アジャイル開発とは? 反復型開発で変化に対応

アジャイル開発とは? 反復型開発で変化に対応

ICTを知りたい

先生、「アジャイル」って最近よく聞くんですけど、どういう意味ですか?

ICT研究家

「アジャイル」は、もともとは「すばやい」「俊敏な」という意味の言葉です。 情報技術の分野では、ソフトウェア開発の手法を指すことが多いですね。

ICTを知りたい

ソフトウェア開発の手法というと、どんな特徴があるんですか?

ICT研究家

従来の開発手法のように、開発を始める前にすべての計画をきっちり決めるのではなく、小さな機能ごとに開発とテストを繰り返しながら、柔軟に進めていく手法のことです。 そうすることで、変化に強く、より早く開発を進めることができるんですよ。

Agileとは。

「ICTの分野でよく使われる言葉に『アジャイル』があります。これは、素早く動ける、機敏に対応できるといった意味の言葉です。一般的にアジャイルというと、『アジャイルソフトウェア開発』のことを指します。これは、開発するものをいくつもの小さな機能に分けて、何度も繰り返し開発と試行錯誤を重ねながら、1つの機能を作り上げていく手法です。この繰り返しを続けていくことで、機能を1つずつ追加していく開発手法のことを指します。反対の意味の言葉にウォーターフォールがあります。」

アジャイルの語源と意味

アジャイルの語源と意味

– アジャイルの語源と意味「アジャイル」という言葉は、もともと英語の”agile”から来ています。”agile”は、「機敏な」、「素早い」、「頭の回転が速い」といった意味を持つ言葉です。では、なぜIT業界、特にソフトウェア開発の分野で「アジャイル」という言葉が使われるようになったのでしょうか?2001年、アメリカユタ州に集まった17人のソフトウェア開発者たちが、「アジャイルソフトウェア開発宣言」という文書を作成しました。この宣言では、従来の開発手法とは異なる、より柔軟で迅速なソフトウェア開発のアプローチが提唱されました。従来の開発手法は、事前に綿密な計画を立て、その計画に厳密に従って開発を進めていく、いわゆる「ウォーターフォール型」と呼ばれる手法が主流でした。しかし、変化の激しい現代社会においては、事前に全てを計画しておくことは難しく、また顧客のニーズも刻一刻と変化していくため、ウォーターフォール型開発では対応が難しいケースも出てきました。そこで、変化に柔軟に対応し、顧客のニーズをいち早く製品に反映できる、より迅速で効率的な開発手法として「アジャイルソフトウェア開発」が注目されるようになったのです。「アジャイルソフトウェア開発宣言」で提唱された価値観は、まさに”agile”という言葉が持つ「機敏な」、「素早い」といった意味と合致しており、そこから「アジャイルソフトウェア開発」という言葉が定着していきました。

従来の開発手法(ウォーターフォール型) アジャイルソフトウェア開発
事前に綿密な計画を立て、その計画に厳密に従って開発を進めていく。 変化に柔軟に対応し、顧客のニーズをいち早く製品に反映できる、より迅速で効率的な開発手法。
変化の激しい現代社会においては、事前に全てを計画しておくことは難しく、顧客のニーズも刻一刻と変化していくため、対応が難しい。 「アジャイルソフトウェア開発宣言」で提唱された価値観は、まさに"agile"という言葉が持つ「機敏な」、「素早い」といった意味と合致。

アジャイル開発の進め方

アジャイル開発の進め方

– アジャイル開発の進め方アジャイル開発は、従来のウォーターフォール開発とは異なるアプローチでソフトウェアを開発する方法です。ウォーターフォール開発では、最初に全体設計を完了させてから開発に着手しますが、アジャイル開発では、開発と並行して設計やテストも行います。具体的には、開発するソフトウェアを多数の小さな機能に分割し、短い期間で設計、開発、テストといったサイクルを何度も繰り返しながら、機能を完成させていきます。このサイクルを「イテレーション」または「スプリント」と呼び、一般的には1週間から4週間程度で設定されます。アジャイル開発では、各イテレーションごとに動くソフトウェアを段階的に作成していきます。そして、各イテレーションの終わりには、作成したソフトウェアを顧客に評価してもらい、フィードバックを得ます。このフィードバックを次のイテレーションに反映させることで、顧客のニーズに合ったソフトウェアを開発していくことができます。このように、アジャイル開発は、柔軟性が高く、変化に強い開発手法であると言えます。そのため、市場のニーズが変化しやすい現代のソフトウェア開発に適していると言われています。

項目 説明
開発手法 従来のウォーターフォール開発とは異なる、設計、開発、テストを並行して進める手法
特徴 – 短い期間で設計、開発、テストを繰り返す
各イテレーションごとに動くソフトウェアを段階的に作成
– 顧客のフィードバックを反映しながら開発を進める
柔軟性が高く、変化に強い
メリット 市場のニーズが変化しやすい現代のソフトウェア開発に適している

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発のメリット

– アジャイル開発のメリット

アジャイル開発は、従来の開発手法とは異なり、変化への対応力を重視した柔軟な開発手法です。

アジャイル開発の最大のメリットは、開発途中で顧客の要望が変わったり、新しい技術が登場したりした場合でも、柔軟に対応できる点です。従来の開発手法では、一度開発計画を立てると、途中で変更することが難しく、顧客の要望の変化に対応できない場合がありました。しかし、アジャイル開発では、短い期間で開発と評価を繰り返すため、途中で計画を変更したり、新しい機能を追加したりすることが容易です。

また、短いサイクルで開発を進めるため、顧客は開発の進捗状況をこまめに確認でき、早期に意見や要望を伝えることができます。従来の開発手法では、開発が完了するまで顧客は製品を見ることができず、要望と異なる製品が完成してしまうリスクがありました。しかし、アジャイル開発では、顧客は開発の各段階で製品を確認できるため、要望に沿った製品を開発することができます。

このように、アジャイル開発は、変化の激しい現代社会において、顧客の要望を的確に反映したソフトウェアを開発するために非常に有効な開発手法と言えるでしょう。

メリット 内容
柔軟性が高い 開発途中で顧客の要望が変わったり、新しい技術が登場したりした場合でも、柔軟に対応できる。
顧客との連携強化 短いサイクルで開発を進めるため、顧客は開発の進捗状況をこまめに確認でき、早期に意見や要望を伝えることができる。

アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い

アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い

– アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いシステム開発の世界では、昔からある「ウォーターフォール開発」と、近年注目されている「アジャイル開発」という二つの大きな手法が存在します。ウォーターフォール開発は、滝の水が上から下に流れ落ちるように、工程を順番に進めていく開発手法です。まず、システムに必要な機能や性能を決定する「要件定義」を行い、次にシステム全体の設計図を作る「設計」に移ります。そして、プログラミングによってシステムを実際に作り上げる「開発」、完成したシステムが正しく動くかを確認する「テスト」を経て、最後に利用開始となる「運用」へと進みます。それぞれの工程は順番に進められ、前の工程が終わってから次の工程に進むため、一度開発が進んでしまうと、途中で仕様を変更することが難しく、変更があった場合は、大きなやり直しが必要になります。一方、アジャイル開発は、短い期間で開発とテストを繰り返しながら、システムを完成させていきます。この短い期間を「イテレーション」と呼び、1週間から4週間程度の期間で設定することが多いです。アジャイル開発では、イテレーションごとに動くシステムを作り上げていくため、顧客は実際に動くシステムを確認しながら開発を進めることができ、途中で仕様変更があった場合でも、柔軟に対応することができます。このように、ウォーターフォール開発は、長期的な計画に基づいて確実にシステムを開発していく手法であるのに対し、アジャイル開発は、変化に柔軟に対応しながら開発を進めることができる手法と言えるでしょう。

項目 ウォーターフォール開発 アジャイル開発
特徴 滝の水が上から下に流れ落ちるように、工程を順番に進めていく開発手法。 短い期間で開発とテストを繰り返しながら、システムを完成させていく開発手法。
工程 要件定義→設計→開発→テスト→運用
※前の工程が終わってから次の工程に進む。
イテレーション(1週間〜4週間程度)ごとに開発とテストを繰り返す。
メリット 長期的な計画に基づいて確実にシステムを開発していくことができる。 顧客は実際に動くシステムを確認しながら開発を進めることができ、途中で仕様変更があった場合でも、柔軟に対応することができる。
デメリット 一度開発が進んでしまうと、途中で仕様を変更することが難しく、変更があった場合は、大きなやり直しが必要になる。

アジャイル開発の普及

アジャイル開発の普及

– アジャイル開発の普及

近年、ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化し、顧客のニーズも複雑化しています。従来のウォーターフォール型の開発手法では、開発に着手する前に綿密な計画を立て、計画通りに工程を進めていくため、変化への対応が難しいという課題がありました。

そこで、注目を集めているのがアジャイル開発です。アジャイル開発は、短い開発期間で設計、開発、テストを繰り返しながら、顧客と密接にコミュニケーションを取りながら開発を進めていく手法です。変化に柔軟に対応できることから、多くの企業で導入が進んでいます。

従来、システム開発やソフトウェア開発の現場で多く採用されてきましたが、近年ではその適用範囲は広がりを見せています。Webサイトやゲーム開発はもちろんのこと、新しい製品開発やサービス開発など、幅広い分野でアジャイル開発の考え方が取り入れられています。これは、アジャイル開発が、変化の激しい現代社会において、顧客に価値を迅速に提供するための有効な手段として認識されてきていることを示しています。

従来の開発手法 アジャイル開発
ウォーターフォール型
綿密な計画に基づき開発を進める
短い期間で設計、開発、テストを繰り返す
顧客と密接にコミュニケーションを取りながら開発
変化への対応が難しい 変化に柔軟に対応可能
システム開発やソフトウェア開発の現場で主流 Webサイト、ゲーム開発、製品開発、サービス開発など幅広い分野で導入