コンピューターが言葉を理解する仕組み:形態素解析入門
ICTを知りたい
「形態素解析」って、コンピューターが言葉を理解するのに役立つ技術だってことはわかったんですけど、具体的にどんな風に役立っているのか、よくわからないです。
ICT研究家
なるほど。「形態素解析」は、例えば、私たちが毎日使っている検索エンジンで役に立っているのよ。
ICTを知りたい
検索エンジンですか? どうやってですか?
ICT研究家
例えば、「おいしい りんご ジュース 作り方」と検索窓に入力したとすると、「形態素解析」によって「おいしい」「りんご」「ジュース」「作り方」と分解されるの。そして、分解された言葉から、コンピューターがあなたの探している情報を絞り込んで、検索結果として表示しているのよ。
形態素解析とは。
「情報通信技術に関係する言葉である『形態素解析』について説明します。形態素解析とは、人が普段使っている言葉をコンピューターで分析するための方法です。文章を単語に分け、さらに意味を持つ一番小さな単位に分解することで、文章の内容を理解する材料にします。例えば、『日本語』や『英語』など、言葉によって意味を持つ最小単位は異なるため、それぞれの言葉に合った計算方法が必要です。『グーグル』などの検索サービスにも使われており、入力された言葉の意味を自動的に理解して検索結果を表示しています。
言葉の意味を紐解く
私たち人間は、生まれたときから周りの人の言葉を聞いて育ち、自然とことばの意味を理解していきます。そして、文字を習うことで、書かれた文章を読んで内容を理解できるようになります。しかし、コンピューターにとっては、人間が使う言葉は複雑で、理解することは容易ではありません。コンピューターは、数字で表された情報を処理することは得意ですが、文字や記号で表された言葉の意味を理解することはできません。
そこで、コンピューターが文章を理解するために用いられる技術の一つに「形態素解析」があります。これは、まるで複雑なパズルを解くように、文章を意味を持つ最小単位である「形態素」に分解していく作業です。例えば、「今日は良い天気ですね」という文章は、「今日/は/良い/天気/です/ね」というように分解されます。
「形態素解析」によって、コンピューターは文章の構造を理解し、単語の意味や品詞、文中の役割などを把握できるようになります。そして、これらの情報を基に、文章の要約や翻訳、感情分析など、様々な処理を行うことができるようになります。つまり、「形態素解析」は、コンピューターが人間の言葉を理解するための第一歩と言えるでしょう。
人間 | コンピューター |
---|---|
言葉を聞いて育ち、自然と意味を理解する 文字を習い、文章を読んで内容を理解する |
人間の言葉は複雑で理解が難しい 数字で表された情報の処理は得意だが、言葉の意味を理解することはできない |
形態素解析:文章を意味を持つ最小単位(形態素)に分解する技術 例:「今日は良い天気ですね」→「今日/は/良い/天気/です/ね」 |
|
形態素解析により、コンピューターは文章の構造や単語の意味を理解できるようになる 文章の要約、翻訳、感情分析など様々な処理が可能になる |
形態素:言葉の最小単位
私たちは普段、文章を読むとき、一文字ずつ意味を理解しているわけではありませんよね?「今日は良い天気ですね」のような文章を読むときも、頭の中では自然と「今日」「は」「良い」「天気」「です」「ね」と、意味のまとまりごとに区切って理解しています。こうした、意味を持つ言葉の最小単位を「形態素」と呼びます。
例えば先ほどの例文「今日は良い天気ですね」は、6つの形態素に分解できます。「今日」という形態素は「時間」を、「良い」という形態素は「状態」を表すなど、それぞれの形態素は文章の中でそれぞれの役割を担っています。コンピューターは、人間のように文章の意味を理解することはできません。しかし、文章を形態素に分解し、それぞれの形態素が持つ意味を分析することによって、文章全体の解釈を試みることができるのです。
形態素解析は、コンピューターが人間の言葉を理解するための第一歩と言えるでしょう。
用語 | 説明 |
---|---|
形態素 | 意味を持つ言葉の最小単位 例:今日 は 良い 天気 です ね |
形態素解析の利点 | コンピューターが文章を理解しやすくする 文章全体の解釈が可能になる |
形態素解析の応用 | 自然言語処理の基礎技術 機械翻訳、音声認識、テキストマイニングなど |
言語ごとの壁
– 言語ごとの壁
コンピュータに言葉を理解させる自然言語処理において、形態素解析は基礎となる技術です。しかし、この形態素解析は、扱う言語によって異なるアプローチが必要となるため、開発者にとって大きな壁となっています。
例えば、日本語と英語を比較してみましょう。日本語は、単語と単語の間に空白がない「膠着語」と呼ばれる言語です。そのため、「今日は良い天気ですね」という文を形態素に分割する場合、「今日/は/良い/天気/です/ね」と、文脈を考慮しなければ適切な位置で分割することが困難になります。このように、日本語の形態素解析では、文脈に応じた適切な単語の切り分けが課題となります。
一方、英語は単語と単語の間に空白がある「孤立語」に分類されます。「Today is a good day」という文であれば、「Today/is/a/good/day」と、空白を基準に容易に単語に分割できます。しかし、英語は単語が「be動詞の変化形」や「名詞の複数形」のように様々な形に変化する「屈折語」でもあります。そのため、単語の形態変化を正しく認識し、元の形に直す処理が複雑になるという課題があります。
このように、言語によって文法構造や単語の性質が異なるため、形態素解析のアプローチもそれぞれに適した方法を採用する必要があるのです。
項目 | 日本語 | 英語 |
---|---|---|
言語の特徴 | 膠着語(単語間に空白なし) | 孤立語(単語間に空白あり)、屈折語(単語の形態変化が多い) |
形態素解析の課題 | 文脈に応じた適切な単語の切り分け | 単語の形態変化を正しく認識し、元の形に直す処理 |
検索エンジンでも活躍
– 検索エンジンでも活躍
形態素解析は、普段私たちが何気なく利用している検索エンジンにおいても、重要な役割を担っています。例えば、Googleなどで検索を行う際、入力した言葉は形態素解析によって分解され、それぞれの言葉の品詞や意味などが分析されます。
検索エンジンは、この形態素解析の結果を元に、ユーザーが本当は何を探しているのかを推測します。例えば、「東京 観光」と入力した場合、単純に「東京」と「観光」という単語が並んでいるだけなので、検索エンジンの立場では「東京に関する観光情報を探している」のか、「観光に関する情報を東京という地域で絞って探している」のかが分かりません。
しかし、形態素解析によって「観光」の前に「in」という接続詞が補われれば、「東京 in 観光」と解釈できます。これにより、検索エンジンはユーザーが「東京の観光情報を探している」のだと判断し、より的確な検索結果を表示することが可能になるのです。
機能 | 詳細 | 例 |
---|---|---|
形態素解析 | 文章を単語単位に分割し、品詞や意味などを分析する技術 | 「東京 観光」 => 「東京(名詞) 観光(名詞)」 |
検索エンジンの活用例 | ユーザーの検索意図を分析し、的確な検索結果を表示するために利用 | 「東京 観光」と入力した場合 – 単純な単語検索では、「東京」と「観光」のどちらが主要な検索対象か不明 – 形態素解析により、「東京 in 観光」と解釈することで、「東京の観光情報」を探していると推測 |
まとめ
– まとめ人間が普段何気なく使っている言葉は、コンピューターにとっては複雑で理解しにくいものです。しかし、コンピューターに人間の言葉を理解させるためには、言葉を細かく分解し、それぞれの要素が持つ意味や役割を分析する必要があります。この分析を行う技術こそが、形態素解析と呼ばれるものです。形態素解析では、文章を単語よりもさらに小さな単位である「形態素」に分割します。例えば、「今日は良い天気ですね」という文は、「今日/は/良い/天気/です/ね」というように分割されます。そして、それぞれの形態素が名詞、動詞、形容詞といった品詞のどれに当たるのか、また、文中でどのような役割を果たしているのかを分析していきます。コンピューターはこの形態素解析を通じて、文章の構造や意味を理解し、人間が意図する内容を把握することができるようになります。例えば、検索エンジンは形態素解析を用いることで、ユーザーが入力した言葉の意図をより正確に理解し、関連性の高い検索結果を表示することができます。また、機械翻訳の分野においても、形態素解析は自然で正確な翻訳を実現するために欠かせない技術となっています。形態素解析は、コンピューターが人間のように自然言語を理解するための基礎となる技術です。この技術の進歩によって、より高度な人工知能の開発や、より人間に近い形でコミュニケーションをとることのできるサービスの創出が期待されます。
問題点 | 解決策 | 効果 | 応用例 |
---|---|---|---|
コンピューターは人間の言葉を理解するのが苦手 | 形態素解析を用いて、文章を「形態素」に分割し、品詞や役割を分析する | コンピューターが文章の構造や意味を理解できるようになる | – 検索エンジン – 機械翻訳 |