プロジェクト管理の鍵! EVMとは?

プロジェクト管理の鍵! EVMとは?

ICTを知りたい

先生、「出来高管理」ってよく聞くんですけど、普通の進捗管理と何が違うんですか?

ICT研究家

良い質問だね!普通の進捗管理は、例えば「今日は全体の何%進みました」のように、作業時間や量で進み具合を見るよね。 でも、出来高管理は「この作業にかけたお金はいくらか」を重視して進捗を測るんだよ。

ICTを知りたい

へえ〜。お金で測るって、どういうことですか?

ICT研究家

例えば、ウェブサイトを作るプロジェクトで「デザインに5万円、プログラミングに10万円の費用を見込んでいた」とします。出来高管理では「デザインが完了したので5万円分の価値を生み出した」というように、お金で進捗を測るんだよ。

EVMとは。

「ICTでよく使われる言葉に『EVM』というものがあります。これは、『アーンド・バリュー・マネジメント』の略で、日本語では『出来高管理』と言います。簡単に言うと、予算と予定に照らし合わせて、プロジェクトがどれくらい進んでいるかを把握・管理する方法のことです。『どれだけの時間がかかったか』ではなく、『人件費や労力がどれくらいかかったか』というお金の面から進み具合を管理します。プロジェクトの進捗状況を、お金に換算して評価するところが特徴です。」

EVMとは何か

EVMとは何か

– EVMとは何かEVMとは、「アーンド・バリュー・マネジメント」の日本語訳である「出来高管理」を意味する用語です。プロジェクトの進捗状況を金額という具体的な指標で表し、当初の予算と比較することで、プロジェクトが予定通りに進んでいるのか、それとも遅延しているのかを明確に把握することができます。従来のプロジェクト管理では、進捗状況を把握する際に、タスクの完了率など、曖昧な指標を用いることが多くありました。しかし、EVMでは、「現時点でどれだけの価値を生み出しているか」という観点から進捗を評価します。例えば、100万円の価値を生み出す予定のプロジェクトが、50%完了した時点で、実際に40万円分の価値しか生み出せていなければ、プロジェクトは予定よりも遅れていると判断できます。EVMを活用することで、プロジェクトの現状を客観的な数値で把握できるため、問題が発生した場合でも、迅速に状況を判断し、適切な対策を講じることができます。また、プロジェクトの進捗状況を関係者間で共有することが容易になり、共通の認識を持ってプロジェクトを進めることが可能になります。EVMは、建設業や製造業などの大規模プロジェクトだけでなく、近年では、ITシステム開発など、様々な分野のプロジェクト管理にも広く活用されるようになっています。

項目 内容
EVMの定義 アーンド・バリュー・マネジメント(Earned Value Management)の略称。日本語では「出来高管理」。
目的 プロジェクトの進捗状況を金額で評価し、予算に対して予定通りに進んでいるか、遅延しているかを明確に把握する。
従来のプロジェクト管理との違い タスクの完了率など曖昧な指標ではなく、「現時点でどれだけの価値を生み出しているか」という観点で進捗を評価する。
EVMのメリット – プロジェクトの現状を客観的な数値で把握できる
– 問題発生時の迅速な状況判断と対策が可能になる
– 関係者間で進捗状況を共有し、共通認識を持ってプロジェクトを進められる
活用分野 建設業、製造業などの大規模プロジェクトだけでなく、ITシステム開発など、近年では様々な分野に拡大している。

時間ではなくコストで進捗を管理

時間ではなくコストで進捗を管理

従来のプロジェクト管理では、作業にどれくらい時間がかかったかを基準に進捗を測るのが一般的でした。しかし、この方法には問題点もあります。例えば、同じ作業時間でも、担当者のスキルや経験によって成果が大きく変わる可能性があります。また、作業時間が延びたとしても、実際には予定よりも多くの作業が進んでいる場合もあります。

そこで近年注目されているのが、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)という手法です。EVMでは、作業時間ではなく、費やしたコストをもとに進捗を評価します

例えば、100万円の予算で5日間かかるタスクがあるとします。従来の方法では、2日間経過した時点で進捗率は40%と計算されます。しかし、EVMでは、2日間でそのタスクの40万円分の価値を生み出したと評価します。つまり、実際にどれだけの価値を生み出したのかを重視するのです。

このように、EVMは時間ではなくコストを基準に進捗を測ることで、より客観的で正確なプロジェクト管理を実現します。時間管理だけでは見えなかった問題点を明らかにし、プロジェクトの成功率を高めるために有効な手段と言えるでしょう。

項目 従来のプロジェクト管理 EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)
進捗の測り方 作業時間ベース
(例:5日の作業のうち2日経過したら40%完了)
コストベース
(例:100万円の予算のうち40万円分の価値を生み出したら40%完了)
メリット – 分かりやすい
– 導入しやすい
– より客観的で正確な評価が可能
– 時間管理だけでは見えない問題を明らかにできる
デメリット – 作業時間と成果が必ずしも比例しない
– スキルや経験による差を考慮できない
– コストの算出が難しい場合がある
– ある程度の専門知識が必要

EVMのメリット

EVMのメリット

– プロジェクトの成功を支えるEVMその利点とは?プロジェクト管理において、目標達成への道のりを明確化し、関係者全員が共通認識を持って進捗を管理することは非常に重要です。そのための有効な手段として注目されているのが、Earned Value Management(アーンド・バリュー・マネジメント)、略してEVMです。EVMを導入する最大のメリットは、プロジェクトの進捗状況を金額という客観的な指標で把握できる点にあります。従来の方法では、作業の完了度合いを感覚的に判断することが多く、正確な進捗状況を把握することが困難でした。しかし、EVMでは、各作業に予め計画していた費用と実際に進捗した作業量に基づいて計算された金額を用いることで、より精度の高い現状把握が可能となります。この金額ベースでの管理は、予算超過や納期遅延といった問題発生のリスクを早期に発見することに繋がります。従来の方法では、問題が表面化した段階では既に手遅れというケースも少なくありませんでした。しかし、EVMを用いることで、まだ対応可能な早い段階でリスクを察知し、適切な対策を講じることができるようになります。さらに、EVMは、関係者間における認識のずれや誤解を防ぐ効果も期待できます。プロジェクトの進捗状況や問題点に関する情報共有を金額という共通の尺度を用いて行うことで、認識の齟齬を最小限に抑え、スムーズなプロジェクト運営を実現します。このように、EVMはプロジェクトの成功率を高めるための強力なツールと言えるでしょう。

EVMのメリット 従来の方法との比較
プロジェクトの進捗状況を金額という客観的な指標で把握できる。 作業の完了度合いを感覚的に判断することが多く、正確な進捗状況を把握することが困難だった。
予算超過や納期遅延といった問題発生のリスクを早期に発見できる。 問題が表面化した段階では既に手遅れというケースも少なくなかった。
関係者間における認識のずれや誤解を防ぐ効果も期待できる。 認識の齟齬が発生しやすかった。

EVMの活用事例

EVMの活用事例

– EVMの活用事例

EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)は、様々な業界のプロジェクトで導入が進んでいます。情報技術システムの開発や建物の建設、ものづくりなど、幅広い分野で活用されています。特に、規模が大きく複雑なプロジェクトや、予算管理の重要性が高いプロジェクトにおいては、EVMの導入効果がより顕著に現れます。

例えば、10億円の予算規模でシステム開発を行うプロジェクトを考えてみましょう。このようなプロジェクトでは、EVMを導入することで、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握することが可能になります。従来の方法では、プロジェクトの進捗状況を把握するためには、担当者からの報告を待つ必要があり、情報が遅延したり、報告内容に偏りが生じたりする可能性がありました。しかし、EVMを導入することで、客観的な指標に基づいて進捗状況を把握できるようになり、より迅速かつ的確な状況判断が可能になります。

さらに、EVMは予算管理にも大きく貢献します。プロジェクトの進捗状況と予算の消化状況を関連付けて分析することで、予算超過のリスクを早期に発見することが可能になります。従来の方法では、予算超過に気づくのが遅れ、対応が後手に回ることも少なくありませんでした。しかし、EVMを活用することで、リスクを早期に察知し、適切な対策を講じることが可能になります。

このように、EVMはプロジェクトの成功に不可欠なツールと言えるでしょう。

項目 従来の方法 EVM導入による効果
進捗状況の把握 – 担当者からの報告を待つため、情報遅延や偏りの可能性
– 迅速かつ的確な状況判断が難しい
– リアルタイムな進捗状況の把握が可能
– 客観的な指標に基づいた状況判断が可能
予算管理 – 予算超過の発見が遅れ、対応が後手に回る可能性 – 進捗状況と予算の消化状況を関連付けて分析
– 予算超過リスクの早期発見と適切な対策が可能

EVM導入のポイント

EVM導入のポイント

– EVM導入のポイントプロジェクトを円滑に進めるために、時間や費用、成果を可視化し、管理する手法であるEVM(アーンド・バリュー・マネジメント)が注目されています。 しかし、EVMは導入するだけでは十分ではなく、適切な運用が必要です。 EVM導入を成功させるためには、まずプロジェクトの規模や特性を考慮することが重要です。大規模なプロジェクトでは、詳細な指標設定が必要となる一方、小規模なプロジェクトでは、簡素化された指標を用いるなど、柔軟に対応する必要があります。また、プロジェクトの特性に合った指標を選択することも重要です。例えば、ソフトウェア開発プロジェクトであれば、開発工程ごとの進捗を測る指標が有効です。 さらに、EVMの効果を最大化するためには、EVMツールを活用することも有効です。EVMツールを用いることで、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握できるだけでなく、データ集計や分析を自動化し、効率的に行うことができます。 しかし、EVMやEVMツールはあくまでも道具に過ぎません。EVM導入を成功させるためには、関係者への教育や研修を通して、EVMに対する理解を深め、組織全体で活用していく体制を作ることが何よりも重要です。関係者がEVMの目的や手法を理解し、共通認識を持ってプロジェクトに取り組むことで、初めてEVMは真価を発揮します。 EVM導入は、プロジェクトの成功確率を高めるための有効な手段です。適切な指標や管理体制を構築し、継続的に運用していくことで、プロジェクトの目標達成に大きく貢献することができます。

導入ポイント 詳細
プロジェクトへの適合性 – プロジェクトの規模や特性を考慮
– 大規模プロジェクト:詳細な指標設定
– 小規模プロジェクト:簡素化された指標
– プロジェクト特性に合った指標を選択 (例:ソフトウェア開発は工程ごとの進捗指標)
EVMツールの活用 – リアルタイムな進捗状況把握
– データ集計・分析の自動化と効率化
組織全体への浸透 – 関係者への教育や研修によるEVM理解促進
– 組織全体での活用体制構築
– EVMの目的・手法の共通認識