システム開発における「実体」:エンティティとは?

システム開発における「実体」:エンティティとは?

ICTを知りたい

先生、「実態」という意味の『エンティティ』って、具体的にどんなものですか?ちょっとイメージがつかみにくいです。

ICT研究家

そうだね。「エンティティ」は、例えば、学校のシステムで考えてみようか。生徒一人ひとりの情報をまとめたもの、これが「生徒エンティティ」になるんだ。

ICTを知りたい

なるほど。じゃあ、生徒の名前や住所、出席番号なんかが、その「生徒エンティティ」に入ってるってことですか?

ICT研究家

その通り!まさに、生徒一人ひとりの情報を表すデータのまとまりが「生徒エンティティ」なんだ。このように、システムで扱う様々な情報を、整理してまとめたものが「エンティティ」と考えていいよ。

Entityとは。

「ICTの分野で使われる言葉『実態』について説明します。『実態』とは、ITシステムやSAPにおいては、データの集まりのことを指します。データを分かりやすく整理して、種類分けしたものです。実態の大きさは、プロジェクトによって異なります。例えば、『受注実態』の中には、受注日、受注金額、受注品目などの情報が含まれます。また、『従業員実態』には、従業員名や従業員IDなどの情報が含まれます。」

エンティティ:データの型

エンティティ:データの型

システム開発を進める上で、私たちは実に様々なデータを扱います。顧客情報、商品情報、売上データなど、その種類は多岐に渡ります。これらのデータを効率的に扱い、システムを構築していくためには、データを整理し、分かりやすく管理することが欠かせません。そこで重要になるのが「エンティティ」という考え方です。

エンティティとは、一言で表すと「データの型」を指します。例えば、ECサイトを構築する場面を考えてみましょう。 「顧客」というエンティティを定義するとします。 顧客一人一人に共通する情報として、名前、住所、電話番号などが考えられます。これらの情報をまとめて「顧客」という型で定義することで、システム開発者は個々の顧客情報を個別に管理するのではなく、「顧客」という型に沿って効率的にデータを扱うことができるようになります。

エンティティは、システム開発の設計段階において非常に重要な役割を担います。データベース設計では、エンティティを基にしてテーブルが作成されます。それぞれのエンティティが持つ情報は、テーブルのカラムとして定義されます。このように、エンティティを適切に定義することで、データの構造を明確化し、効率的かつ整合性の取れたデータベースを構築することが可能になります。

エンティティ 説明
顧客 ECサイトを利用する顧客に関するデータの型 名前、住所、電話番号
商品 ECサイトで扱う商品に関するデータの型 商品名、価格、商品説明
注文 顧客からの注文に関するデータの型 注文日時、注文者、注文内容

実体を捉える

実体を捉える

– 実体を捉える

システム開発において、現実世界をコンピュータで扱うためには、現実に存在する様々な「もの」や「概念」をコンピュータが理解できる形に変換する必要があります。 この変換されたものが「実体」、すなわちエンティティです。

例えば、顧客管理システムを開発する場合を考えてみましょう。現実世界では、「顧客」はそれぞれ異なる名前、住所、購入履歴を持っています。システム開発では、これらの「顧客」を個別に特定し、情報を管理するために、顧客一人ひとりを「顧客」という実体として捉え直します。

同様に、「商品」や「注文」なども、システムで管理する対象として、それぞれ「商品」実体、「注文」実体として定義されます。 これらの実体は、システム開発者がプログラムを作成する際の基本的な要素となり、データベース設計や画面設計など、システム開発の様々な場面で重要な役割を果たします。

実体を定義する上で重要なことは、開発者だけでなく、顧客とも共通の認識を持つことです。 実体を明確に定義し、共通認識を持つことで、システム開発がスムーズに進み、誤解のないシステム開発が可能になります。

現実世界の概念 システム上の実体 説明
顧客 顧客実体 個々の顧客を識別し、名前、住所、購入履歴などの情報を管理する
商品 商品実体 販売する商品を識別し、商品名、価格、在庫数などの情報を管理する
注文 注文実体 顧客からの注文を識別し、注文日時、注文内容、顧客情報などを管理する

エンティティの粒度:プロジェクトごとに異なる

エンティティの粒度:プロジェクトごとに異なる

情報を整理して管理する上で、物事を適切な単位にまとめることは非常に大切です。この単位を「もの」と呼びますが、システム開発においても、扱う情報単位を「もの」として捉えることが重要になります。

しかし、この「もの」として扱う範囲は、システムやプロジェクトによって異なってきます。例えば、あるシステム開発では、「注文を受ける」という行為自体を一つの「もの」として扱うかもしれません。しかし別のシステム開発では、「注文の全体像」と「注文された品物の詳細」といったように、より細かい単位で「もの」を分割する場合もあります。

これは、システムが何を目指しているのか、どの程度の規模なのか、どのくらい複雑な情報処理を行うのかといった要因によって、最適な「もの」の大きさが変わるためです。 大きすぎる「もの」は扱いにくく、小さすぎる「もの」は全体像を把握するのが難しくなるため、適切なバランスを見極める必要があります。

システム開発における「もの」の考え方 詳細
「もの」とは 情報整理の単位。システム開発では、扱う情報単位を指す。
「もの」の範囲 システムやプロジェクトによって異なる。
例:

  • あるシステム:「注文を受ける」行為自体を一つの「もの」として扱う
  • 別のシステム:「注文の全体像」と「注文された品物の詳細」を別々の「もの」として扱う
「もの」の大きさの決定要因
  • システムの目的
  • システムの規模
  • 情報処理の複雑さ
適切な「もの」の大きさの重要性 大きすぎると扱いにくく、小さすぎると全体像を把握しにくい。適切なバランスを見極める必要がある。

受注エンティティの例

受注エンティティの例

– 受注エンティティの例今回は、具体的な例として「受注」エンティティを詳しく見ていきましょう。「受注」エンティティとは、ある企業が顧客から商品やサービスの注文を受けたという事実を表すものです。 このエンティティには、受注に関する様々な情報が含まれます。代表的なものとしては、「受注日」「受注金額」「受注品目」などが挙げられます。「受注日」は顧客から注文を受けた日付を、「受注金額」は注文の合計金額を、「受注品目」は具体的にどのような商品やサービスが注文されたのかを示します。これらの情報は、「受注」という一つのエンティティを構成する属性として定義されます。属性とは、エンティティが持つ個々の特性や情報のことで、それぞれの属性がエンティティに関する情報を詳細に記述します。例えば、「2023年10月27日」という情報は「受注日」という属性の値として、「10,000円」という情報は「受注金額」という属性の値として、それぞれ「受注」エンティティに結び付けられます。このように、エンティティは複数の属性を持つことができ、それぞれの属性がエンティティの持つ情報を多角的に表現することで、現実世界の事象や概念をデータとして適切に管理することを可能にします。

エンティティ 属性 説明
受注 受注日 顧客から注文を受けた日付 2023年10月27日
受注金額 注文の合計金額 10,000円
受注品目 注文された商品やサービス

従業員エンティティの例

従業員エンティティの例

– 従業員エンティティの例

企業において、情報を整理し管理するために「エンティティ」という概念がよく使われます。
その中でも「従業員エンティティ」は、企業にとって最も基本的なエンティティの一つと言えるでしょう。

従業員エンティティには、従業員一人ひとりの情報を一元的に管理するために、様々な情報が含まれます。
具体的には、「従業員名」や「従業員ID」といった、従業員個人を特定するための基本的な情報がまず挙げられます。

さらに、所属部署や役職といった、従業員の会社内での立場を表す情報も重要な要素となります。
「所属部署」は、従業員がどの部署に所属しているかを示す情報であり、部署単位での業務管理などに役立ちます。
また、「役職」は、従業員がその部署内でどのような役割を担っているかを示す情報であり、責任の所在を明確にするために必要不可欠です。

これらの情報は、従業員エンティティを構成する属性であり、従業員一人ひとりを特定し、詳細な情報を管理するために重要な役割を担っています。
従業員エンティティは、給与計算や人事評価、社員研修など、様々な業務において活用され、企業にとって非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。

エンティティ 属性 説明 活用例
従業員 従業員名
従業員ID
所属部署
役職
  • 従業員個人を特定するための基本的な情報
  • 従業員がどの部署に所属しているかを示す情報
  • 従業員がその部署内でどのような役割を担っているかを示す情報
  • 給与計算
  • 人事評価
  • 社員研修

まとめ

まとめ

– まとめ

システム開発において、情報を整理して管理することは非常に重要です。そのために欠かせない考え方の一つに「エンティティ」があります。エンティティとは、簡単に言うと、現実世界のものごとや概念をシステムで扱うための形に置き換えたものです。

例えば、図書館のシステムを開発するとします。この時、本や利用者といった現実世界の対象を、システムの中でどのように表現すれば良いでしょうか。ここで「エンティティ」の考え方が役立ちます。本であれば、タイトルや著者、出版日といった情報を持つ「書籍」エンティティとして定義できます。同様に、利用者を氏名や住所、電話番号といった情報を持つ「利用者」エンティティとして定義することができます。

このように、現実世界の対象をエンティティとして抽象化することで、システム開発者は複雑な現実世界をよりシンプルに捉え、システムに落とし込むことができます。 エンティティはシステム開発の基礎となる重要な概念です。エンティティを理解することで、システム全体の構造を把握しやすくなるため、より良いシステム開発を行うための第一歩となります。

現実世界 エンティティ 情報
書籍 タイトル、著者、出版日
利用者 利用者 氏名、住所、電話番号