データベース設計の基礎: ER図とは
ICTを知りたい
先生、『ER図』って、データベースの設計に使うって聞いたんですけど、どんな時に使うんですか?
ICT研究家
良い質問だね! ER図は、データベースにどんなデータを入れるか、データ同士の関係を分かりやすく図で表す時に使うんだ。例えば、学校の生徒と部活だと、生徒は何人かいて、部活もいくつかあるよね?
ICTを知りたい
はい、そうですね。生徒一人に対して、所属する部活は一つとは限らないですよね。
ICT研究家
その通り! ER図では、生徒と部活を線で繋いで、どんな関係かを示すんだ。線で繋ぐことで、一人の生徒が複数の部活に所属できるといった関係も、視覚的に分かりやすく表現できるんだよ。
ER図とは。
「情報や通信にかかわる言葉である『ER図』について説明します。『ER図』は、『実体関連図』を縮めた言葉で、データベースの表の構造や関係を表す図のひとつです。」
ER図の定義
– ER図の定義
ER図は、Entity-Relationship Diagramの略で、日本語では「実体関連図」と呼ばれます。データベースを設計する際に、データの構造や関係性を視覚的に分かりやすく表現するために用いられます。
ER図は、データベースに保存する情報の種類や、情報同士の繋がりを図形と線で表します。例えば、「顧客」や「商品」、「注文」といったものが情報の種類として挙げられます。これらは「実体」と呼ばれ、図形(一般的には四角形)で表現されます。
それぞれの「実体」は、異なる属性情報を持ちます。「顧客」であれば、「顧客ID」「氏名」「住所」「電話番号」などが考えられます。これらの属性情報は、実体の中に記述されます。
また、「顧客」と「注文」のように、実体同士は関連性を持つ場合があり、これを「関連」と呼びます。 「顧客」は「注文」を行うため、「顧客」と「注文」の間には関連が存在します。関連は、実体間を線で結ぶことで表現し、線の両端に「1対多」といったように、実体間の数の関係性を記述します。
このように、ER図を用いることで、データベースに保存する情報の全体像を視覚的に把握することができ、データベース設計をスムーズに行うことが可能となります。
ER図の基本要素:実体
– ER図の基本要素実体ER図は、データベースの構造を視覚的に表現するための図であり、現実の世界を「実体」、「属性」、「関係」という3つの要素で抽象化することで、データベース設計に役立てられます。その中でも、「実体」はER図の中心的な要素と言えるでしょう。データベースで管理したい対象となる、人、物、概念などを指し、例えば、顧客管理データベースであれば、「顧客」、「商品」、「注文」などが実体として挙げられます。顧客情報であれば、氏名、住所、電話番号などを持ちますし、商品情報であれば、商品名、価格、在庫数などを持ちます。このように、実体は具体的なデータを持つことになります。ER図では、これらの実体を長方形の箱で表現します。箱の中には、実体名を記述します。実体名は、わかりやすく簡潔なものが望ましいでしょう。例えば、「顧客」という実体を「顧客情報」や「顧客テーブル」と表記するのは冗長なので、「顧客」とだけ表記します。実体を明確に定義することで、データベース設計の精度が向上します。データベース設計は、システム開発の基盤となる重要な工程であるため、ER図を正しく理解し、実体を適切に設定することが重要です。
要素 | 説明 | 表現 |
---|---|---|
実体 | – データベースで管理したい対象(人、物、概念など) – 例:顧客管理データベースの場合、「顧客」「商品」「注文」など |
長方形の箱 |
属性 | – 実体が持つデータ – 例:顧客実体の場合、「氏名」「住所」「電話番号」など – 例:商品実体の場合、「商品名」「価格」「在庫数」など |
– |
関係 | – 実体と実体の関連 – 例:顧客と商品の関係 |
– |
ER図の基本要素:属性
データベース設計において欠かせないER図において、実体と共に重要な要素となるのが「属性」です。属性とは、各実体が持つ性質や特徴を具体的に表すデータのことを指します。
例えば、「顧客」という実体を考えてみましょう。この顧客一人一人を特定し、情報を管理するために、顧客ID、氏名、住所、電話番号といった情報が必要となります。これらの情報一つ一つが、顧客という実体の属性にあたります。
ER図では、これらの属性を視覚的に表現する方法がいくつか存在します。代表的な方法としては、実体を表す長方形の中に属性名を列挙する方法や、楕円形を用いて属性を表現し、実体と線で結ぶ方法などがあります。これらの表現方法によって、ER図を見る人が実体とその属性の関係性を容易に理解できるようになっています。
ER図の基本要素:関係
データベース設計の基礎となるER図において、実体間の「関係」は重要な要素です。実体とは、例えば「顧客」や「商品」といった、具体的なデータのまとまりのことを指します。 「関係」は、これらの実体同士がどのように結びついているのかを示す役割を担います。
具体的な例として、「顧客」と「注文」という二つの実体を考えてみましょう。現実世界では、顧客は商品を注文するという行動が想定されます。これをER図上で表現する際には、「関係」を用いて「顧客」と「注文」を結びつけます。ER図では、この「関係」は通常菱形で表され、「注文する」といった具体的な言葉で表現されます。そして、「顧客」と「注文する」の間、「注文する」と「注文」の間を線で結ぶことで、それぞれの関係性を明確化します。
このように、「関係」を用いることで、実体間の繋がりを視覚的に表現することが可能となります。ER図を作成する際には、それぞれの「実体」だけでなく、それらを繋ぐ「関係」を明確にすることが、データベース設計の精度を高める上で非常に重要となります。
関係の多重度
– 関係の多重度データの関係性を視覚的に表現する際に便利なER図において、関係の多重度は重要な要素の一つです。この多重度を理解することで、より正確に実体間の関係性を把握することができます。では、関係の多重度とは一体何でしょうか。簡単に言うと、ある実体に対して、もう一方の実体がどれだけの数の関係を持てるのかを示したものが多重度です。例えば、「1対1」や「1対多」、「多対多」といった表現を用いて表されます。具体的な例を見てみましょう。「顧客」と「注文」の関係を考えてみます。一人の顧客は複数の商品を注文することができますよね。しかし、一つの注文が複数の顧客に紐づくことはありません。このように、「顧客」と「注文」の関係は「1対多」となります。つまり、一人の顧客は複数の注文と関係を持つことができますが、一つの注文は一人の顧客にのみ関係を持つことを意味します。関係の多重度を正しく設定することは、データベース設計において非常に重要です。なぜなら、多重度によってデータの構造や整合性が決まるからです。もし、多重度を誤って設定してしまうと、データの矛盾や冗長性が生じてしまい、システム全体の品質を低下させてしまう可能性があります。そのため、ER図を作成する際には、それぞれの関係に対して適切な多重度を設定する必要があるのです。
ER図の活用例
– ER図の活用例ER図は、データベース設計の最初の段階で非常に役立ちます。設計者、開発者、そして実際にデータベースを使うユーザーの間で、データの構造について共通の理解を持つために使われます。ER図を作成することで、データベース設計がスムーズに進み、開発の後半でのやり直しを減らすことができます。例えば、新しい図書館システムを開発する場合を考えてみましょう。まず、書籍、著者、利用者などの「もの」とそれらの間の関係をER図で表現します。書籍は一人の著者と複数の利用者に関連付けられ、利用者は複数の書籍を借りることができます。このような関係性をER図で明確化することで、データベースの構造を視覚的に理解することができます。また、ER図は既存のデータベースの構造を分析する際にも役立ちます。複雑なデータベースでも、ER図を使うことでその構造をわかりやすく把握することができます。例えば、既存の図書館システムに新しい機能を追加する場合、ER図を用いることで現在のデータ構造と新しい機能に必要なデータの関係性を分析することができます。このように、ER図はデータベース設計と分析の両方において強力なツールとなります。
ER図の用途 | 説明 | 例 |
---|---|---|
データベース設計 | 設計者、開発者、ユーザー間でデータ構造の共通理解を図る。設計の初期段階で作成することで、開発の後戻りを減らす。 | 新しい図書館システムの開発: – 書籍、著者、利用者などのエンティティと関係性をER図で表現 – 書籍は一人の著者、複数の利用者と関連付け – 利用者は複数の書籍を借りることができる |
データベース分析 | 既存のデータベース構造を分析し、可視化する。 | 既存の図書館システムに新機能を追加: – ER図を用いて、現在のデータ構造と新機能に必要なデータの関係性を分析 |