、このような背景のもと、2003年と2005年に開催された国際会議です。

情報や知識へのアクセスは、個人の能力開発や社会経済の発展に不可欠です。
WSISは、情報通信技術の潜在力を最大限に活用し、教育、医療、経済など、あらゆる分野で情報格差を解消し、持続可能な開発目標（SDGs）の達成に貢献することを目指しています。
具体的には、インターネットへのアクセス拡大、デジタルリテラシーの向上、多言語化の推進、サイバーセキュリティの確保などがWSISの行動計画に盛り込まれています。

世界規模の情報社会構築は、途上国への支援、国際的な協力体制の構築など、多くの課題も抱えています。
しかし、情報通信技術のもたらす可能性を信じ、官民連携や国際機関との協力を通じて、すべての人々が情報社会の恩恵を享受できる世界の実現に向けて努力していくことが重要です。

国際機関の協力体制

世界中の情報通信技術の進歩を促し、情報格差を解消することで、すべての人々が恩恵を受けられる情報社会の実現を目指し、国際的な取り組みが進められています。このような動きを象徴するイベントの一つとして、世界情報社会サミット(WSIS)が挙げられます。WSISは、国際的な協力体制の必要性を強く認識し、国連の主導のもとで開催されています。これは、情報社会の発展という目標を達成するためには、一国だけの努力ではなく、世界各国が協力し、課題解決に取り組むことの重要性を示しています。

WSISの開催は、国際電気通信連合(ITU)全権委員会議や国連総会での決議に基づいています。ITUは、情報通信分野における国際的な専門機関として、標準化や技術協力などを通じて情報社会の発展に貢献しています。また、国連も、持続可能な開発目標(SDGs)に情報通信技術(ICT)の活用を掲げるなど、情報社会の実現に向けた取り組みを推進しています。WSISは、ITUや国連などの国際機関が協力し、その専門知識や経験を結集することで、より効果的に情報社会の課題解決を目指しています。

WSISは、情報社会に関する様々なテーマについて議論し、具体的な行動計画を策定する場となっています。これは、国際機関同士が協力するだけでなく、各国政府、民間企業、市民社会など、様々な関係者が参加し、意見交換や情報共有を行うことで、より実質的な成果を生み出すことを目指しています。WSISは、情報社会という共通の目標に向けて、国際社会全体で連携していくことの重要性を示す具体的な取り組みと言えるでしょう。

共通のビジョンと目標

世界情報社会サミットは、情報社会の未来について世界中の人々が共に考え、共通の認識を深めることを目的としています。情報技術の進歩は目覚ましいものですが、その恩恵を受けられる人とそうでない人の間には大きな差が生じています。情報社会サミットでは、この情報格差を解消し、すべての人が等しく情報技術の恩恵を受けられるようにするための方法が話し合われています。
具体的には、インターネットへのアクセス環境の整備や、情報リテラシーの向上など、様々な取り組みが議論されています。また、教育や医療、経済活動など、様々な分野において情報技術を有効活用することで、より良い社会を築いていこうという目標も掲げられています。
世界情報社会サミットは、単なる技術的な議論の場ではなく、情報社会の未来に対する共通のビジョンを描き、その実現に向けて共に歩むための重要な一歩となることが期待されています。

第一回サミット：ジュネーブ宣言

2003年、スイスのジュネーブで、世界各国が情報とコミュニケーション技術（ICT）について話し合う初めての国際会議が開かれました。これが、第一回世界情報社会サミット（WSIS）です。
この会議は、発展途上国も先進国も、すべての人が平等に情報社会の恩恵を受けられるように、世界規模で共通認識を作り上げていくことを目的としていました。
会議では、「情報社会ジュネーブ宣言」と、それを実現するための具体的な「行動計画」が採択されました。
「情報社会ジュネーブ宣言」は、情報社会の基本理念や原則を明確に示したものです。すべての人が表現の自由や情報へのアクセスを保障されること、情報通信技術を平和や開発のために活用すること、国際的な協力体制を築くことなどが盛り込まれました。
これは、その後の情報社会の発展に大きな影響を与え、国際的な議論の基盤となりました。
ジュネーブ宣言は、情報社会の未来へ向けた、希望に満ちた共同声明として、世界中の人々に受け入れられました。

第二回サミット：チュニジア開催

2005年には、北アフリカの国チュニジアにおいて、第二回世界情報社会サミットの開催が予定されています。このサミットは、2003年にスイスのジュネーブで開催された第一回サミットに続く重要な国際会議です。ジュネーブでのサミットでは、情報通信技術（ICT）がもたらす可能性と課題について議論が交わされ、「世界情報社会行動計画」が採択されました。

第二回サミットの主要な議題は、この行動計画の進捗状況の確認です。世界各国政府、民間企業、市民社会団体が一堂に会し、過去2年間におけるICT分野の進展と課題について評価を行います。具体的には、インターネットへのアクセス格差の解消、ICTを活用した教育や医療の充実、サイバーセキュリティ対策の強化などが話し合われる予定です。

チュニジアでのサミットは、ジュネーブでの成果を土台としつつ、新たな課題にも目を向けたものとなるでしょう。情報技術は日々進化しており、世界は新たな課題に直面しています。第二回サミットは、これらの課題に国際社会全体で取り組むための重要な一歩となることが期待されています。