ネットワークの信頼性と速度を向上させるNICチーミングとは
ICTを知りたい
「NICチーミング」ってなんですか?
ICT研究家
「NICチーミング」は、コンピューターに複数ついているネットワークカードをまとめて、あたかも1つのネットワークカードのように使う技術のことだよ。ネットワークカードをまとめることを「チーミング」とも呼ぶんだ。
ICTを知りたい
複数のネットワークカードをまとめることで、どんないいことがあるんですか?
ICT研究家
ネットワークの速度を上げたり、1つのネットワークカードが壊れても通信を続けられるようにしたりできるんだ。つまり、ネットワークをより速く、より安定して使えるようになるんだよ。
NICチーミングとは。
「『NICチーミング』っていう言葉、情報通信技術の分野でよく聞くよね。これは、コンピューターやネットワーク機器に入っているネットワークインターフェースカードをいくつかまとめて、1つとして使う技術のことなんだ。簡単に『チーミング』とも呼ばれているよ。NICチーミングを使うと、ネットワークの通信速度を上げたり、もしもの時に備えてネットワークを二重化したりすることができるんだ。通信の負担を分散することで、障害が起きにくくもなるんだよ。Windows Server 2012以降のWindowsでは、このNICチーミングが使えるようになっているんだ。二重化の方法には、『LAG』と『FT』の2種類がある。LAGは『リンクアグリゲーション』の略で、FTは『フォールトトレランス』の略だよ。LAGとFTの大きな違いは、普段使っている時に待機状態のネットワークインターフェースカードがあるかないかという点だ。LAGは複数の物理的な回線をまとめて、1つの仮想的な回線として使う方法なんだ。もしもどれか1つの回線に問題が起きても、他の回線で通信を続けることができる。帯域幅が増えたり、上の階層にあるLANスイッチの負担を減らしたりできるのが特徴だよ。今普及しているLAGの規格は、IEEE802.3adってやつだ。FTは、1つの仮想的な回線の中にある複数の物理的な回線を、動いている状態のものと待機状態のものに分けて使う方法だ。もしも動いている回線がダメになっても、自動的に待機状態の回線に切り替わることで通信を続けられるんだ。」
複数のNICを一つにまとめる技術
コンピューターやネットワーク機器には、ネットワークに接続するための部品であるネットワークインターフェースカードが搭載されています。このネットワークインターフェースカードは、略してNICとも呼ばれます。一台の機器に複数のNICを搭載している場合に、これらのNICを仮想的に一つにまとめる技術のことをNICチーミングと呼びます。
NICチーミングを行うことで、複数のNICをあたかも一つのNICのように扱うことが可能になります。これは、ネットワークの可用性、速度、全体的なパフォーマンスを向上させるために非常に有効な手段です。
例えば、複数のNICを束ねて帯域幅を増やすことで、ネットワーク全体の速度を向上させることができます。また、一つのNICに障害が発生した場合でも、他のNICが機能することで、ネットワークの接続を維持することができます。 このように、NICチーミングは、ネットワークの信頼性と性能を向上させるための重要な技術と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
NIC(Network Interface Card) | コンピューターやネットワーク機器をネットワークに接続するための部品 |
NICチーミング | 複数のNICを仮想的に一つにまとめる技術 |
メリット | – ネットワークの可用性向上 – ネットワーク速度の向上 – ネットワーク全体のパフォーマンス向上 – ネットワークの信頼性向上 |
例 | 複数のNICを束ねて帯域幅を増やすことで、ネットワーク全体の速度を向上させる。一つのNICに障害が発生した場合でも、他のNICが機能することで、ネットワークの接続を維持する。 |
NICチーミングのメリット
– NICチーミングの利点NICチーミングは、複数のネットワークインターフェースカード(NIC)を仮想的に一つにまとめる技術です。 これにより、ネットワークの安定性とパフォーマンスを向上させることができます。主な利点としては、以下の点が挙げられます。-# ネットワークの冗長化による可用性向上NICチーミングでは、複数のNICを同時に使用するため、一つのNICに障害が発生した場合でも、他のNICが通信を引き継ぐことができます。そのため、サーバーやネットワーク機器に障害が発生した場合でも、システム全体のダウンタイムを最小限に抑え、業務への影響を軽減することができます。これは、特に重要なシステムやサービスを提供するサーバーにおいて、大きなメリットとなります。-# 帯域幅の増加によるパフォーマンス向上複数のNICを束ねることで、ネットワーク全体の帯域幅を広げることが可能になります。これは、複数の車線がある道路と同じように、データ伝送のボトルネックを解消し、より多くのデータを同時に送受信できるようになることを意味します。その結果、大容量データの転送や、多数のユーザーが同時にアクセスする環境においても、快適な通信速度を実現できます。-# システムの負荷分散NICチーミングは、複数のNICにトラフィックを分散させることで、特定のNICへの負荷集中を軽減することもできます。これにより、ネットワーク機器の負荷が分散され、安定したパフォーマンスを維持することができます。このようにNICチーミングは、ネットワークの信頼性とパフォーマンスを向上させる上で非常に有効な技術です。
利点 | 説明 |
---|---|
ネットワークの冗長化による可用性向上 | 一つのNICに障害が発生した場合でも、他のNICが通信を引き継ぐため、システム全体のダウンタイムを最小限に抑え、業務への影響を軽減できます。 |
帯域幅の増加によるパフォーマンス向上 | 複数のNICを束ねることでネットワーク全体の帯域幅が広がり、データ伝送のボトルネックを解消し、より多くのデータを同時に送受信できるようになります。 |
システムの負荷分散 | 複数のNICにトラフィックを分散させることで、特定のNICへの負荷集中を軽減し、ネットワーク機器の負荷が分散され、安定したパフォーマンスを維持します。 |
二つの主要な手法:LAGとFT
– 二つの主要な手法LAGとFTネットワークインターフェースカード(NIC)のチーミングには、大きく分けて「LAG」と「FT」という二つの手法があります。どちらも複数のNICを連携させて、ネットワークの安定性やパフォーマンスを向上させる技術ですが、その仕組みや目的は異なります。LAG(リンクアグリゲーション)は、複数の物理的なNICを一つにまとめて、より高速で信頼性の高い論理的なリンクを形成する技術です。複数の回線を束ねて広帯域化するイメージで、大量のデータ通信を行うサーバーなどに有効です。LAGでは、複数のNICでトラフィックを分散させて処理するため、ネットワーク全体の帯域幅が広がり、より高速なデータ通信が可能になります。また、仮に1本のNICに障害が発生した場合でも、他のNICが引き続き通信を継続するため、ネットワークの可用性を高めることも期待できます。一方、FT(フォールトトレランス)は、主にネットワークの耐障害性を高めることを目的とした技術です。FTでは、複数のNICのうち、一つを「アクティブ」な状態として使用し、もう一つを「スタンバイ」として待機させておきます。アクティブなNICに障害が発生した場合、スタンバイのNICに切り替わることで、ネットワークの接続を維持します。FTは、サーバーのダウンタイムを最小限に抑えたい場合などに有効です。このように、LAGとFTはそれぞれ異なる目的と仕組みを持つ技術です。どちらの技術を採用するかは、ネットワークの要件や環境によって慎重に検討する必要があります。
項目 | LAG(リンクアグリゲーション) | FT(フォールトトレランス) |
---|---|---|
目的 | 高速化、信頼性向上 | 耐障害性向上 |
仕組み | 複数のNICをまとめて論理的な1つのリンクにする | アクティブなNICとスタンバイのNICを用意し、障害時に切り替える |
メリット | – 帯域幅の拡張 – ネットワークの可用性向上 |
– サーバーのダウンタイム最小化 |
用途 | 大量データ通信を行うサーバー | サーバーのダウンタイムを許容できない環境 |
LAG(リンクアグリゲーション)の詳細
– LAG(リンクアグリゲーション)の詳細
LAG(リンクアグリゲーション)は、複数の物理的な回線を束ねて、論理的に一つの回線として扱う技術です。
この技術によって、ネットワークの通信速度と安定性を大きく向上させることができます。
LAGを使う最大のメリットは、回線全体の通信速度を上げられることです。例えば、1Gbpsの速度を持つ回線を二つ束ねると、理論上は2Gbpsの速度で通信できるようになります。
複数の回線を同時に使ってデータをやり取りすることで、大量のデータも高速に送受信することが可能になります。
また、LAGはネットワークの安定性向上にも貢献します。もし回線の一つに障害が発生した場合でも、他の正常な回線を使って通信を継続することができます。
これは、ネットワーク全体の停止時間を減らし、安定したサービス提供を可能にするために非常に有効です。
LAGはIEEE802.3adという規格で標準化されており、多くのネットワーク機器で利用可能です。
そのため、異なるメーカーの機器同士でも互換性を気にすることなく、LAGを構築することができます。
項目 | 内容 |
---|---|
概要 | 複数の物理的な回線を束ねて、論理的に一つの回線として扱う技術 |
メリット |
|
標準規格 | IEEE802.3ad |
備考 | 異なるメーカーの機器同士でも利用可能 |
FT(フォールトトレランス)の詳細
– FT(フォールトトレランス)の詳細
FT(フォールトトレランス)とは、システムの一部に障害が発生しても、継続して稼働し続けることができる能力を指します。ネットワークにおいては、複数のネットワークインターフェースカード(NIC)を用いることで実現されます。
FTを実現するにあたっては、通常、二つのNICをそれぞれ異なる役割に設定します。一つは「アクティブ」としてネットワーク通信の主体を担い、もう一つは「スタンバイ」として待機します。アクティブなNICに何らかの問題が発生し通信が途絶えた場合、自動的にスタンバイ側のNICに切り替わることで、ネットワークへの接続を維持します。
FTは、同様の機能を持つ技術であるLAG(リンクアグリゲーション)と比較して、設定が容易であるという利点があります。LAGでは複数のNICを束ねて一つの論理的な回線として扱いますが、FTでは単純にアクティブとスタンバイという役割分担を行うだけで良いため、導入や管理が容易です。
一方で、FTではスタンバイ側のNICは普段は使用されないため、資源の有効活用という面ではLAGに劣ります。LAGでは全てのNICを使って通信を行うため、帯域幅の拡張や冗長性の向上に繋がりますが、FTでは片方のNICはあくまで予備として待機している状態となるため、資源の効率という点では不利になります。
このように、FTはLAGと比較してメリットとデメリットが存在するため、システムの要件に合わせて最適な技術を選択する必要があります。FTは主に、サーバーなど重要な機器で、ネットワークの可用性を最大限に高めるために利用されます。
項目 | FT(フォールトトレランス) | LAG(リンクアグリゲーション) |
---|---|---|
概要 | システムの一部に障害が発生しても、継続して稼働し続けることができる能力 | 複数のNICを束ねて一つの論理的な回線として扱う技術 |
実現方法 | 二つのNICをアクティブとスタンバイに設定し、障害発生時に切り替える | 複数のNICを束ねて帯域幅の拡張や冗長性の向上を図る |
メリット | 設定が容易 | 資源の有効活用、帯域幅の拡張、冗長性の向上 |
デメリット | 資源の有効活用という面ではLAGに劣る | 設定が複雑 |
用途 | サーバーなど重要な機器で、ネットワークの可用性を最大限に高める | 帯域幅の拡張や冗長性の向上が必要な場面 |
WindowsサーバーにおけるNICチーミング
– WindowsサーバーにおけるNICチーミングとは
WindowsサーバーのNICチーミングとは、複数の物理的なネットワークインターフェースカード(NIC)を1つの論理的なNICとしてまとめる技術です。Windows Server 2012以降、この機能は標準で搭載されており、サーバー管理者は容易に設定を行うことができます。
NICチーミングを利用することで、主に次の二つのメリットがあります。
1. -サーバーの可用性向上-
複数のNICを束ねることで、仮に1つのNICが故障しても、他のNICが通信を引き継ぐため、サーバー全体のダウンタイムを減らすことができます。これは、安定稼働が求められるサーバーにとって非常に重要な要素です。
2. -ネットワークパフォーマンス向上-
複数のNICで通信を分担することで、ネットワーク全体の帯域幅を拡張し、より高速なデータ転送を実現できます。
WindowsサーバーのNICチーミングは、リンクアグリゲーション(LAG)とフォールトトレランス(FT)の両方に対応しています。LAGは複数のNICをまとめて帯域幅を拡張する技術、FTは障害発生時に予備系に切り替える技術です。これらの技術を組み合わせることで、より高い可用性とパフォーマンスを実現できます。
WindowsサーバーのNICチーミングは、サーバーの構成画面から簡単に設定できます。ネットワークアダプターを選択し、チーミングモードや使用するNICを指定するだけで設定が完了します。
このように、WindowsサーバーのNICチーミングは、サーバーの安定稼働とパフォーマンス向上に大きく貢献する技術と言えるでしょう。